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格安で旅行に行ける、ブランド品も格安で。
こんなうたい文句の“会員権”でトラブル急増

様々なサービスが魅力の会員権。しかし最近、この会員権でトラブルが急増している。忘れた頃にやってくる多額の中には「200万円」を請求された人も。会員権トラブルの内容に迫る。
26才の神谷さんは、6年前こんなうたい文句の会員権に惹かれた。「ショッピングや車、レジャー関係が安くなる」と言われたそうだ。そして、入会金と会費、併せて180万円と高額だったが、内容に魅力を感じローンを組んで契約をした。しかし、1つ気になることが。「サービスを受けるにはパソコンを買え」と言われたそうだ。「おかしいな」とは思ったものの契約。

そして、実際に会員権を使ったところ…

ところが、実際に使ってみると格安で旅行に行けるはずが、価格はそんなに変わらず大きなメリットは無し。その後は、この会員権を使わず、契約期間の5年間が過ぎた。
しかし、話はこれだけでは済まなかった…。
契約終了から1年半も経った頃、1通の封書が。そこには「会費が未納」になっているということで、会費を払え、と請求がされていた。
不審に思い、業者に問い正すと業者からは「契約が終わる30日前までに解約を届け出ないと自動延長になる」と説明された。しかも新しい契約は60歳までで、解約するにしても会費200万円を払って、というのだ。契約書を見ると確かにそう書いてあった。動揺していると業者からは、さらに奇妙な提案が。

会費を分割にする代わりに「ダイヤを買え」という業者
業者は、「会費を分割にする場合、130万円にするから、代わりにショッピングリースということで、ダイヤを買ってください」と言う。めちゃめちゃな説明だったが、業者に押し切られる形で契約書にサインをしてしまったそうだ。
その後、特定商取引法の「不実告知」、「事実の不告知」などの理由で業者と交渉し、何とか解約をすることができた。

「一度だまされた人」を専門に狙う、悪質業者も
Bさんは、18年前に旅行等が安く行けるという会員権サービスをおよそ50万円で契約。有効期間は3年間だった。しかし、いつ電話しても「担当者不在」。結局、一度もサービスを利用することなく、契約期間の3年が過ぎた。それから14年。すでに会員権の契約など忘れていたBさんに一本の電話が。
それは「新たな特典」の連絡だった。
業者は「事務所に来てくれ」と言う。「お金はかからないから、免許証と印鑑を持ってきてくれ」と言われ、「優待割引等を1度も利用できなかった損を取り戻せるかも…」と思ったそうだ。そして、指定された場所へ行ってみると、そこは広い会議室を間仕切りしていた。

特典の説明のはずが、過去の契約内容をきいてくる業者
そして、新しい契約話が…

そこで業者は、奇妙な質問をしてきたという。何と、会員権の種類を聞いてきたという。つまりBさんとの契約内容を把握していなかった、ということだ。Bさんが会員権のタイプを告げると、業者は「このタイプは契約が続いています。契約期間は20年になっていますが、14年分会費が支払われていません」と説明。突然、請求された14年分の会費。その金額はなんと200万円。業者は「裁判か、支払うか」と脅しまがいの請求をしたが、拒み続けたBさん。
すると業者は、妥協点を探り始め、2回目の支払で100万円、3回目で46万円にまで下がった。そこでBさんは46万円の支払を口約束した。
しかし不思議なことに、この業者は17年前にBさんが契約した業者とは全く違う会社。なぜ見ず知らずの業者から請求がくるのか。

消費者問題の専門家に聞いた
なぜ、見ず知らずの業者から請求が来るのか?

会員権トラブルなど、消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所、水口結貴行政書士に理由を聞いてみた。
「悪徳業者にひっかかった人の名簿、いわゆる“カモリスト”が出回っていて、非常に成約率の高いリストとして、業者から重宝されている」と、名簿が流失している可能性を指摘する。

取材班は、Bさんを呼び出した業者を直撃。しかしそこに人の気配はなかった。しかし、電話には応答がある。しかし「責任者がいないので、戻りしだい分るようにしておく」と言うが、回答はなかった。
その後も1週間以上に渡り、事実関係や請求の根拠について質問を続けたが、業者は「社長は長期入金中で、責任者も休み」、「私は事務員なので全くわからない」という返答。さらに訪ねた部屋は、間取りから言っても非常に小さい部屋で、会社が入る物件ではないと思われる。
業者間で、被害者の名簿が流れていて、そのリストを別業者が今、活用していると思われる。被害者リストの上から順番に電話をしているのだろう。
国民生活センターによれば、こうした複合サービス会員に関する相談件数は年々増えていて、中でも二次被害の軒数が多くなっている、ということだ。