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J-WAVE 「JAM THE WORLD」2007年2月26日・27日・28日

もしも、あなたが「クーリングオフ」を知らなかったら?

(2007年2月26日)
英会話のノバが、解約を巡り特定商取引法と東京都消費生活条例に違反する恐れがあるとして、経済産業省と東京都の立ち入り検査を受けていたことがわかりました。
さらに、クーリングオフを巡ってトラブルになるケースも起きています。
そこで、「もしも、あなたがクーリングオフを知らなかったら?」と題して紹介します。

今日は、クーリングオフの有効期間「8日間は、いつから数えて8日間か?」。
クーリングオフ・ネットを手掛ける、エクステージ総合法務事務所の行政書士 水口結貴さんに解説していただきます。

水口結貴行政書士
クーリングオフは、消費者の側から一方的に、無条件に解約できる制度です。
クーリングオフができる契約は、法律で定められていて、例えば訪問販売や電話勧誘販売、キャッチセールス、マルチ商法などです。こうした、不意打ちで向う(業者)から近づいてきて何か契約をしてしまった、こうした取引に限られています。通信販売や店舗での契約などのように、事前にカタログで検討できたり自分の意思で店舗に行った場合は、クーリングオフはできません。

また、クーリングオフは「できる日数(期間)」が決まっていて、基本的には8日間です。ただ、この8日間というのは契約をした日から数えるのではなく、「クーリングオフができる」と記載されている契約書を受け取った日から8日間」です。この間であれば、無条件で解約できます。
無条件というのは、例えば払ったお金があれば全額返してもらえる、損害賠償などもありません。
しかし今回のノバの場合は、クーリングオフとは別の「中途解約制度」があります。これはクーリングオフを違って、日にちは関係なくいつでも中途解約ができます。そして、中途解約の場合は、費用の精算や解約の精算の上限についても法律で決まっています。
国民生活センターによれば、英会話教室を巡る相談は2006年までの6年間でおよそ1万9千件に昇り、このうち「ノバ」に関する相談は約5200件。経済産業大臣は「ノバは相談件数が突出しており、問題があると思う。同業他社にも問題がないか注意を払っていきたい」と述べました。
水口結貴行政書士、ありがとうございました。

(2007年2月27日)
英会話のノバが、解約を巡り特定商取引法と東京都消費生活条例に違反する恐れがあるとして、経済産業省と東京都の立ち入り検査を受けていたことが明らかになりました。さらに、クーリングオフを巡ってトラブルとなるケースもあるようです。
そこで、「もしも、あなたがクーリングオフを知らなかったら?」と題して紹介します。

今日は、「クーリングオフが適用されないのは、どういう場合か?」。
クーリングオフ・ネットを手掛ける、エクステージ総合法務事務所の行政書士 水口結貴さんに解説していただきます。

水口結貴行政書士
クーリングオフができない場合とは、例えば店舗で購入した場合や通信販売、自動車などはクーリングオフはできません。通信販売や店舗での契約のように、あらかじめカタログをじっくり見る時間があったり、自分の意思で店舗に出向いて、商品を選びながら買った場合には、クーリングオフは適用されません。

その他、3000円未満の商品を購入して同時にお金を支払った場合や、消費者としてではなく事業者(店舗)として購入した場合もクーリングオフはできません。
また、健康食品や化粧品などの「消耗品」を、一度使用してしまった場合も解約はできません。ただし、こうした場合でも解約できる場合があるので、消費者センターや法律家に相談された方がいいでしょう。

その他、クーリングオフができないものに以下があります。
○1ヶ月以内のエステティック契約
○2ヶ月以内の学習塾、語学塾、家庭教師などの契約
○5万円以内のエステティック契約、学習塾、語学塾、家庭教師などの契約
○消耗品を使用した場合
同様の商品を20個購入し、1個だけ使用した場合、残り19個はクーリングオフができる。

なるほど。1口に「クーリングオフできない」と言っても、こんなに細かい条件があるのですね。
水口結貴行政書士、ありがとうございました。
(2007年2月28日)
英会話のノバが、解約を巡り特定商取引法と東京都消費生活条例に違反する恐れがあるとして、経済産業省と東京都の立ち入り検査を受けていたことが明らかになりました。さらに、クーリングオフを巡ってトラブルとなるケースもあるようです。
そこで、「もしも、あなたがクーリングオフを知らなかったら?」と題して紹介します。

今日は、「クーリングオフを上手に活用する方法は?」。
クーリングオフ・ネットを手掛ける、エクステージ総合法務事務所の行政書士 水口結貴さんに解説していただきます。

水口結貴行政書士
クーリングオフは「できる期間」(日にち)が決まっているので、「納得いかない契約だな」と思ったら泣き寝入りせず、法律家や消費者センターに相談してみる、あるいはまだ契約書を受け取ってから日にちが経っていないなら、クーリングオフをするのが1番良いと思います。

クーリングオフの書面の書き方ですが、特に決まっているわけではありません。
「○月○日、●●の契約をしたが、これを解約します」ということだけ書いてあれば大丈夫です。
相談窓口は、全国にある消費者センターであれば無料で相談に応じてくれます。
もしくは、インターネットでも法律家が相談に応じている所があるので、こうした所を利用するのが良いでしょう。

悪徳業者の場合、クーリングオフ期間を偽る場合があります。
正確には、「クーリングオフができる」と書かれた契約書などを受け取ってから、8日間もしくは20日間がクーリングオフ期間なのに、業者によってはこうした書面を発行していない場合があります。そして、「契約日から8日間を過ぎているので、クーリングオフはできない」と嘘をつく場合があります。しかし、本当は「クーリングオフができる」と書かれた書面を受け取っていない限り、いつでもクーリングオフができます。この他、居留守を使ってみたり、のらりくらりと応じない場合や、脅したりクーリングオフを妨害するケースもあります。
このような場合は、「クーリングオフ妨害」が無くなるまで、クーリングオフ期間が延長されます。
なるほど。何か納得がいかない、不当な契約だなどと思ったら、すぐに消費者センターや専門家に相談した方がいい、ということです。泣き寝入りはしない、ということですね。
日本の消費者はやはり、おとなしいような印象があります。
お金を払っているわけですから、それに見合った価値があるのか、良い意味でのクレーマーになるべきではないでしょうか。
水口結貴行政書士、ありがとうございました。

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フジテレビ 「めざまし土曜日」2007年4月21日

真珠養殖業者が女性をねらい、50億円を違法に集金 警察の家宅捜索を受ける

女性を狙って、違法に資金を集めていたとして、家宅捜索を受けた。配当は一昨年の夏から止まっていて、警察は詐欺での立件も視野に入れて調べている。

街頭で女性100人にアンケートをとったところ、なんと
71%もの人が悪質商法と思われる勧誘を受けていた。

さらに、「どの時点で怪しいと気づいたか?」という質問には、半数近くが「話しかけられたとき」と答えていて、最初の言動ですでに警戒していることがわかった。
○話しかけられたとき…49%
○店や説明会に行ったとき…15%
○購入後…11%
実際にどんな被害にあったのかを聞いてみた。訪問販売で「水の点検」と言っていたのに、どんどん浄水器の話になり雰囲気に飲まれて契約をした人。なんと価格は70万円。「原野商法」で、80万円程の土地を購入したが荒れ果てた原野で「土地」と呼べるようなものではなかったと言う。

国民消費者センターによれば、女性被害者の割合が多い悪質商法は、次のようなものだ。

○展示会販売…被害者の85%が女性
20代、そして50代~70代が中心
着物やアクセサリー等。
展示会に呼び寄せて、販売員2~3人で長時間、強引に勧誘して契約させる。

○開運商法…被害者の84%が女性
20代が中心。
印鑑、壺等。
人の悩みや弱みに漬け込み、「開運するために必要」と言って高額商品を買わせる。

○SF商法…被害者の78%が女性。
60代以上が中心。
「日用品を無料であげる」と言って、仮設の会場ヘ誘い込み、最初は安い品物を先に手を挙げた参加者に無料で渡して雰囲気を盛り上げ、最後は羽毛布団等の高額商品を買わせる。

悪質商法被害にあってしまったら「クーリングオフ」を活用しよう

悪質商法問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴さんに対策などを聞いたところ、「クーリングオフ制度」について説明してくれた。クーリングオフは、法律で決められた商法・商品に限って適用され、クーリングオフ期間は8日間から最大20日間までとなっている。クーリングオフは、消費者側から一方的に契約を解除できる権利だ。

しかしアンケートによれば、クーリングオフの方法を知っている人は、わずか24%で、76%の人はクーリングオフの方法を知らない。水口結貴さんは、クーリングオフの方法について、「ハガキや書面など記録の残る方法で契約解除の意志を伝えること」と教えてくれた。証拠が残らない電話や直接会ってなど、口頭のやりとりはやめよう。

悪質商法の専門家が教える、クーリングオフ以外で契約を解除する方法

注意が必要なのは、クーリングオフが適用されない場合だ。
消費者に購入の選択が任されている通信販売や、化粧品など法律で指定されている「消耗品」を一部でも使用した場合には、クーリングオフは適用されない。

しかし水口結貴さんは、クーリングオフが適用されない場合でも「消費者契約法」で解約できる場合があると教えてくれた。
消費者契約法では「必ず儲かる」等の説明を受けた、訪問販売で業者に帰って欲しいのに帰ってくれない場合等、契約を取り消すことができるという。契約した後でも、納得がいかない契約だ・解約したいと思ったら、泣き寝入りせず、諦めずに「解約したい」と言っていくことが大切と説明する。悪質商法の被害者に女性が多いのは、女性はなかなか断ることができないからとも、水口結貴行政書士は教えてくれた。

悪質商法に合わないためのポイント
○業者から声をかけられてもついていかない
○納得のいかない契約は、しっかりと断る
○その場で契約をしない

悪質商法は、いつもあの手この手で女性を狙っている。悪質商法の被害にあった場合は、諦めて泣き寝入りせず、専門家を頼りたい。

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フリーペーパー 「+R25」2007年6月25日

頼ってみるのもいいんじゃない?
できないことを誰かに頼む こんな代行サービスはいかが?

プレミアチケットを手に入れることから合コンのセッティングまで、様々な代行サービスが溢れている。そこで年末のこの時期、ボーナスもあてにして頼んでみたい代行サービスをピックアップしてみた。

○ 「年末だし、部屋をきれいにしたい!」という人には
「ダスキン」が行うハウスクリーニングを紹介。部屋丸ごとの掃除だけでなく、布団の丸洗い宅配サービス、エアコンのクリーニングなどをオプションで頼むこともできる。

○「この機会に、海外オークションでレア物を手に入れたい! でも英語が全く…」という人なら
世界最大のオークションサイト「ebay」(イーベイ)の入札代行サービスがある。スタッフによれば「皆さん、翻訳サイトや辞書とにらめっこで何とか購入まではできるんです。しかし、その後が心配なんですね。何か問題があった場合に、クレームを言いたくても、何をどう書いていいのかわからない。だから保険的にうちを利用される方が多い」そうだ。

●「巧みな話術にはまって、欲しくもない高額品を買わされてしまった…」という人には

そんなときの強い味方が「クーリングオフ・ネット」。書面だけのだけのやり取りでも解決できる場合も多いそうだ。クーリングオフ・ネット代表行政書士 水口結貴さんは「業者が『これはクーリングオフできない』と言った場合でも、業者かわから近づいてきた契約であれば、ほとんど解約できます。クーリングオフ期間を過ぎた場合、多少厄介になりますが、それでもやり方がありますから、まずは相談してください」と教えてくれた。

自分一人ではできないことを「代わりにやってもらう」。今年のボーナスの使い方の1つにしてみては、どうだろうか。

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小学館 「女性セブン」2007年11月15日

チャット、ゲーム、占い、通販…。危険はとなりあわせ
私は、アツくなる女

周りが全く見えないくらい信じ込んで、詐欺まがいの悪徳商法に引っかかってしまう人が後を絶たない。そのほかにも、色々なことにハマってしまう人、アツくなってしまう人がいます。
もちろん熱中するのは自由でも、思わぬ落とし穴があることも…。

「1口100万円で、金を預けると3ヶ月ごとに9万円の配当を払う」、「配当によっては“円天”(会社独自の電子マネー)を支給して、円天市場の会員限定のバザー会場で日用品と交換できる」-。
こんな触れ込みで勧誘し、全国の会員5万人から総額1000億円もの金を集めていた健康食品会社(東京都・新宿)「L&G」が、10月初旬に一斉捜索された。被害者には高齢者や主婦も多く含まれていたという。
「近年、家計が苦しいから少しでも得になることをしたい、副業やインターネットでお小遣いを稼ぎたいという主婦が増えています。マルチ商法(連鎖販売取引)だけでなく、最近は“アフェリエイト”の相談も増えています。自分のホームページにリンクを貼って、商品が売れると報酬がもらえる仕組みですが、詐欺まがいの業者もいるようで、“お金を取られたので解約したい”という相談も多くなっています」。
こう話すのは、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士・水口結貴さんだ。水口結貴さんは、「クーリングオフ・ネット」を主宰し、全国から寄せられる数多くの相談に応じている。
不況の影響もあってか、「収入を少しでも増やしたいと思っている女性は多く、お小遣い系の相談の約6割が女性。しかも同じ人が2度、3度と繰り返し騙されてしまうケースも多い」と説明してくれた。

子ども用ゲームにのめり込み、貯金が半分に

深夜の通販チャンネルにハマってしまった静岡県の主婦、Aさん(46才)。「多いときで月に30万円くらい使うこともある」という。前に欲しかった商品が売り切れたことがあり、それをすごく後悔したのがハマったきっかけとか。
一時期、「買い物依存症」が注目されたが、こうした通販専門テレビ番組やインターネットの普及は、ますます買い物にハマる女性を増やしているようだ。
また、意外にも「ゲーム」にハマる女性も多かった。京都に住む主婦のBさん(38才)は、子ども用のカードゲームにハマってしまい、毎日のように近所のスーパーやゲームセンターに通っている。元々は子どもに誘われて始めたそうだが、「子どものためにかわいいカードを取って喜ばせようと思ったら、自分が夢中になってしまい…」と話す。気が付けば1ヶ月で3万円を使ったこともあった、という。コツコツ内職で貯めた貯金の半分をすでにこのゲームにつぎ込んでしまったそうだ。

ほかにも、こうした「アツい」女性たちが大勢いる。
「家族が寝た後に携帯用のゲームをやらないと気がすまない」。「嫌なことも忘れられる。夫の浮気も父が亡くなったときも、ゲームをやって忘れました。そうするうちに手放せなくなって…」(主婦・44才)
「チャット」にハマってしまったのが神奈川県に住む主婦Cさんだ。彼女はバツイチ。離婚後、彼女はたとえようもない孤独感に襲われた。深夜の寂しさを紛らわすため、離婚した人限定のチャットルームに入るようになった。「参加している人は、本当にみんな優しくて、安らぐ言葉もかけてくれ…」と毎晩、チャットをするようになった。ところが、朝までチャットを続けて移写いるので、パートも休みがちになり、結局クビになってしまった。「子どもの養育費をもらっているだけなので、無職になり生活が厳しいです。ここまでにならなければ、自分の状態に気が付かなかったのか…」と後悔している様子だった。
心療内科医によれば、「女性は男性に比べて、世界が狭くなる場合が多い」と指摘する。さらに「家の中で一人だったりすると、客観的に自分を見ることができず、気がつくと(ハマる行為が)加速してしまう」そうだ。
逆に、友人や職場の同僚など、親しい他人がバランスよくいる人は、行き過ぎる前に気づいたり、自分を客観的に見ることができるという。

誰かが、リセットしてくれる…
何かにハマったとしても「人に迷惑をかけない」分にはかまわないだろう。しかし、中にはトラブルに発展してしまうケースもある。
Dさんは「引越し」にハマっている。原因は「風水」だ。何か悪いことがあると「風水的にいけないから」で、夫とのケンカも「風水のせい」になってしまう。独身時代に8回、結婚後に3回。この引越しで毎回100万近い出費になってしまう。そのためDさんはスナックでアルバイトをするようになり、それが原因で夫との間にまたトラブルが起きている。
さらに深い罠が「悪徳商法」だ。前出の水口結貴行政書士は、「重ねて何度もだまされてしまう人は、例えばキレイになりたい、お金が欲しいという強い気持ちを前々から持っている。それが消えないから、一度だまされたとしても『今度こそ、大丈夫』と思ったり、前の損を取り戻そうとして、また騙されてしまうのです」と語る。
しかも女性がハマっていく背後には、友人や親戚、同僚など信頼関係のある人によって誘われることも多く、断り切れないのも被害を大きくしていく。
こういった女性の根底には共通点があると、心療内科医は指摘する。
まず、現状に不満があり「満たされていない、幸せでない」と感じていること。
次に、王子様症候群のように「いつか誰かに人生や運命を変えてもらいたい」と無意識に思っていること、だそうだ。
だが、こうした他力本願的な願いは別いして、夢中になれることがあることは悪いことではない。逆に「ハマった」ことから、生きがいを見つけたり、友人が増えたり、おしゃれになったり、という効果も期待できるだろう。誰でも一つや二つは「ハマりもの」を持っている。後は「ハマった」熱狂が冷めた後、とんでもない状況になっていた、ということはないように気を付けておきたい。

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朝日新聞出版社「AERA」2008年6月26日

現地取材「3千円のクズガニが1万2千円」
カニカニ商法中身

普段日本人はカニが大好きだ。ある日突然、自宅にカニが送られてきても、代金を払ってしまう人も多いそうだ。
しかし、トラブルも増えている。

今年になって増加中

熊本県内の主婦(76)が玄関に出ると、郵便局員がクーラーボックスから白っぽい紙に包まれた物を取り出して、こう言った。「着払いで2万円です」。
送り主は札幌の水産会社で、注文した覚えはない。受け取らなかった。翌日、遠方に住む息子(50)が、送り主の会社に電話をして「注文していないので、受け取りを拒否する」と言った。
するとすぐに、主婦の自宅へ電話がかかってきた。「お前んところのガキを出せ!」と中年男性の声で、息子と話をさせろと言う。息子は遠方に居る、ここにはいないと答えるが「いいから、ガキを出せ!」と繰り返す。何とかしてカニを受け取らせようとしている、と思った主婦は「カニは絶対、受け取りません」と言って電話を切った。
すると、すぐに電話がなりまた「ガキを出せ!」と言う。すぐに切った。また電話がすぐに鳴った…。主婦は電話に出るのをやめた。

注文していない品物を送りつけて、代金を支払わせる「送り付け商法(ネガティブ・オプション)」。その商品に「カニ」が使われるケースが増えている。通称「カニカニ詐欺」だ。今年(2008年)4月以降の2ヶ月足らずだけでも、群馬、和歌山、島根、熊本各県の消費生活センターに計9件が報告されている。
2006年度は全国で6件、07年度が12件だったのと比較すると、極端に増えていることがわかる。

ドア越しに聞こえた声

熊本県消費生活センターによれば「トラブルがあっても、実際に相談するのは全体の4~5%」程度だという。つまり、実際いはもっと多くの「被害」が出ている可能性がある。どんな業者が売っているのか。
熊本県の主婦にカニを送った業者を訪ねた。「○○水産」の看板がある。近づくと、男女の声が聞こえてきた。「今、カニ祭りやっててね、タラバのセットで、札幌市場で買ったら3万円前後するんだぁ。それを1万7千円で、送料も無料で…」
ノックすると男性がドアを開けた。中では音楽が響き、茶髪や金髪でラフな服装の若者たちが電話勧誘の真っ最中だった。社長は不在だ、という。

-注文していないカニが届いて、代金を請求された人がいますが?
「うちはそういうことはやっていない」
-「ガキを出せ!」などと威圧的なことを言った?
「それは絶対にない」
-いつから営業をしている?
「今年の4月からです」
-会社名で販売していますが、法人登記は?
「登記はこれからです」

「送りつけ」だけではない

「カニカニ詐欺」のトラブルは「送り付け商法」だけにとどまらない。消費生活センターへ寄せられた相談では「勧誘が強引」、「品物(カニ)の品質が悪い」と言った内容が多い。
九州地方に住む主婦(48)は、札幌の業者から2日間で4回に渡り電話勧誘を受けた。断り切れず、タラバガ二などを1万4千円で購入した。しかし、届いた品物は身がスカスカ、味噌も殆どなく「サービスする」と言ったホタテも入っていなかった。
主婦は「話が違う」と返金を要求した。すると「金を返せだなんてクレーマーだ」と拒否された。警察に通報するというと、専務という男性から謝罪があった。しかし返金については「しばらく待ってほしい」と言われたきり、何の連絡もない。

テーブルに投げた名刺
この業者も訪ねてみた。看板などは出ていない。ドアを開けると20代~30第の男女3人がいた。応対した男性に事情を聴きたいと言うと「担当者がいない」と繰り返す。出直す、と言うと「もう、来なくていい」と渡した名刺をテーブルに投げ出した。その後、電話があり「責任者は取材は受けないと言っている」ということだった。

「年中カニ祭り」
札幌のアルバイト情報誌を見ると「通信販売PRスタッフ、主に道外のお客様への電話でのカニのご案内・販売」という募集が多くある。こうした業者を数ヶ所訪ねてみた。すると、電話での売り口上に共通の特徴があることがわかった。

1.身元を明らかにしない(会社名を名乗らない)
「北海道の解散物屋ですが、いつもお世話になっています…」
2.イベント、特別セールを強調する
「今、カニ祭りをやっていまして…」、「今年で創業30周年なので、それを記念して…」などのトークで「今だけ」やお得感を演出する。

3.「本当はもっとする」と言いながら、最初に1万5千円前後の価格を提示する。

「カニ祭りの海上から電話をしている」と言っていた会社に「どこで、カニ祭りをやっているのか?」と聞いたところ「年中、カニ祭りなんで」との答えだった。「創業30年」をアピールポイントにしていた会社は、実は今年設立されたばかりだった。

では、電話をかける相手はどうやって選んでいるのか?
業者に質問すると、どこも「電話帳で」と答えた。しかし、道内のカニ取扱業者の話は違った。「以前、顧客名簿を持ち出した従業員を解雇したことがある。うちだけじゃないはず。他社も併せたら、何万人単位の名簿が出回っているのではないか」。

悪質商法の相談を数多く受けている、行政書士エクステージ総合法務事務所の代表・水口結貴行政書士は、「電話勧誘をする業者に最も重宝される名簿が『カモリスト』と呼ばれるものです」と前置きして、次のように説明してくれた。「過去に、悪徳商法の被害を受けた人のリストは、通常の10倍以上の値段で取引されることもあります。こうした被害者は、繰り返して悪質商法の被害に遭う可能性が高いからです。他にも、通販利用者リストというものもあります。カニ購入者リストがあることも十分に予想されます。こうしたリストを悪質業者が金を積んで買い取ってしまうのです」

流通する「クズガ二」
カニカニ詐欺が増えている背景には、国内に流通するカニが減少していることも関係しているようだ。札幌のカニ卸売会社の営業担当者は「ロシアからの輸入が減って、傷があったり身が少ないなど、以前なら加工用になっていた『わけあり品』でも商品として市場に出回るようになった」と言う。
「以前なら、『クズガ二』扱いで、せいぜい3千円程度の物を、オレオレ詐欺をやるような奴らが1万2千円で売っているようなものだろう。こんなことが続けば、消費者がカニから離れてしまう」。
こんな「カニカニ詐欺」が成立するのも、カニが大好きな日本人が多いからこそだ。あるカニ販売業者の言葉が忘れられない。
「消費者のほとんどは、カニの種類お区別もつかない。もっと勉強しないと、いいカモにされるよ」。

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MXテレビ 「Tokyo Boy」2008年8月24日

普段ネットワーク社会に潜む罠

ネット社会。確かに便利だが、限りなく怪しい世界。そんな世界の「罠」=「闇」にはまってしまった被害者の話と、ネットワーク犯罪から身を護る秘策を紹介する。

アドバイザーとして、ネットワーク犯罪から詐欺犯罪まで詳しい、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士の水口結貴さんにおこしいただいた。水口結貴さんは悪徳商法問題のスペシャリストであり、これまで4000件以上の消費者トラブルを解決。最近では、新しい詐欺行為の撲滅に取り組んでいる。

ネットワークを駆使した詐欺被害は1300億円以上にも

被害例1 カニカニ詐欺
頼んでもいないカニが代引で送られてくる。開けてしまったり、食べてしまうとお金が取り戻せなくなっています。

被害例2 地デジ詐欺
公共機関を装い、訪問してくる場合もある。
自分から申し込まない限り、訪問してくることはない。
被害例3 還付金詐欺
被害者はお金を振り込んでいると思っていない

被害例4 貸します詐欺
中小企業を狙って「融資します」と言い、預託金や保証金の名目で金を振り込ませる。

詐欺師は、これから広まるネタ(話題)に目をつけて、付け込んでくるので注意が必要だ。

1人目の相談者 Aさん
「突如送られてきた脅迫メール? 限りなく怪しい出会い系サイト」

Aさんの相談は、登録していない出会い系サイトの人から、突然怪しいメールが届いたというものだった。それは、利用料金請求の脅迫じみたもの。Aさんが懸賞サイトの利用規約を読んでいたら、「姉妹サイトからメールが行く場合があります」という文言があったので、それかと思ったというが、内容が全然違っていた。
年配の方で、「お金があまっているから、キミに投資してあげるから、●●やってみたら?」というメールもあった。つまり、彼女は知らないうちに、ポイントが無くなるまで出会い系サイトの「サクラ」をしていたことになっていたのだ。まずい、と感じたAさんはポイントが無くなる前に、退会手続を行った。
すると、サイト側から送られてきたメールには「勤務先や自宅へ行く」、「どんな手段を使ってでも回収いたします」など、脅迫ともとれるメール文章だった。
しかも、請求総額は9万円+延滞金。

水口結貴さんは、このメールを見て「めちゃくちゃですね」という感想だった。「勤務先や自宅へ行く、という脅し文句だったり、請求している利息も、大変な利率だ」ということだ。

たとえ、登録していたとしても、「利用規約」をきちんと読んで、規約に「同意する」という画面がなくてはならない。
Aさんは「そんな規約や同意はなかったと思う…」と言うことだった。
続けて、「なぜ、個人情報が流出してしまったか?」という点については、例えば懸賞等に応募すると個人情報が漏れる場合があるので、その可能性が考えられる、ということだった。比較的、懸賞サイトや占いサイトは流出の可能性が高いと言われているようだ。
水口結貴さんは、このような場合、「自分から連絡を取らない」ということが大切、と強調した。

「ワンクリック詐欺」の手口。わずか2度のクリックで、請求額3万9千円?

次に「ワンクリック詐欺」の手口が紹介された。業者から送信されたというメール画面が紹介された。「個人情報を取得した」という脅しのような画面も出てくるが、水口結貴氏によれば、この金額は全く払う必要がない、という。なぜなら、こうした契約のためには必ず「利用規約」に同意する必要があるが、利用規約の画面はなく、本人も「そんな画面はなかった

この後、テリー伊藤氏は、画面を見ながら業者に電話をしてみた。
すると業者は、脅しともとれる口調で支払を要求してくる。そして一方的に電話を切る業者。
また、水口結貴氏は「以前であれば、ワンクリックでこうした請求画面が出てきていたが、それが問題になったので、今度は何回かクリックしないと請求画面が出ないように変えてきた」と、教えてくれた。

しかし、根本的な問題は全く変わっていない、という。たとえ、有料サイトを閲覧したり、サービスを利用した場合でも、「画面上に利用規約がきちんと出てきて、かつ規約を確認する画面があって、その上で“登録”しないと、契約は“無効”である」と教えてくれた。

さらに「相手業者は、脅しのように“請求の流れ”などを書いているが、実際にはいくつかのパターンがあるのだろう」と言う。「業者が“いくつか、請求の方法がある”と言っていたのは、こういうこと(知っている情報によって、請求方法を変えている)ということでしょう」と、解説してくれた。

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共同通信「日本全国・全世界の各新聞」2008年12月24日

留学仲介・日本通訳協会…破たん、残るローン
クレジット契約自衛策は「騒ぐ」「訴える」

留学仲介業「ゲートウェイ21」、日本語通訳協会、八王子自動車教習所など、複数の会社が相次いで破たんした。どの会社も資産が乏しく、教習費用などが消費者に戻ってくる可能性は非常に低い。こんな場合に、分割払のクレジット契約をした消費者の被害をこれ以上大きくしない手段は「騒ぐ」、「訴える」こと。

夢破れて…
ゲートウェイ21は、約12億円以上の負債を抱えて破産手続が進んでいる。被害者の一人は、来年のカナダ留学を控えて、約90万円を分割(10回)で払う契約をしていた。しかし、ゲートウェイ21が突然、9月に破たんした。夢は破れ、ローンだけが残ってしまった。「留学に行けないなら」と、「抗弁書」をクレジット会社に提出して以降の支払を拒否した。
(債権者を対象にした説明会で、厳しい表情を見せる海外留学仲介会社「ゲートウェイ21」の福井伴昌社長-中央)

抗弁書で支払停止も
クレジット契約の仕組みはこうだ。まず信販会社が加盟店(今回であれば、ゲートウェイ21)に代金を一括で支払い、立て替える。そして消費者から分割して、代金+金利を回収する。割賦販売法では、倒産等の理由で商品や役務が消費者に提供されない場合、信販会社からの請求を拒否できる「抗弁権」が認められている。

企業責任は
以前、語学教室やエステなどで解約トラブルが相次いだ。そのため法律が改正され、「抗弁権」が規定されたが、教習所、留学仲介は対象外だ。
今回の件について、悪質商法に詳しいエクステージ総合法務事務所の代表行政書士・水口結貴さんは、「対応を検討中なのだろうが、クレジット会社が再び請求してくる可能性はある」と指摘する。このような場合、企業が行政処分や刑事訴追などを受けると信販会社も「加盟店契約をした企業責任」を問われ、消費者に再請求しづらい、という面もある。

冬の時代に
「被害者はもっと声を上げ、社会に訴えた方が得策だ」と、水口結貴さんは言う。今回のようなケースでは消費者保護の立場から、信販会社が回収リスクを負担することになりそうだ。信販会社にとっても「悪質業者の片棒を担いでいる」と世間(消費者)からみられるのは、企業の信用問題に関わるからだ。
長引く経済不況の中、一括払では難しい契約を分割払で、と考える人は多くいる。信販会社は利用者(利用額)の増加だけに喜んではいられない。回収リスクとも向き合う冬の時代になっている。

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日本経済新聞社 「日経トレンディネット」2008年9月19日

IT起業、アフィリエイト、地デジ…。
悪質業者は「旬な話題」で、人をだます
2008年7月、カタログ通販大手の「ベルーナ」が、特定商取引法違反で経済産業省から6カ月間の業務停止命令を受けた。高額な呉服などを販売する目的を隠して展示会に消費者を勧誘していたのに加え、営業員などが複数で消費者を取り囲んで強引に契約を結ばせたりしていた。さらにクーリングオフ期間内なのに、クーリングオフを受け付けなかったなど悪質な販売方法が問題となった。悪質商法の現状を探った。

消費者問題の専門家いわく「悪質販売の手口に変化なし」

国民生活センターによると、消費生活相談の数は、5年連続で年間100万件を超えているという。そして、通信販売や訪問販売、電話勧誘販売など、いわゆる「店舗外販売」相談の半数以上を占める。

悪質商法問題の専門家、行政書士エクステージ総合法務事務所 代表行政書士の水口結貴さんは、「悪質商法の手口は、昔からほとんど変わっていない。“商材”だけが変わっていく」と言う。
例えば、「自宅で高収入」などの宣伝文句で増加傾向にある「内職商法」を見てみる。少し前なら、レセプト作成や宛名書きなどが代表的だったが、個人情報保護法の施行以来、レセプト作成は内職ではできなくなってしまった。そして、パソコンやワープロの普及で宛名書き内職も減った。
代わりに増えているのが、ホームページ作成やデータ入力などパソコンを使用したもの。仕事をエサに、パソコンや教材を高額で売りつけるといった悪質商法が多くなっている。
「悪質商法の業者は、時代を見る目に長けている」と、水口さんは言う。

例えば、IT起業がブームになったときには「未公開株」を、アフィリエイトがブームになったときには「アフィリエイトで稼ぐ方法」といった「情報商材」を販売する悪質販売が増えた。今後は、地デジのアンテナ詐欺などが増えるかもしれないと心配する声もある。
また、よく見られるが「一度被害にあった人が何度も被害にあう」というケースだ。これは、被害者の名簿が出回ってしまい、悪質業者から狙われやすくなっている、というのが理由の1つだ。
しかし、それだけでなく「一度騙された人は、何度も騙される傾向がある」。くれぐれも注意したい。

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リクルート「ケイコとマナブ」2009年11月25日

普段「人と接することに自信がある」なら
さまざまな業界で応用がきく

これまでの仕事で磨いてきた「対人スキル」や「コミュニケーション力」を応用できるようになれば、新しい可能性を発見できるはず。

どんな職種でも「コミュニケーション力」がある人を求めています

はたからは、専門知識や技術で成果が決まると思われている職種(業界)でも、実は「コミュニケーション力」が重視されています。
ただし「おしゃべりが上手=コミュニケーション力が高い」ことはありません。どんな状況なのか、相手はどんな人なのかによって、ふさわしいコミュニケーションの取り方が変わってきます。一例として、法律専門職の方にお話をうかがいました。

自分が話すよりも「聴く」ことの方が大事

法律を扱う事務所に相談に来る方たちは、離婚や相続のトラブルを抱えていたり、悪質商法に騙されたりして、人間不信になっている方も多いのです。そんな中で、勇気を振り絞って悩みを打ち明けに来る方に、専門知識や理屈を一方的に押し付けるのはよくないこと。まず、じっくりと相手の話を「聴いて、共感する」ことが大切なのです。
それで「この人はわかってくれる」という安心感を以てもらうことから、信頼関係を築くことが始まります。だから、資格はもちろん必要ですが、それ以上にコミュニケーション力や人間性が問われる仕事になります。
さらに、相談者(顧客)との対話の中で、問題解決のために必要な情報を聞き漏らさず、さらに深く掘り下げることも必要です。この点からも「聴く」力は欠かせません。

お話してくださった方
エクステージ総合法務事務所 代表行政書士 水口結貴さん

求人に応募してくる人は、年間約3000人以上。自ら採用面接も行っている。

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日本テレビ「サタデーバリューフィーバー」2009年7月18日

悪質商法業者のクロージング(顧客に商品説明などプレゼンテーションをして、最終的に購入や契約を決断させること)テクニックとクーリングオフについて、エクステージ総合法務事務所 代表行政書士 水口結貴さんにうかがいました。

共演者は、ナイツ、ジョイマン、ザブングルの皆さんです。