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テレビ朝日 「スーパーJチャンネル」 2005年4月21日

結婚相手を紹介すると言いながら、実際には紹介しない。結婚相談のトラブルが急増

結婚相談トラブルはそれだけではない。中には、結婚相手を紹介しないばかりか、貴金属を買わせる等、詐欺まがいの手口も出ているという。全国で結婚相手紹介サービスへの相談件数は年々、増え続け、2004年には5年前の相談件数の1.5倍~2倍近くに増えている。(全国消費生活情報ネットワークシステム調べ)
島根県のある結婚紹介業者は、「事前の説明なしに高額請求を行なった」等、特定商取引法違反で行政処分を受けた。この業者の所在地へ取材班が入った。「あなたの幸せを応援します」とうたい、会員を募っていた。被害者の一人、島根県の建設会社勤務のAさんに話を聞いた。
悪質結婚相談業者の被害者が、驚きの手口を証言

Aさんは、4年前46歳でこの業者に登録をした。「高年齢なので結婚を早くしたい」と希望するAさんに対し、業者からは「お見合い1回につき6万円がかかる」という事だけ説明されたという。ところが、実際にお見合いをした女性に交際を申し込もうとした所、業者から「相手の女性の親を紹介する」ということで、なんと200万円を請求されたのだ。Aさんは納得したわけではなかったが、「金額は大きいが、払えば済む」と考え、この金額を支払った。例えば、「婚礼印代」として45万6650円の請求。これは、業者が婚姻届を役所に出しに行く、その費用だという。(因みに、提出はAさんが依頼したわけではなく、業者の方が勝手に行くと言ってきたものだ)業者は他にも、仲人料100万円、結納手数料100万円等、法外な請求を次々に行なった。なんと、Aさんはこの業者に総額2600万円も払っていた。これはAさんが25年もの歳月をかけて貯めてきた物だ。長年の希望だった「結婚」が目の前に見えているものだったため、Aさんは払ってしまったと言う。Aさんは業者に対して、裁判を起こし勝訴。しかし、業者からAさんにお金が返されることはなかった。

裁判の結果をどう考えているのか?
悪質業者を取材班が直撃

取材班は、業者に電話取材を試み、「3月に業務改善命令が出されているが…」と問いただしたところ、業者側は「行政指導のようなこともあったが、騙すつもりで最初からやったわけではないし、お願いされてきたことは精一杯やった」、「ただ、ダメになった方の中にはそういった例もあったので、消費者センターから改善するようにと言われた点は全て受け入れてやっていきたい」との返答。
取材班が、総額2600万程払った会員がいることについて、どう思うのかを問い正すと、電話口の業者は「担当で無いのでわからない」の一点張り。「担当した者に再度、電話をさせる」と言って電話は切れた。しかし、この後、業者から電話が来ることはなかった。結局、Aさんはその後、この紹介された女性とは離婚。今では騙された悔しさと「とにかく金を返して欲しい」と悔しそうに語る。

消費者問題に詳しい法律家に問題点を聞いた

最近、このような結婚紹介トラブルが増えている。悪質商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士に実態を聞いた。水口結貴行政書士によれば、特に30代女性がターゲットにされているとその理由について、「女性の方は、いくつくらいで結婚しなくては、という意識が強いため30代の女性で被害にあう人が多い」と指摘する。さらに、寄せされた相談の中で多いのが、入会時の説明と実際の内容・費用が異なるケースだという。
例えば、37歳と38歳の姉妹から寄せられた相談があった。事前の業者の説明では、「希望する条件の男性はたくさんいる」、「すぐに見つかる」という事だった。姉妹は業者の言葉を信じて二人で合計90万円の入会金を支払った。しかし、紹介された男性は希望した条件とはかけ離れた男性だったため、改めて希望条件に沿った男性紹介してほしいと業者に言うと、業者は「あなたがそういう条件の男性を希望しても、男性があなたを選びません」、「過去の経験から言って、断られるので会っても意味が無いでしょう」と暴言を吐いた。その後、業者は姉妹に10歳も年上の男性を紹介する。姉妹は同年齢の男性を希望していたため断ると、業者はさらに「はっきり言って48歳の男から見ても38歳の女なんておばさんでイヤだと思いますよ」、「俺だって嫌だからね」等と言った。このような失礼な態度に耐えかね、姉妹は結局、業者の契約を中途解約した。

悪質結婚紹介業者の手口とは?
水口結貴行政書士に再び悪質な結婚業者の手口ついて聞いたところ、「例えば、5人分の顔写真があって、確かに一部の情報は見せてもらえる」、そして、その中の誰かに連絡を取りたいと言うと、「その人は(会員を)辞めました」と言われ、別の人は?と聞くと、その人も「退会した」と言われてしまう。このように「サクラ」が存在する業者もあると教えてくれた。
元結婚相談所社員は「サクラを入れないと成立しない。悪質なことをしている業者は多いと思う」と証言する。この会社では、社員が「サクラ」としてお見合いパーティーに出席していた。名前・年齢・出身大学・職業等はあらかじめ業者によって用意され、紙が渡される。その紙に内容で「演じてくれ」と言われるのだ。サクラになるためのマニュアルも存在したと言う。対象が30代~40代の女性のため、弁護士や実業家等、年収1000万円以上の職業になりすます事が多かったそうだ。会社では、女性社員を相手に模擬練習もあり、エグゼクティブになりすますための衣装も用意されていたそうだ。それだけでなく、この会社では会員に「エンゲージリング」も買わせていた。価格は何と100万円程度。客と話をして、収入がありそうな客にはさらに高値をつける。市販品と同じ物を2倍近い価格で売っていたという。このような商法は「抱き合わせ商法」と呼ばれている。

抱き合わせ商法の被害者が語る、その悪質な手口

Bさんは30歳。彼は業者から勧められるままにダイヤを160万円~170万円という高価格で買わされていた。Bさんは入会時にネックレスを購入したが、一度も女性は紹介してもらえなかったと言う。Bさんは、1~2度業者に電話をかけたが、電話がつながるものの、誰も出なかったという。騙されたと気づいた時にはすでに遅かった。高額のローンだけが残り、Bさんには「許せない」と怒りを隠さなかった。取材班は、Bさんが買わされたダイヤモンドを鑑定してもらった。すると、「デパート等で買うと4万~50万円」の価値であり、「率直に言って、高すぎると思う」と言った。また、別の鑑定士も「170万円で売っているとすると、もっとダイヤのグレードを上げたり、デザインがもっと凝っているのが普通」と言う。この鑑定士は価値を「35万円~70万円程度」と判断した。
経済産業省でも、特定商取引法の規制を始めている。被害にあってしまったら、1日も早く、法律専門家に相談したい。

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「読売Weekly」2005年5月1日

「宝石」「ネット」「超美人」に要注意
「危ない」結婚サービス

結婚相手紹介サービスでトラブルが続いている。
退会解約料、強引な勧誘だけでなく、出会いを求める心に付け込んだ悪質商法も横行。結婚難の時代、生涯のパートナーに出会う前に、落とし穴に落ちないように…。

サトルさん(仮名)は39才、会社員だが周囲に花嫁候補は見当たらず、40の大台を前に結婚を焦っていた。「これでは、結婚相談所に行くしかない」と、インターネットで検索して、ある会社に資料請求をした。すると、業者からすぐに「無料相談に来て欲しい」との電話をもらった。気をよくしたサトルさんが相談所に出向くと、「カウンセラー」と称する女性が、「結婚相手は必ず見つかりますよ」、「40才になると結婚相手を見つけるのも難しくなるので、入会するなら今しかない」と言う。
サトルさんは、年齢を考えてその場で契約。入会金や情報料、会費などを併せて約40万円なった。しかし、入会直後に見せられた女性プロフィール30人の中から、数人にお見合いを申し込んだが、全て断れてしまった。
サトルさんは不信感を感じ解約を申し出るが、解約料として20万円を請求された。「高すぎる」と抗議すると業者は「すでに情報提供しているから、その分は返金できない」と言う。業者の言い分は「女性20人分の写真を見た」ことが「情報提供」というのだ。結局、サトルさんは一度も女性と出会うこともなく、お金を無駄にしてしまった。

入会直後の「大サービス」

実は、サトルさんのようなケースは珍しくない、という。結婚相手紹介サービスをめぐるトラブルが増加している。国民生活センターによれば、2003年の相談は2,432件と急増している。2004年1月に特定商取引法が改正され、結婚相手紹介サービスも規制対象になった。(※契約期間が2ヶ月、金額が5万円を超えるもの)しかし、国民生活センターに寄せられる相談件数はさほど変わらない、という。さらに「規制対象になってからは『解約料が高い』という相談が増えている」、「入会直後に多くの情報提供をすることで、解約料が高くなるように設定している」と説明してくれた。

「わぁ、ステキな指輪!」 高額な指輪を購入後、「彼女」からの連絡は途絶えた

さらに悪質な例を紹介しよう。自営業のジュンイチさん(仮名)は37才。自宅に届いた結婚サービス業者からのパンフレットを見て、業者を訪問した。業者の女性相談員は「女性会員はみんな美人です」と入会を薦める。ジュンイチさんが迷っていると、今日お見合い予定だった会員さんがいる、突然相手からキャンセルされて、隣の部屋にいるから会ってみませんか?と言う。
そして隣の部屋に行ってみると、そこには魅力的な女性が居た。一目ぼれしたジュンイチさんは即、入会を決めた。そして「交際」も無事にスタートした。2週間後、相談員から「経過を報告してください」との連絡があり、「彼女」と一緒に紹介サービス会社へ行くジュンイチさん。順調な交際ぶりを報告すると相談員は突然、奥の部屋からパンフレットを持ち出してきた。それは宝石や装飾品のカタログだった。そして「結婚する時には必ず必要になりますよ」と、80万円のダイヤの指輪を薦めてきた。断ろうとしたとき、「わぁ、ステキな指輪!」と彼女が言う。
-ジュンイチさんは、その場で購入契約をしてしまった。
しかし指輪購入後、「彼女」からの連絡が急に途絶える。相談員に聞いても「彼女」の行方はわからない。
ジュンイチさんは、中途解約を申し入れるが、返金されたのは会費の数千円だけだった。80万円の指輪は、8日間のクーリングオフ期間が過ぎているという理由で返品(解約)できず、お金も戻ってこなかった。

履歴を偽った「サクラ」も多く存在する

「サクラ」は何も男性相手に限った話でははい。高収入・高学歴のヤスコさん(仮名・34才)は男性に求める条件が厳しかった。周囲には「対象外」の男性しかいない。そんなとき「高年収男性を紹介」というキャッチフレーズの結婚相手紹介サービスをネットで見つける。
入会金や登録料、2年間分の会費などを合わせると約50万円にもなる。しかし「高収入の人に出会えるなら」と入会した。ところが、毎週10人ほどにお見合いを申し込んでも全て断られる。業者主催のパーティーに参加しようとしたが、いつも「定員になり締切ました」で参加できない。
入会から3ヶ月が過ぎたが、誰にも出会えなかった。ヤスコさんは担当者に相談したが「男性は20代の若い女性を好みますから」と屈辱的な返事をしてきた。しかも、後でわかったことだが、業者サイトに公開されていた男性会員はエグゼクティブどころか、フリーターたちだった。
じかし、自宅住所や会社名などの個人情報を知られている業者から、何かされるのを恐れたヤスコさんは、泣き寝入りしてしまった。

「出会い系」から次々、参入

こうした結婚相手紹介サービスは「デート商法」につながるところがある。デート商法では、サクラの存在や宝石販売はつきものだ。そして、名簿業者、サクラ集め、物品販売など、業種をこえて横のつながりがある、という。デート商法に比べると「結婚」というはっきりした目的があるだけに、より騙しやすいという。
さらにインターネットを利用した手口が増えているのも特徴の1つだ。悪質商法に詳しいエクステージ総合法務事務所代表、水口結貴行政書士によれば「悪質な出会い系サイト業者が、結婚相手紹介ビジネスに進出しているケースが多い」と指摘する。中には、小規模な業者であれば、代表者が自分自身を「サクラ」として男女を問わず「交際相手」たちとメールのやり取りをしている所もある、ということだ。「結婚サービス業は設備投資が必要なくて誰でもすぐに始められる。だから悪質業者が参入しやすい」と教えてくれた。
結婚紹介業者で作る団体では自主規制基準を設けているところもあるが、大半は野放し状態だ。悪質業者を見抜くポイントとしては、例えば、長時間に渡って拘束して契約を急がせたり、連絡先が携帯電話やメールだけになっている業者などが挙げられるだろう。そのほか、水口結貴行政書士からは「『すぐに相手が見つかる』などと、良いことばかりを説明する業者や、指輪など商品購入を勧める業者には注意が必要」とアドバイスがあった。大事な結婚への夢を食い物にされないために気をつけて業者を選びたい。

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TBS「イブニング5」2005年5月5日

格安で旅行に行ける、ブランド品も格安で。
こんなうたい文句の“会員権”でトラブル急増

様々なサービスが魅力の会員権。しかし最近、この会員権でトラブルが急増している。忘れた頃にやってくる多額の中には「200万円」を請求された人も。会員権トラブルの内容に迫る。
26才の神谷さんは、6年前こんなうたい文句の会員権に惹かれた。「ショッピングや車、レジャー関係が安くなる」と言われたそうだ。そして、入会金と会費、併せて180万円と高額だったが、内容に魅力を感じローンを組んで契約をした。しかし、1つ気になることが。「サービスを受けるにはパソコンを買え」と言われたそうだ。「おかしいな」とは思ったものの契約。

そして、実際に会員権を使ったところ…

ところが、実際に使ってみると格安で旅行に行けるはずが、価格はそんなに変わらず大きなメリットは無し。その後は、この会員権を使わず、契約期間の5年間が過ぎた。
しかし、話はこれだけでは済まなかった…。
契約終了から1年半も経った頃、1通の封書が。そこには「会費が未納」になっているということで、会費を払え、と請求がされていた。
不審に思い、業者に問い正すと業者からは「契約が終わる30日前までに解約を届け出ないと自動延長になる」と説明された。しかも新しい契約は60歳までで、解約するにしても会費200万円を払って、というのだ。契約書を見ると確かにそう書いてあった。動揺していると業者からは、さらに奇妙な提案が。

会費を分割にする代わりに「ダイヤを買え」という業者
業者は、「会費を分割にする場合、130万円にするから、代わりにショッピングリースということで、ダイヤを買ってください」と言う。めちゃめちゃな説明だったが、業者に押し切られる形で契約書にサインをしてしまったそうだ。
その後、特定商取引法の「不実告知」、「事実の不告知」などの理由で業者と交渉し、何とか解約をすることができた。

「一度だまされた人」を専門に狙う、悪質業者も
Bさんは、18年前に旅行等が安く行けるという会員権サービスをおよそ50万円で契約。有効期間は3年間だった。しかし、いつ電話しても「担当者不在」。結局、一度もサービスを利用することなく、契約期間の3年が過ぎた。それから14年。すでに会員権の契約など忘れていたBさんに一本の電話が。
それは「新たな特典」の連絡だった。
業者は「事務所に来てくれ」と言う。「お金はかからないから、免許証と印鑑を持ってきてくれ」と言われ、「優待割引等を1度も利用できなかった損を取り戻せるかも…」と思ったそうだ。そして、指定された場所へ行ってみると、そこは広い会議室を間仕切りしていた。

特典の説明のはずが、過去の契約内容をきいてくる業者
そして、新しい契約話が…

そこで業者は、奇妙な質問をしてきたという。何と、会員権の種類を聞いてきたという。つまりBさんとの契約内容を把握していなかった、ということだ。Bさんが会員権のタイプを告げると、業者は「このタイプは契約が続いています。契約期間は20年になっていますが、14年分会費が支払われていません」と説明。突然、請求された14年分の会費。その金額はなんと200万円。業者は「裁判か、支払うか」と脅しまがいの請求をしたが、拒み続けたBさん。
すると業者は、妥協点を探り始め、2回目の支払で100万円、3回目で46万円にまで下がった。そこでBさんは46万円の支払を口約束した。
しかし不思議なことに、この業者は17年前にBさんが契約した業者とは全く違う会社。なぜ見ず知らずの業者から請求がくるのか。

消費者問題の専門家に聞いた
なぜ、見ず知らずの業者から請求が来るのか?

会員権トラブルなど、消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所、水口結貴行政書士に理由を聞いてみた。
「悪徳業者にひっかかった人の名簿、いわゆる“カモリスト”が出回っていて、非常に成約率の高いリストとして、業者から重宝されている」と、名簿が流失している可能性を指摘する。

取材班は、Bさんを呼び出した業者を直撃。しかしそこに人の気配はなかった。しかし、電話には応答がある。しかし「責任者がいないので、戻りしだい分るようにしておく」と言うが、回答はなかった。
その後も1週間以上に渡り、事実関係や請求の根拠について質問を続けたが、業者は「社長は長期入金中で、責任者も休み」、「私は事務員なので全くわからない」という返答。さらに訪ねた部屋は、間取りから言っても非常に小さい部屋で、会社が入る物件ではないと思われる。
業者間で、被害者の名簿が流れていて、そのリストを別業者が今、活用していると思われる。被害者リストの上から順番に電話をしているのだろう。
国民生活センターによれば、こうした複合サービス会員に関する相談件数は年々増えていて、中でも二次被害の軒数が多くなっている、ということだ。

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TBS「きょう発プラス」2005年9月1日

「美しくありたい」と願う女性の思いを利用する悪質美容商法

ある被害女性の話を聞くことができた。
彼女は、友人から「キレイになって儲かる仕事があるからやらない?」と声をかけられ、その数日後には、業者のスタッフという夫婦が訪問してきたと言う。

夫婦は、超音波美顔器を出し「まず、この美顔器を買って、うちの会員になって」、その後「色々な人にその効果を伝えて欲しい」と言った。勧めてきた女性がとても綺麗な人だったこと、その女性から「私も始めて1ヶ月位でとてもキレイになった」と言われたことで信用してしまった。

そして、話は美顔器から「もうけ話」へと移っていく。
「色々な人に、この美顔器の話をして、その人が美顔器を買ってくれれば、あなたに1万円が入る」・「しかも、会社のチラシ配りを手伝ってくれれば、もう1万円が入る」と。
ちょっと宣伝するだけで、お金を振り込んでくれる…、しかもノルマもないし…と被害女性は気持ちが動いてしまった。
商品の支払・ローンの話は後で話し、計画的に倒産して逃げる会社も

しかし、彼女の話はこれで終わりではなかった。彼女は続けて「ローンの支払は月々、1万円だから、1ヶ月に一人紹介すれば美顔器はタダ同然なの」と。これが決定打になり、被害女性は「タダでキレイになれて、さらに副収入も得られる」と、被害女性は美顔器を購入し会員になった。契約金は57万円という高額なもの。
その後、被害女性は、夫にも協力してもらい、夜な夜なチラシ配りをがんばった。1万数千円の報酬も振り込まれ、ローンの引落にも間に合ったと言う。しかし、振込はたったの1度だけ。2回目から、振込は無くなった。不審に思った被害女性は、業者に電話をするが電話は繋がらなかった。さらに、実際に会社を見に行った所、会社自体が無かった・モヌケのカラだったと言うのだ。なんと、美顔器を売っていた会社は倒産していた。被害女性は怒りをぶつける場も無く、残ったのは50万円を超えるローンだけ。
消費者問題に詳しい法律家に聞く、被害を最小限に食い止める方法とは

消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴先生に今回の件について、アドバイスをしてもらった。
今回の場合は、業者が倒産して無くなってしまっているので、現実的に契約解除や返金等の交渉をする相手がもういない状態になっている。
しかし、美顔器などの商品を、ローンやクレジットを組んで買っている場合や信販会社を利用している場合には、信販会社と交渉することで、支払済のお金について返金は諦める代わりに今後の支払に関しては免除してもらう、という形で和解するということも可能だ、と教えてくれた。

商品の一部(外箱等)が無くても、クーリングオフは可能
諦めず、期限内に行動を

このような会員商法の他に、訪問販売で高額な化粧品を「たったの○千円ですから!」と、ローン契約で安く手に入る物であるかのような販売トークも問題になっている。これで、買う側は高額金額から目をそらされ、「生活費の中から何とかなるかも…」と思わされてしまうのだ。そして、ローン契約書を書く時になって始めて、数十万円を超える高額商品である事に気付くが、その時はすでに断れる状況にはない。
さらに、クーリングオフを妨害するため、販売員が外箱を持ち帰る等も問題視されている。ある被害女性は、20万円弱の高額化粧品を訪問販売で購入、後日、クーリングオフを考えたが、外箱を販売員が持ち帰っていたため「クーリングオフはできない」と重い込み、クーリングオフをしなかった。

しかし、悪質商法に詳しい行政書士・水口貴結は、「業者が持ち帰っているので、そのような付属品が無くても、クーリングオフは問題なくできる」と教えてくれた。クーリングオフは、消費者の側から一方的に契約を無条件解約できる権利であって、クーリングオフを行うのに、理由はいらないと説明する。さらに、クーリングオフは業者側に同意してもらう必要も無いし、1円でもお金を払っていれば全額、お金も戻ってくる。クーリングオフは消費者の強い見方だが、正しい知識が無いと思わぬ落とし穴もある。
いくつか、例を見てみよう。

□訪問販売で買った化粧品の蓋を開けてしまった場合、クーリングオフはできるのか?

×(クーリングオフはできない)
理由…化粧品は、クーリングオフを規定する「特定商取引法」では「指定消耗品」にあたり、蓋を開けてしまうとクーリングオフはできなくなる。

□訪問販売で買った化粧品の「外箱の封」を開けてしまった場合、クーリングオフはできるのか?

○(クーリングオフできる)
理由…化粧品本体の蓋を開けていないので、化粧品本体については、クーリングオフできる。場合によっては、外箱代を請求されるかもしれない。

□訪問販売で買った鍋で料理をした場合、クーリングオフはできるのか?

○(クーリングオフできる)
理由…鍋は、「消耗品」ではなく「耐久消費材」のため、使用した場合でもクーリングオフはできる。

□訪問販売で買った鍋を焦がした場合、クーリングオフはできるのか?
○(クーリングオフできる)
理由…鍋は、「消耗品」ではないため、たとえ焦がした場合でもクーリングオフはできる。

□訪問販売で買った布団を使用した場合、クーリングオフはできるのか?
○(クーリングオフできる)
理由…布団は、「消耗品」では「耐久消費材」のため、使用した場合でもクーリングオフはできる。

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TBS「報道特集」2005年10月2日

あなたも狙われている! キャッチセールス
キャッチセールスとは、路上等で販売目的を告げず声をかけ、商品の購入等を迫るもの。
インタビューしてみると、「アンケートに答えてくださいと言われ、4時間くらい話を聞かされ、30万円位の化粧品を買わされそうになった」人や、30万円の美顔器を買わされた人などが。中でも「絵画」に関する被害相談件数は多い。国民生活センターによると男性からの被害相談で1番多いのが、この絵画購入に関するものだ。絵画を購入した被害男性の話を聞いてみると…。

明らかになる! 路上での「キャッチ」テクニック

Aさんは、8月に路上で声をかけられ、そのまま絵画を購入してしまったと言う。しかし、絵画は購入した状態のまま部屋に置いてあるだけ。購入した商品は、ある外国人画家が書いたシルクスクリーン(版画)だ。2時間の執拗なセールストークに根負けしたという。インタビュー中、彼は「買わなくてもよかったかな…」、「後悔」と本音をもらした。そして、「絵を飾ろうという気にもなれない」と続けた。絵に興味が無いAさんが購入した絵画の金額は、4年の分割払いで48万円を超える高価なものだった。Aさんは、歩いていた所を急に女性からポストカードを手渡され、呼び止められて店内へと入ったと言う。販売目的は一切、告げられておらず、ただ「店内の絵を見るだけなので、見てみませんか?」と言われたそうだ。

店内では「買うまで帰れない」雰囲気と、執拗なセールストークが待っていた

店内に入ると、いきなりある絵画の値段の話をされたAさん。値段が高いため、購入を渋ったところ、続けてローンの話をされた。Aさんは、絵画を購入する気は無く、何度も断ったが勧誘は執拗だったと言う。Aさんが購入を渋っていると、店員は絵画の値段を下げきた。最初50万円と言っていたものを「自分の払える範囲内で」と、37万円にまで下げたと言う。Aさんは、そんな店員に不信感を抱く。そして「早く、ここから出たい」という気持ちが強くなっていった。Aさんは、今振り返って「正常な判断ができなかった」と続けた。
店員は入れ替わり、立ち代わりで様子を見るような感じで月々にやってきて、益々落ち着かないし、店内から出にくい雰囲気になったのだ。そして、ついに契約書にサインをしてしまったのだ。

「絵画商法」の被害は年々増えている。ターゲットは20代の若者
決めセリフは「特別に、値段を下げるから」。

路上で声をかけ、絵画を売りつける方法は「絵画商法」と呼ばれ、20代が狙われる。この商法は、絵を売ることから「エウリアン」と呼ばれ、ネットで様々な書き込みがされている。このため、消費者保護の完成転換から「特定商取引法」が改正され、04年11月に施行された。今では販売目的を隠して勧誘行為をすることは禁止されている。
実際に、Aさんが声をかけられたという場所へ行ってみると、街頭では揃いのジャンバーを着た女性が何かを配っている。そして、受け取った人にはしきりに何かを話しかけていた。そのうち、一人の若者が近くのビルへと案内され入っていった。ビルから出てきた男性に話を聞いてみると…。
「今、展示会をやっていて、無料で入れるのでどうでしょうか?」と言われたとのこと。この男性は絵を見るだけならと思っていたので、お金の話をされるとは思っていなかったと言った。しかも、販売目的は聞いていなかった。別の女性も、絵画の購入を勧められたと、こう証言してくれた。やはり、販売目的は告げられておらず、3時間に渡って勧誘を受け、絵画の購入を契約していた。それは、5年ローンで総額51万円を超える高額な契約だった。最初、契約をするつもりは無かったが、「特別に値段を下げるから」と押し切られたと言う。この女性の場合、最初60万円だった価格が、店員同士の相談の後、価格が37万円に下がり「これで、どうですか?」から、最後には「これでお願いします」と泣き落しに近かったという。

潜入! 絵画商法の現場

実際に、記者が声をかけてきた販売員について、店内へ入ってみる。すぐに別の女性がやってきて、「値段を無視して飾るなら、どの絵がいいですか?」と選ばせる。そして、ある1枚を選ぶと、まず「なかなか、これを選ぶ人はいない」と褒め、二人で絵の前に並んで座らされ、絵の素晴らしさを繰り返し話し続けた。そして、1時間が過ぎた所で「見ていると欲しくなると思うのですが」と切り出した。続けて「一括で100万では、出せる人もいないので」と「分割で買う人が多い」と続けた。販売員が勧めてきた絵画は「シルクスクリーン」。油絵等とは違い、何枚も複製ができる手法だ。そして、販売員はいきなり「クレジット早見表」を記者に差し出してきた。それによれば、100万円の絵画は、5年の分割払で「月々23,100円」とのこと。
「高いですよね」と言う記者に「すみません~」と言いながら「でも高さが良いんです」と勧誘はやめない販売員。記者が「買うつもりはなくて、呼び止められて入っただけで」、「気軽に入っただけだから、ゆっくり考えたい」と断ると、「ゆっくり考えると、どうしても絵はいらない、ってなるんです」、「ぜひ、がんばって飾ってみていただきたい」と執拗に続けた。2時間が過ぎた。女性販売員は、突然態度が一変。険しい表情で記者に迫ってきた。カバンの中にあるカメラを気にする女性販売員。そしてそこにスーツ姿の男性が来て「何か調べているのか?」、調べるなら事前に言うべきと迫ってきた。そこで、記者が取材で撮影していることを告げ、販売店の責任者らしき男性に、法律に違反する販売方法をしていることは問題ではないのか?と質問すると、「展示即売会と告げているので問題ない」と言い、記者が聞いていないと反論しても、「あなたは聞いていないかもしれないが、実際は言っている」と譲らない。

消費者問題に詳しい法律家にも相談が多く寄せられていた

消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所、代表行政書士水口結貴さんの下には、この業者についての相談が数多く寄せられていた。その数、何と月に50件、年間では600件近くになるのだ。
「何度、断っても『今、買うように』と言われた」という被害者が多いという。
「この機会を逃すと、もうこの絵には巡り会えない」と、多くの人が言われている。水口結貴さんによれば、長時間に及ぶ勧誘で大幅な値下げを言われ、契約してしまった人が多い、とのことだった。
販売員は購入を勧めるときに、「非常に手間のかかる技法で、お金も時間もかかる」というが、後で調べてみると実際はそうでも無い、ということがわかるのだと言う。

実際に、被害者男性が持っていた絵画(100万円で購入)を査定してもらったところ、「ほぼ額代」という回答だった。
国民生活センターによれば、「絵画商法」による平均購入価格は100万円を超えている。一般の人が絵画等の美術品の値段や品質・価値を正確に見積もることは殆ど不可能だ。業者は販売目的を告げずに、絵画を販売することは一切行なっていないと言うが、やはり自衛と、万が一購入した場合は、クーリングオフが欠かせない。

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TBS「イブニング5」2005年10月13日

免許証も偽造可能!国勢調査票の持ち去りなど、トラブル急増

国が5年に一度、行う国勢調査。今、その現場でトラブルが相次いでいる。何故なのか?
実は、この書類によって、運転免許証や保険証といった身分証明書が偽造できるという。そのため、国勢調査票が高値で売買されるのだ。

あなたの証明書がもし、知らない間に売買されているとしたら?

調査票回収の現場を取材してみた。
東京都新宿区では、ニセの調査員が調査票を持ち去るという事件が起き、中野区では調査票をだまし取ろうとする未遂事件が発生。新聞によれば、国勢調査をめぐるトラブルは366件にも上った。そのうち、約半数はニセ調査員による調査票の持ち去りやだまし取りだ。「個人情報が金になる」時代。
しかし、国勢調査を管轄する総務省も、その盗まれ方には驚いている。それは、ある件や地域に被害が集中しているのではなく、全国的に被害が「パラパラと」出ている事だ。

国勢調査とは
国勢調査は、1920年(大正9年)に第1回が行われ、5年ごとに実施されている。
調査対象は、日本に住んでいる全ての人、人口、世帯数、職業を地域別に把握し、政策に役立てるのが目的。1回の調査でまとめられる統計は、350冊以上になる。
例えば、地方交付税の配分や地方議会の議員定数も国勢調査の結果が基になる。調査票の提出は法律(統計法)で義務と定められている。そのため、回収率も2000年調査では98%以上にのぼる。

一方、住民側の意識にも異変が起きている。回収が進まないことにいらだった調査員が調査票を焼却するというトラブルも発生。この調査員は「住民が調査に協力してくれない」、「アパートなんかやっていられない。全部燃やしていいか?」と言っていたという。
新宿を担当した調査員は、住民から「ニセ者が多い。調査員証以外に証明できるものは?」と聞かれたそうだ。あるアンケートでは、勤務先に関する記入について、約4割が「不安」と回答した。

個人情報売買の経験者が語る、国勢調査票のさらなる「魅力」

例えば、国勢調査票があれば、次のようなことがわかり、そこから「この人にピッタリの詐欺・悪徳商法」を考え出すことができる、と言う。
○住宅の建て方・延床面積
…これで、いくら位の年収か推測できる。それに応じてリフォーム詐欺ができる。

○「何日間仕事をしましたか?」という質問
…仕事が少ない人がいたら、例えば、内職詐欺ができるし、あまり仕事をしておらず、お金に困っていそうなら「保証金を払えば、こういう仕事がある」と例えば、パソコンを売りつけるなど
この売買経験者は、調査票のことをはっきりと「僕らにとって、お金だよね」と言った。
消費者問題の専門家に聞いた
手間をかけて1枚の調査票を盗む理由、狙いは何か?

長年、悪質商法問題に取り組んできた専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士の水口結貴さんに、悪質業者が国政調査票を欲しがる理由を聞いた。

すると、国政調査票があれば驚く多くのことが読み取れることがわかった。
そのほか、国勢調査の調査票が入手できれば、他人に自分の身分証明書を取得される可能性があるいう。国勢調査票と、原則閲覧自由の住民基本台帳。この2つの情報を使うことで、他人でも身分証明書を取得することができる。

それは、「住民票」だ。カギになるのは、国勢調査票に記載される「世帯主との続き柄」。より細かい家族構成や勤務先がわかれば、「嘘にもリアリティが出てくる」と、水口結貴さんは指摘する。まさに「国勢調査票は情報の宝庫」なのだ。
例えば、自分がなりすます人物は夫なのか、兄なのか?それを知ることで、不正に住民票を取得する際のリスクを減らすことが可能になる。さらに、住民票をきっかけにして、運転免許証、保険証、印鑑証明証といった、身分を証明する公的な書類が不正に作られてしまうという。
このような、本人が知らない間に作られる公的証明書は、闇の市場では高値で取引されている。労力をかけて騙し取られる国勢調査票には、それに見合う価値が秘められていた。

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フジテレビ 「とくダネ!」2005年10月21日

高額商材で偽告知・被害総額30億円

「全員が合格する」等と偽って教材の購入を勧誘したとして、札幌市の教材販売業者の社長など7人が特定章取引法違反で逮捕された。

容疑者は1998年以降、複数の会社名を使って、旅行関係の国家資格を取得するための教材を販売していた。つまり、何度も社名を変えながら、同じような手口を繰り返していたということになる。
しかも、1セット50万円以上という通常の10倍以上の価格設定で販売。被害者は全国で6000人以上いる、とみられている。被害総額は30億円以上に昇る、という。
実際に被害者の相談を受けた法律家・水口結貴行政書士を訪ねた
実際に、この会社による被害者の相談を受けた法律家を訪ねて、話をうかがった。
エクステージ総合法務事務所、代表行政書士水口結貴行政書士が、この業者の手口を詳しく教えてくれた。
それによると、業者は
○最初の勧誘の電話の時には、「確実に儲かる」、「毎  月いくら位の収入になる」、「仕事を紹介する」と、言う。
○一方、実際の契約書では「当社から、仕事の紹介・斡旋はしません」と書いてあった、という。

しかし、一般的な消費者が契約書の細かい文言を全て読み解くことは難しいため、こうした将来的なリスクを予想することはなかなかできない、という。その結果「仕事がもらえる」と期待して契約をしても、実際には仕事が紹介されない、斡旋されず、重いローンの負担ばかりが続く、ということになってしまう。
「確実に儲かる」等の甘い話には注意が必要だ。
そして、もしもこうした悪質業者と契約をしてしまったなら、早めに法律家に相談するようにしたい。業者の説明に明らかに嘘があったり、契約書に不備などばある場合は、「支払停止抗弁の手続」と言って、ローンの支払を中止することも可能になるからだ。

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「週刊アサヒ芸能」2006年3月9日

被害総額20億円 詐欺商法で荒稼ぎする悪徳宝石業者

「もう男性は誰も信用できなくなりました。全部、忘れたいけれど…。悪質な業者は絶対許せません」。

こう怒りをあらわにするのは東京都在住の鶴田さおりさん(仮名・32才)だ。彼女は東京と福岡で宝石販売を起こっていたT社(福岡での名称はD社)に騙され、昨年までに300万円以上のローンを組まされていた。
T社のやり方はこうだ。まず、男性販売員が若い女性を狙って電話で勧誘し、その後、恋人関係を偽装して、女性と親しくなる。そして恋愛感情を利用して次々に高額ローン契約をさせる。いわゆる「デート商法」だ。
T社の電話勧誘にあたっては「恋人呼び」と題するマニュアルが創られていた。そのマニュアルには、会話の進め方などの「台本」のほか、「相手を○○ちゃん(名前)で呼ぶ」、「恋人のように話す」、「軽く外で会う」等の指示があった。趣味やプライベートな話題をしながら相手の心に入り込む作戦だ。
さらに、T社は「接客マニュアル」を作って、販売員と客との“店外デート”を奨励していた。マニュアルには「男女の関係なんだと勘違いさせる」、「最低でも10回は相手を褒める」、時には手を握ったり、体を触ったりして恋人のように振る舞う」など、細かく指示が並んでいた。さらに「クーリングオフ期間内(購入契約後8日間)は、毎日電話とメールで連絡を取り合い、キャンセル防止をすること」と用意周到だ。

「特定商取引法」違反の疑い

そして、鶴田さんは底なし沼のように相手の言いなりになり、借金を重ねていくことになった。結婚をほのめかされていた上に、「お前のことを考えてデザインした」や「宝石を扱う人間と一緒になるんだから恥ずかしい物を持っていてはダメだ」、「売上がきつい。このままじゃ、いつまでも結婚できない」などと言われ、彼を結婚するつもりだった鶴田さんは、「彼に協力するつもり」で、約200万円でピンクダイヤモンドのリング、パールのネックレスを買うことになった。
彼に嫌われたくない一身で、何度も商品を購入した鶴田さんは、短期間で300万円以上のローンを抱えることになった。そしてローン審査に通らなくなると、男からの連絡は途絶えた。会社に電話をすると「体調不良で休んでいる」と言われるだけ。
「だまされた、と気づいた今でもローンは100万円以上も残っています…」鶴田さんは深いため息をついたー。
消費者問題の専門家が指摘する、悪質業者の問題点

こうした販売手法について、悪徳商法の相談を数多く受けているエクステージ総合法務事務所の代表・水口結貴行政書士は言う。
「まず、電話する時点で正式な社名と販売目的を告げていないなら、特定商取引法違反です。(T社の)電話勧誘マニュアルによれば、キャンペーンの招待状を送ったか確認の電話をすることになっているが、実は送ってはいない。これは不実告知にあたり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられます。そもそも『連絡が遅れているみたいで申し訳ない』という文言がマニュアル化されている時点で、送っていないことになりますからね」。
さらに、水口結貴行政書士は続けて「『勘違いを誘発させる』の文言は、組織的で悪質。男女の仲であると勘違いさえたうえでの契約は公序良俗違反の行為なので無効であり、契約を解除できます。商品の金額、支払い方法、品物の価値や品質、クーリングオフの説明など重要な事実を故意に告げないと、重要事項の不実告知となり、これも2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます」と説明してくれた。

「100万円の価値はない」

そもそもT社の商品に金額分の価値があるのか。看板商品のダイヤの大きさは、鑑定書には0.034カラットと書いてある。鑑定士に聞いてみると「0.1カラットあればまだいいが、そこまで小さいと…、おそらく数百円から2000円位ではないでしょうか」との回答。100万円で購入したことを告げると「えっ?それは、どういう付加価値があるのかにもよりますが、あまりにもおかしいというか…」と困惑気味に言う。
前出の水口行政書士も「こんな品物を100万円以上の値段で売れば、詐欺と言われてもしかたがない暴利行為。著しく価値を誤認させてお金を取っているわけですから」と指摘する。
実際、福岡県警にはT社関連少なくとも5件の相談あるいは被害届が出され、福岡県消費生活センターにも解約仲介依頼や苦情が寄せられている。
匿名を条件にT社の元営業マン(26)が、驚くべき実態を明かした。
「営業マンは東京に30人位、福岡には15人位がいて、それぞれ年間で20~30人の“顧客”を抱えている。顧客一人から平均で150万は取る」。
単純計算しただけでも、年間の「被害総額」は全体で20億2500万円にもなる。この恋愛偽装を成功させるため、T社はイケメン営業マンばかりを集めていたという。

返済に困り風俗でバイト

だが、金の切れ目が縁の切れ目。元営業マンは続けてこう言った。「ダイヤモンドなんて5000円もしない代物。相手の年収によって売る額を決めて、クレジットが限度額いっぱいになったら消費者金融で借りさせる。相手の女に風俗で働くことを勧める同僚もいた。俺も最高で800万円を売ったことがある。最終的に電話やメールを減らして、関係を自然消滅させればいいだけの話。特定商取引法? そんなの知らないね」

九州地方に住む派遣社員の山本洋子さん(仮名・30才)も被害者の一人だ。
「ファミリーレストランで会ううちに呼び捨てになりました。突然、ネックレスを2つ出して『どっちが好きか?』と聞かれ、1つを指しました。『これは恋人同士が付けるものだ。ペアで持とう』と言われ、気がついたら契約書にサインをしていました。64万円です。何カラットと言った説明はなく、単に『希少価値が高い』とだけ。彼からは『つきあってほしい』と言われ、デートもしました。後はなし崩しです」。
福祉関係の仕事をする大石加奈さん(仮名・24才)も同じ営業マンに総額400万円もの借金を背負わされて、警察に被害を訴えた。
「最初、4人の男性に取り囲まれ、買うようにしつこく勧められました。結局、現物を見ることもなく契約書にサインをさせられた。その後も、商品を取りに行ったりするたびに新しい商品を勧めてくる。『俺が加奈ちゃんのために直接、パールの養殖場から持ってきた価値のあるもの』と言って、買わされたこともあった。彼を好きになってしまったせいもあって、頼られると弱かったんです」と力なく言った。

こうした被害者の化は悲惨な状況をT社はどう考えているのか。当社からの質問状に対し、T社社長から文書で回答があった。
「客をダマす目的で作成されたマニュアルは存在いたしません」。強引な販売と暴利行為については「適正価格に基づいた金額で販売しているもの」で暴利販売はしていない」と主張する。さらに恋愛関係、肉体関係の偽装についても前面否定してきた。福岡のD社はコメントを拒否した。
T社の接客マニュアルには、同社の「座右の銘」とでも言うべきキャッチコピーが踊っていた。「相手の心が落ちれば、お金も落ちる!!」
数多くの女性の心をもて遊んだ悪徳業者は、さて、どこへ落ちるのか…。

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テレビ朝日 「スーパーJチャンネル」2006年3月14日

「必ず上場するので」と嘘の説明で、主婦を
狙う未公開株詐欺が横行

ある被害者に話を聞くことができた。「株が上場すれば2倍から3倍になるから」と言われ、4株で165万円を支払ったという。
しかし、消費者問題に詳しいエクステージ総合法務事務所・代表行政書士の水口結貴さんは、「未公開株が、市場に出回ること自体が不自然」と指摘する。
そこで、我々は上場予定会社を訪ね、株について取材を行なった。
上場予定があるのか?という質問に対して、電話に出た女性は「担当でないのでわからない」と言い、担当者を出してくれるように言うと「担当者は今、いない」、いつならいるのか?と重ねての問いにも「わからない」とそっけない対応。今、急増する未公開株詐欺の実態が明らかに。

空前の株投資ブームの中、
何も知らない一般投資家をねらった詐欺も横行していた

一般投資家は、知識が無いため騙されやすく、しかもどんどんターゲットが入ってくる、詐欺をねらう側にとっては「おいしいマーケット」になっている。そのため、詐欺をする人間も集まってくるのだ。
それまで、株取引を一度もやったことが無いという被害者夫妻に話を聞いた。知人から「元証券マンに金を預ければ、金を運用して利益が出る」と説明を受けた。この被害者は、最初100万円を出資→10万円の配当金を手に入れる。そして、また100万円の投資に対して10万円の配当。それが3回はあったそうだ。元証券マンの事務所も専門家らしい雰囲気で、すっかり信用してしまったと言う。結局、100万円を3回投資して、都度10万円の利益を得る。
そんな中で、元証券マンはこれを上回る「儲け話」を持ちかけてきた。それが、未公開株の購入だった。「投資額が最低でも10倍になって戻ってくる、間違いない」と言われたそうだ。それまでの儲けがあったため、有頂天になってしまい貯金を全部出してしまったのだ。その額800万円。その後、800万円と共に元証券マンが姿を消し、1円もお金は戻ってこなかった。

未公開株に関する被害・相談は急増している

東京都生活相談センターによれば、未公開株に関する相談は昨年度の5倍、400件にのぼっているという。未公開株とは、株式を市場に公開していない会社の株のこと。未公開株が新規に上場される場合、市場価格が一般公募価格の2倍~3倍に跳ね上がることも珍しくない。例えば、A社の場合、一般公募価格(1株)は76万円だったが、上場後の初値は347万円。仮にA社の未公開株を1株持っていて、この時点で売却したとすれば271万円という大きな利益が出ることになる。
実際には「存在しない未公開株」を使って、金銭をだまし取る

実際、未公開株を手に入れるのは大変難しい。多くの場合、実際には存在しない未公開株をあたかも実在しているかのような虚偽の説明をして、投資家を騙しているのだ。
しかし、中には実際に存在している「未公開株」を使ったトラブルが発生していた。
被害者の話を聞いてみると…。Aさんのところに、全く知らない会社から電話があり、「絶対に得だ」という説明をされた後、会社パンフレットが送られてきたという。そのパンフレットには、未公開株の魅力が詳しく説明されていた。さらに、その後「新規上場予定株情報」といったパンフレットも送付されてきた。そこには、実在するある会社名と魅力的な投資プランが記載されていた。
○譲渡価格(1株)=35万円
○初値(予想)=80万円
株取引に詳しくない人が見ると、まるで45万円の利益が約束されているようにも見える内容だったと言う。そのタイミングで、さらに業者から勧誘の電話があり、「株が上場すれば、2倍~3倍になる」と言われ、Aさんは4株=165万円を購入した。しかも株券は数回に分けて送付され、宅配便(代金引換)で現金払い、もう1社は、郵便局から電信為替で払い、後日株券が送られてきたという。
しかも、支払後に「上場が1年延びる」と言われ、そのままずるずると現在に至る。

消費者問題の専門家に、未公開株詐欺の問題点を聞いた

Aさんは、相談のため消費者問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴さんを訪ねた。Aさんは、実際に送られてきた株券を持参し、水口結貴さんに見てもらったところ、「未公開株が市場に出回ること自体が不自然」という指摘を受けた。被害者Aさんは、業者から「上場予定が狂ってしまうので、発行元に問い合わせはしないでほしいと言われていた」と告げると、水口結貴さんは「発行会社自体も詐欺目的で、このような話をでっち上げている場合も考えられる」と説明してくれた。
さらに続けて、未公開株の不自然な流通に疑問を投げかけた。なぜなら、未公開株には「譲渡制限」がかけられていることが多いからだ。実際に、Aさんが購入した会社の登記簿を見てみると、「株譲渡には取締役会の承認が必要」と記されている。つまり、Aさんが株券を所有していても、会社側が株主として認めない可能性が高い。

登記簿に記されているこの会社の本社を訪ねてみたが…

平日の昼間にも関わらず従業員がいる気配が無い。次にこの会社のホームページを見ると、新着情報の日付は3年前。この会社の代表電話に電話をかけてみると「上場予定はすぐにはないと思う」と、すぐに上場予定がないと認めた。
本来、限られた銘柄しか証券業・証券会社は未公開株を扱ってはならないし、また、経営内容が不透明なことも多いため、日本証券業教会では未公開株の投資活動を原則、禁止している。
未公開株を取り扱うには、証券業登録が必要であり、登録を受けていない場合は証券取引法違反になると金融庁監督局の証券課長は説明する。
対して、株券の販売業者は「未公開株は、有価証券と解釈していないので違法な営業をしているつもりはない」と説明するが、悪質業者に騙されないためにも、安易な儲け話には十分、注意したい。そして、自分一人で判断がつかない場合は、早めに法律家に相談を。

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日本テレビ 「NEWSリアルタイム」2006年4月26日

高齢者を狙った悪質商法が後を絶たない
駅前で無料景品を配り、会場へ誘い込む

高齢者を狙った、「催眠商法」の現場に密着した。

悪質業者は、駅前で「無料の景品」を配る。そして、受け取った高齢者を会場へと誘い、そこで高額な布団等の商材を売るのだ。
悪質業者の手口を知るため、販売会場にカメラが潜入した。業者は数名で会場に乗り込み、「この商品で『ドロドロ』の血を『サラサラ』に変える」など、高齢者が気になるポイントをうまく、セールストークに入れ込んで気を引く。
布団の説明をするときには、「この布団を使えば、痛かった足が痛くなくなる」等、健康への不安や薬事法を無視した説明をしていた。この布団の価格、なんと58万円以上もする…。
悪質商法販売会場へ潜入!  その手口とは

横浜駅前。そこではある業者が、高齢者に景品を配っていた。20人ほど集まると、業者は高齢者を促して移動する。前後を業者を思われる人間が挟んでいる。そして数分歩いた先の飲食店へ。
同時にこの業者の車を追い、会社へ。ある私鉄沿線の雑居ビルの1室。窓から販売目標が透けて見える。1ヶ月の売上回収目標「1,216万円」。その横には、説明会に集まった人数と1日あたりの販売本数が。

別の日、この業者は今度はJR西荻窪駅前にいた。取材時、すでに10人以上の高齢者が集まっていた。スタッフが近づいてみると…。「記念品ですから、もらってください」と声をかけながら、景品を配っている。景品をもらった後、業者に言われるがまま、行列の後ろに並ぶと…。「使って気に入ったら電話で注文してくれればいい」との声。
商品(サポーター)の説明の後、すぐに商品を渡すわけではなく、「サポーター引換券」を配る業者。
そして、このあたりは同業者(病院・商店)も多いから、似たような物を扱っていると怒られてしまう…と理由をつけ、近くに用意しているという会場で商品を渡す、と高齢者達を誘導し始めた。そして、ある店舗の前で、品物を配るので、わかるように券だけ持っていて、と指示する。その上で「出入りは自由」と安心させ、店内へと高齢者達を入れていく。
奥の座敷には「試供品キャンペーン」と書かれた幕が。そして説明役が登場。あくまでも宣伝で、売ったり買ったりはできないと強調してからサポーターを配る。その後「大腸ガンの予防のために作った」腹巻きと、その腹巻きにも使用されていて、かつ「まだ、どこにも売っていない」という「磁石」の宣伝を続ける業者。業者は指圧で有名な人物の名前や実際のCM例なども挙げながら、説明を続ける。さらに難病の患者を数多く救ったことなど、いかに商品が素晴らしいものであるかを続け、有名人の協力を得て国が認可した新しい商品が発売されると言った。さらに新商品の説明と高い治療効果を説明する業者。曰く、特別な磁石が使われており、様々な病気に効くという。

ようやく布団のパンフレットを取り出す業者
入れ替り立ち替りで、布団の効能・効果を宣伝、観衆をあおっていく

奥にしまってあった布団をとりだし、かぶれないように24金加工をしている等と言ったうえで、「布団ではなく『治療器』だ」と強調する。曰く、5時間以上使えば、「サラサラの血液に変わるという事で、認可をもらっている」、「高価な磁石が88個もついているからね~」と、布団の価値を業者は煽る。そして、やっと「58万8000円」という価格が出された。とろこが、今、会場にいる人だけは「20万円の値引き」があると続けた。この時は、3人が購入を決めた。しかし「病気が治る」と説明された布団、効果が本当にあるのだろうか?

後日、業者が会場で名前を出していた指圧で有名な人の学校に話を聞いてみたが、「指圧で糖尿病患者を数百人も治したという話は聞いたことがないし、データも無い」。また、「布団の開発にたずさわったり、磁気治療の布団を作ったことも無い」との返答だった。また、業者が例に出していた腹巻メーカーのCMにも出演したこともなく、顧問にもなっていないという。

さらに、東大医学部教授に聞いてみたが、磁石の周り数センチに磁気を出すことはあっても、それが高血圧等の疾患を治療するまでには至らないだろう、という回答だった。

消費者問題に詳しい法律家に、問題点を聞いた
こうした高齢者をねらって高額な商品を販売することの問題点について、悪質商法に詳しい、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴行さんに話を聞いた。
悪質業者の車両登録証を見て、水口結貴さんは、2つの会社はグループ会社の関係にあると教えてくれた。このグループは、元々が関西で発祥し、幹部を関東に派遣しながら、拠点を次々に作っているとのことだ。また、この業者は大阪に本社があり、強引な手法が問題になっていた。そのためか、売上は激減していて、「もめたくないから止めた」という、元従業員の証言も得ることができた。今も、この業者は首都圏各地の駅前で、高齢者をねらっている。高齢者をねらった悪質商法の撲滅を願ってやまない。