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「孫の力」木楽舎(2014年11月1日)

超犯罪社会を生きる

「警察白書」によれば、2012(平成24)年に、高齢者が被害を受けた犯罪認知件数(※)は約13万件に上る。認知件数に占める高齢者の割合は増加の一途をたどっている。空き巣やひったくり等に加えて、「オレオレ詐欺」にデジタル技術を加えた新手の詐欺や高齢者の心を巧みに突く犯罪も増えている。
「私だけは」、「オレは大丈夫」と思い込まず、「超犯罪社会」を無事に生き抜く術を身につけよう。

※犯罪認知件数とは
警察が把握した犯罪の発生数のこと。警察官は、犯罪現場の状況から「事件」と判断した場合、被害届の提出を受け、これを認知件数として計上する。事件の「発生数」とは異なる指標。例えば、性犯罪に関する被害などの場合、被害者が被害届を出さず認知されないケースも少なくない。検挙数を認知件数で割った数値が解決率を示す「検挙率」になる。

買う前にちょっと、待って。
その商品、「本当に効果ありますか?」

訪問販売や電話勧誘販売だけでなく、新聞折込チラシの通信販売、インターネット通販と「これを買ってください!」という「品物情報」が溢れている。
どの商品も非常に魅力的に、その効果(効能)が書かれているが、鵜呑みにするのは少し待とう。
悪質商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士にどんな商品(問題)があるのか、をうかがった。

羽毛布団
多くの人を会場に集め、熱狂的な雰囲気を演出で高額商品を売る「催眠商法」。販売員が巧みな話術で場を盛り上げながら、「これ、欲しい人?」などと、最初は安い日用品をプレゼントする。会場で「ハイ、ハイ」と手を上げさせることから「ハイハイ商法」とも言われる。その催眠商法の典型的な商品が「羽毛布団」だ。ほとんどの場合、数十万円~と高額な物が多い。中には「“磁気”が体にいい」などと言って、磁気マットレスや磁気布団が売られる場合もある。
高電位治療器
一定の効果が認められていて、薬事法では「管理医療機器(クラスII)」に分類されている。しかし、販売方法が問題になることがある。本来の効果は「頭痛・肩こり・不眠症や慢性便秘の軽減」のみとされている。しかし、催眠商法の現場では、「血をきれいにする機械」、「血液をサラサラにする」などの説明がある場合も。さらに、具体的に効果がある(症状が改善した、治った)として、「リウマチ、高血圧、アトピー、肝硬変」から「半身まひ」まで、効能効果のオーバートークがされることもあるようだ。

協力:水口結貴行政書士
エクステージ総合法務事務所代表。消費者問題の第一人者として、数々の悪徳商法の相談を受けてきた。8万件以上の解決実績を持つ。

「悪質商法に騙された場合でも、クーリングオフなどで解約ができます。あきらめずに専門家に相談をしてください」と話してくれた

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日本経済新聞(2017年1月28日)

「遺体ホテル」が増えている

現在、東京都では年間およそ11万人が亡くなっている。しかし火葬場の数は増えていないため、遺体の保管場所に困る遺族らが増えている。こうしたニーズに応えて、遺体を一時的に預かる施設(通称・遺体ホテル)の利用が多くなっている。しかし施設への法的規制はなく、近隣住民の反対運動に発展したケースも見られる。

火葬場が足りず、順番待ち
厚生労働省によると、死亡数は年々増加している。2015年は全国で約130万人が亡くなった。しかし火葬場の数は全国で約4千カ所に留まり、20年間で半減している。(2015年度末)。
都内に限ってみれば、火葬場は23~28カ所で推移している。都内の葬儀関係者によれば、「10年前は1~2日程度で火葬できたが、現在は3~4日待ちが当たり前」とのことだ。
そこで、「火葬待ち」の状態が長くなり、遺体の保管が難しくなっている、という現象が起きている。

周辺住民の理解が得られにくい
2014年9月、川崎市の住宅街に工場を改装してオープンした遺体保管施設がある。同年6月、計画に驚いた住民が「反対の会」を結成した。経営会社の竹岸久雄取締役(41)によれば、「棺にドライアイスを入れて保管し、抗菌仕様の壁紙も使っている。衛生面に問題はない」という。住民向けの説明会も行っている。さらに見学希望者は施設の内覧もできる。しかし周辺住民との溝は埋まっていない。
因みに、安置施設に法的規制はない。同社は、遺体保管施設を「倉庫」として市に届け出た。

専門家が指摘する問題点とは
近所のパート従業員の男性(68)に聞くと、「遺体が近くにあると思うといい気分はしない。必要な存在だと思うが、住宅が密集する場所に建てるべきではない」と言う。
終活の専門家で、葬儀事情にも詳しい水口結貴行政書士は「施設を追い出すだけでは将来の多死社会に対応できない」と言う。さらに「遺体ホテルに関する法的規制がない点には問題もある。衛生管理の基準を設けるなど質を確保するためのルール作りが必要だ」法規制の必要性等を指摘した。