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「日経新聞」2006年9月3日

悪質商法に「クーリングオフ制度」

「自分に限って大丈夫」-そんな思い込みを後目に悪質商法被害が拡大している。消費者にはどんな防衛手段があるのか。言葉は知っていても、実際にどんな制度なのか知らないといざというとき、役立たない。「クーリングオフ」について解説する。

会社員も被害増

福岡県の戸村順さん(仮名・35)は職場にかかってくる執拗な電話に悩まされていた。「持っていれば、将来役立つ」とのセールストークを信じて資格取得教材を購入したのが2年前。仕事との両立は難しく、勉強ははかどらなかった。ところが業者は「一度登録したら、合格するまで教材を購入する仕組みだ」と説明する。「おかしい」と思いつつ、職場への電話を止めてもらいたい一心で「続き」と言われた商品を50万円で購入した。しかし、電話はやむことは無かった。それどころか名簿が流出したのか、別の業者からも電話が次々にかかってくる…。
これは「資格商法」と呼ばれる悪質商法の一種だ。国家資格の受験教材を売りつけ、その後も「契約は終了していない」などと再三、接触してくるのが特徴だ。談は約128万件。1995年度の約27万件から5倍近くに増えた。そのうち8割以上が「契約・解約」に関する相談だ。インターネットの普及で、どこにいても悪質商法のターゲットにならないとも限らない。

素早い対応が被害を防ぐ

本意でない契約をしてしまった時の強い味方がクーリングオフ。通常、契約の一方亭な破棄は認められないが、クーリングオフに限って消費者側から一方的な契約の撤回や解除が無条件にできる。損害賠償金や手数料なども払う必要もない。業者には全額返金が義務つけられていて、引き取り費用も業者負担になる。

クーリングオフができる契約は限られている。販売方法に注意が必要

消費者の強い味方であるクーリングオフ制度。しかし、どんな契約でもクーリングオフができるわけではない。注意したいのは販売方法だ。
業者が不意打ち的にアプローチしてくる訪問販売や電話勧誘販売、マルチ商法とも言われる連鎖販売取引が対象となる代表的なものだ。店舗での契約は「自発的に店に訪れた」とみなされ、クーリングオフの対象外だ。また、ネット通販なども消費者に熟考期間があるとみなされて適用外になる。
また「特定継続的役務提供」という文類に入るエステや外国語会話教室などは、店舗での契約でもクーリングオフの対象になるので、注意しておきたい。具体的な商品・サービスは国民生活センターのホームページなどで確認できる。

無条件で解約 8日以内に

クーリングオフで一番重要なことは「スピード」だ。クーリングオフ期間は販売形態によって違うが、多くが該当する、しかも最短の「8日間」をめどに実効することが大切だ。

クーリングオフ期間内なら無条件でできる解約の「1日でも期間を過ぎれば、天国と地獄ほど難しくなる」。こう話すのは、クーリングオフ代行サービスを行う行政書士エクステージ総合法務事務所の代表行政書士、水口結貴さんだ。
クーリングオフ期間は契約書を受け取った当日から数える。また、クーリングオフは書面で行うことも覚えておきたい。水口結貴さんによれば、「まずは電話で」などと業者に連絡を取ると「理由を問い詰められたり、のらりくらりかわされたりして期間切れになってしまう場合が多い」とのことだ。

クーリングオフをしたい場合は、日付、氏名と契約商品、それを解除する旨を書いて郵送する。特に決まった形式はないが、「出した事実」と「日付」が重要なので、配達記録郵便か、内容証明郵便で送るといいだろう。また、ローンを組んでいる場合は同じ書面を信販会社に送ることも忘れずに。
もし、クーリングオフ期間を過ぎていても、契約書を受け取っていない、書類に不備がある場合はクーリングオフ(契約解除)ができる場合もある。あきらめず、専門家に相談しよう。

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「週刊SPA!」2006年10月31日

期限が過ぎたものでも、契約解除をサポート

マルチ商法や出会い系サイトを利用したデート商法、ホームページ作成やデータ入力などの仕事をエサにパソコンや学習教材を売りつける内職商法…。年々、巧妙になっていく悪質商法。そんな悪質商法に騙されてしまう人は後を絶たない。
万が一、悪徳商法に騙されてしまったときに利用したいのが「クーリングオフ・ネット」による契約解除サービスだ。解約成功率100%のクーリングオフ期間内のほか、クーリングオフ期限をすぎたものでも相談に応じてくれる。契約解除の実績は3000件以上だ。
「北海道から沖縄まで、毎月1000件以上の相談があります。相談だけなら無料で、それで解決する場合もあります」(クーリングオフ・ネット代表 水口結貴行政書士)
実際に代行を頼む場合の費用はおおよそ3万円~5万円度。
「同じ業者が名前を変えて複数の契約をしている場合も多いので、日によっては同じ会社に内容証明郵便を何通も送ることもあります。件数が多い分、“この業者にはこのやり方”というノウハウの蓄積もあります。これが解約率の高さにつながっているのでしょう」。 覚えておいて、損はないサービスだ。

水口結貴行政書士
行政書士エクステージ総合法務事務所代表。実務経験に基づく独自の調査手法などによって悪徳商法事情に精通している。

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フリーペーパー 「+R25」2007年6月25日

頼ってみるのもいいんじゃない?
できないことを誰かに頼む こんな代行サービスはいかが?

プレミアチケットを手に入れることから合コンのセッティングまで、様々な代行サービスが溢れている。そこで年末のこの時期、ボーナスもあてにして頼んでみたい代行サービスをピックアップしてみた。

○ 「年末だし、部屋をきれいにしたい!」という人には
「ダスキン」が行うハウスクリーニングを紹介。部屋丸ごとの掃除だけでなく、布団の丸洗い宅配サービス、エアコンのクリーニングなどをオプションで頼むこともできる。

○「この機会に、海外オークションでレア物を手に入れたい! でも英語が全く…」という人なら
世界最大のオークションサイト「ebay」(イーベイ)の入札代行サービスがある。スタッフによれば「皆さん、翻訳サイトや辞書とにらめっこで何とか購入まではできるんです。しかし、その後が心配なんですね。何か問題があった場合に、クレームを言いたくても、何をどう書いていいのかわからない。だから保険的にうちを利用される方が多い」そうだ。

●「巧みな話術にはまって、欲しくもない高額品を買わされてしまった…」という人には

そんなときの強い味方が「クーリングオフ・ネット」。書面だけのだけのやり取りでも解決できる場合も多いそうだ。クーリングオフ・ネット代表行政書士 水口結貴さんは「業者が『これはクーリングオフできない』と言った場合でも、業者かわから近づいてきた契約であれば、ほとんど解約できます。クーリングオフ期間を過ぎた場合、多少厄介になりますが、それでもやり方がありますから、まずは相談してください」と教えてくれた。

自分一人ではできないことを「代わりにやってもらう」。今年のボーナスの使い方の1つにしてみては、どうだろうか。

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小学館 「女性セブン」2007年11月15日

チャット、ゲーム、占い、通販…。危険はとなりあわせ
私は、アツくなる女

周りが全く見えないくらい信じ込んで、詐欺まがいの悪徳商法に引っかかってしまう人が後を絶たない。そのほかにも、色々なことにハマってしまう人、アツくなってしまう人がいます。
もちろん熱中するのは自由でも、思わぬ落とし穴があることも…。

「1口100万円で、金を預けると3ヶ月ごとに9万円の配当を払う」、「配当によっては“円天”(会社独自の電子マネー)を支給して、円天市場の会員限定のバザー会場で日用品と交換できる」-。
こんな触れ込みで勧誘し、全国の会員5万人から総額1000億円もの金を集めていた健康食品会社(東京都・新宿)「L&G」が、10月初旬に一斉捜索された。被害者には高齢者や主婦も多く含まれていたという。
「近年、家計が苦しいから少しでも得になることをしたい、副業やインターネットでお小遣いを稼ぎたいという主婦が増えています。マルチ商法(連鎖販売取引)だけでなく、最近は“アフェリエイト”の相談も増えています。自分のホームページにリンクを貼って、商品が売れると報酬がもらえる仕組みですが、詐欺まがいの業者もいるようで、“お金を取られたので解約したい”という相談も多くなっています」。
こう話すのは、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士・水口結貴さんだ。水口結貴さんは、「クーリングオフ・ネット」を主宰し、全国から寄せられる数多くの相談に応じている。
不況の影響もあってか、「収入を少しでも増やしたいと思っている女性は多く、お小遣い系の相談の約6割が女性。しかも同じ人が2度、3度と繰り返し騙されてしまうケースも多い」と説明してくれた。

子ども用ゲームにのめり込み、貯金が半分に

深夜の通販チャンネルにハマってしまった静岡県の主婦、Aさん(46才)。「多いときで月に30万円くらい使うこともある」という。前に欲しかった商品が売り切れたことがあり、それをすごく後悔したのがハマったきっかけとか。
一時期、「買い物依存症」が注目されたが、こうした通販専門テレビ番組やインターネットの普及は、ますます買い物にハマる女性を増やしているようだ。
また、意外にも「ゲーム」にハマる女性も多かった。京都に住む主婦のBさん(38才)は、子ども用のカードゲームにハマってしまい、毎日のように近所のスーパーやゲームセンターに通っている。元々は子どもに誘われて始めたそうだが、「子どものためにかわいいカードを取って喜ばせようと思ったら、自分が夢中になってしまい…」と話す。気が付けば1ヶ月で3万円を使ったこともあった、という。コツコツ内職で貯めた貯金の半分をすでにこのゲームにつぎ込んでしまったそうだ。

ほかにも、こうした「アツい」女性たちが大勢いる。
「家族が寝た後に携帯用のゲームをやらないと気がすまない」。「嫌なことも忘れられる。夫の浮気も父が亡くなったときも、ゲームをやって忘れました。そうするうちに手放せなくなって…」(主婦・44才)
「チャット」にハマってしまったのが神奈川県に住む主婦Cさんだ。彼女はバツイチ。離婚後、彼女はたとえようもない孤独感に襲われた。深夜の寂しさを紛らわすため、離婚した人限定のチャットルームに入るようになった。「参加している人は、本当にみんな優しくて、安らぐ言葉もかけてくれ…」と毎晩、チャットをするようになった。ところが、朝までチャットを続けて移写いるので、パートも休みがちになり、結局クビになってしまった。「子どもの養育費をもらっているだけなので、無職になり生活が厳しいです。ここまでにならなければ、自分の状態に気が付かなかったのか…」と後悔している様子だった。
心療内科医によれば、「女性は男性に比べて、世界が狭くなる場合が多い」と指摘する。さらに「家の中で一人だったりすると、客観的に自分を見ることができず、気がつくと(ハマる行為が)加速してしまう」そうだ。
逆に、友人や職場の同僚など、親しい他人がバランスよくいる人は、行き過ぎる前に気づいたり、自分を客観的に見ることができるという。

誰かが、リセットしてくれる…
何かにハマったとしても「人に迷惑をかけない」分にはかまわないだろう。しかし、中にはトラブルに発展してしまうケースもある。
Dさんは「引越し」にハマっている。原因は「風水」だ。何か悪いことがあると「風水的にいけないから」で、夫とのケンカも「風水のせい」になってしまう。独身時代に8回、結婚後に3回。この引越しで毎回100万近い出費になってしまう。そのためDさんはスナックでアルバイトをするようになり、それが原因で夫との間にまたトラブルが起きている。
さらに深い罠が「悪徳商法」だ。前出の水口結貴行政書士は、「重ねて何度もだまされてしまう人は、例えばキレイになりたい、お金が欲しいという強い気持ちを前々から持っている。それが消えないから、一度だまされたとしても『今度こそ、大丈夫』と思ったり、前の損を取り戻そうとして、また騙されてしまうのです」と語る。
しかも女性がハマっていく背後には、友人や親戚、同僚など信頼関係のある人によって誘われることも多く、断り切れないのも被害を大きくしていく。
こういった女性の根底には共通点があると、心療内科医は指摘する。
まず、現状に不満があり「満たされていない、幸せでない」と感じていること。
次に、王子様症候群のように「いつか誰かに人生や運命を変えてもらいたい」と無意識に思っていること、だそうだ。
だが、こうした他力本願的な願いは別いして、夢中になれることがあることは悪いことではない。逆に「ハマった」ことから、生きがいを見つけたり、友人が増えたり、おしゃれになったり、という効果も期待できるだろう。誰でも一つや二つは「ハマりもの」を持っている。後は「ハマった」熱狂が冷めた後、とんでもない状況になっていた、ということはないように気を付けておきたい。

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朝日新聞出版社「AERA」2008年6月26日

現地取材「3千円のクズガニが1万2千円」
カニカニ商法中身

普段日本人はカニが大好きだ。ある日突然、自宅にカニが送られてきても、代金を払ってしまう人も多いそうだ。
しかし、トラブルも増えている。

今年になって増加中

熊本県内の主婦(76)が玄関に出ると、郵便局員がクーラーボックスから白っぽい紙に包まれた物を取り出して、こう言った。「着払いで2万円です」。
送り主は札幌の水産会社で、注文した覚えはない。受け取らなかった。翌日、遠方に住む息子(50)が、送り主の会社に電話をして「注文していないので、受け取りを拒否する」と言った。
するとすぐに、主婦の自宅へ電話がかかってきた。「お前んところのガキを出せ!」と中年男性の声で、息子と話をさせろと言う。息子は遠方に居る、ここにはいないと答えるが「いいから、ガキを出せ!」と繰り返す。何とかしてカニを受け取らせようとしている、と思った主婦は「カニは絶対、受け取りません」と言って電話を切った。
すると、すぐに電話がなりまた「ガキを出せ!」と言う。すぐに切った。また電話がすぐに鳴った…。主婦は電話に出るのをやめた。

注文していない品物を送りつけて、代金を支払わせる「送り付け商法(ネガティブ・オプション)」。その商品に「カニ」が使われるケースが増えている。通称「カニカニ詐欺」だ。今年(2008年)4月以降の2ヶ月足らずだけでも、群馬、和歌山、島根、熊本各県の消費生活センターに計9件が報告されている。
2006年度は全国で6件、07年度が12件だったのと比較すると、極端に増えていることがわかる。

ドア越しに聞こえた声

熊本県消費生活センターによれば「トラブルがあっても、実際に相談するのは全体の4~5%」程度だという。つまり、実際いはもっと多くの「被害」が出ている可能性がある。どんな業者が売っているのか。
熊本県の主婦にカニを送った業者を訪ねた。「○○水産」の看板がある。近づくと、男女の声が聞こえてきた。「今、カニ祭りやっててね、タラバのセットで、札幌市場で買ったら3万円前後するんだぁ。それを1万7千円で、送料も無料で…」
ノックすると男性がドアを開けた。中では音楽が響き、茶髪や金髪でラフな服装の若者たちが電話勧誘の真っ最中だった。社長は不在だ、という。

-注文していないカニが届いて、代金を請求された人がいますが?
「うちはそういうことはやっていない」
-「ガキを出せ!」などと威圧的なことを言った?
「それは絶対にない」
-いつから営業をしている?
「今年の4月からです」
-会社名で販売していますが、法人登記は?
「登記はこれからです」

「送りつけ」だけではない

「カニカニ詐欺」のトラブルは「送り付け商法」だけにとどまらない。消費生活センターへ寄せられた相談では「勧誘が強引」、「品物(カニ)の品質が悪い」と言った内容が多い。
九州地方に住む主婦(48)は、札幌の業者から2日間で4回に渡り電話勧誘を受けた。断り切れず、タラバガ二などを1万4千円で購入した。しかし、届いた品物は身がスカスカ、味噌も殆どなく「サービスする」と言ったホタテも入っていなかった。
主婦は「話が違う」と返金を要求した。すると「金を返せだなんてクレーマーだ」と拒否された。警察に通報するというと、専務という男性から謝罪があった。しかし返金については「しばらく待ってほしい」と言われたきり、何の連絡もない。

テーブルに投げた名刺
この業者も訪ねてみた。看板などは出ていない。ドアを開けると20代~30第の男女3人がいた。応対した男性に事情を聴きたいと言うと「担当者がいない」と繰り返す。出直す、と言うと「もう、来なくていい」と渡した名刺をテーブルに投げ出した。その後、電話があり「責任者は取材は受けないと言っている」ということだった。

「年中カニ祭り」
札幌のアルバイト情報誌を見ると「通信販売PRスタッフ、主に道外のお客様への電話でのカニのご案内・販売」という募集が多くある。こうした業者を数ヶ所訪ねてみた。すると、電話での売り口上に共通の特徴があることがわかった。

1.身元を明らかにしない(会社名を名乗らない)
「北海道の解散物屋ですが、いつもお世話になっています…」
2.イベント、特別セールを強調する
「今、カニ祭りをやっていまして…」、「今年で創業30周年なので、それを記念して…」などのトークで「今だけ」やお得感を演出する。

3.「本当はもっとする」と言いながら、最初に1万5千円前後の価格を提示する。

「カニ祭りの海上から電話をしている」と言っていた会社に「どこで、カニ祭りをやっているのか?」と聞いたところ「年中、カニ祭りなんで」との答えだった。「創業30年」をアピールポイントにしていた会社は、実は今年設立されたばかりだった。

では、電話をかける相手はどうやって選んでいるのか?
業者に質問すると、どこも「電話帳で」と答えた。しかし、道内のカニ取扱業者の話は違った。「以前、顧客名簿を持ち出した従業員を解雇したことがある。うちだけじゃないはず。他社も併せたら、何万人単位の名簿が出回っているのではないか」。

悪質商法の相談を数多く受けている、行政書士エクステージ総合法務事務所の代表・水口結貴行政書士は、「電話勧誘をする業者に最も重宝される名簿が『カモリスト』と呼ばれるものです」と前置きして、次のように説明してくれた。「過去に、悪徳商法の被害を受けた人のリストは、通常の10倍以上の値段で取引されることもあります。こうした被害者は、繰り返して悪質商法の被害に遭う可能性が高いからです。他にも、通販利用者リストというものもあります。カニ購入者リストがあることも十分に予想されます。こうしたリストを悪質業者が金を積んで買い取ってしまうのです」

流通する「クズガ二」
カニカニ詐欺が増えている背景には、国内に流通するカニが減少していることも関係しているようだ。札幌のカニ卸売会社の営業担当者は「ロシアからの輸入が減って、傷があったり身が少ないなど、以前なら加工用になっていた『わけあり品』でも商品として市場に出回るようになった」と言う。
「以前なら、『クズガ二』扱いで、せいぜい3千円程度の物を、オレオレ詐欺をやるような奴らが1万2千円で売っているようなものだろう。こんなことが続けば、消費者がカニから離れてしまう」。
こんな「カニカニ詐欺」が成立するのも、カニが大好きな日本人が多いからこそだ。あるカニ販売業者の言葉が忘れられない。
「消費者のほとんどは、カニの種類お区別もつかない。もっと勉強しないと、いいカモにされるよ」。

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リクルート「ケイコとマナブ」2009年11月25日

普段「人と接することに自信がある」なら
さまざまな業界で応用がきく

これまでの仕事で磨いてきた「対人スキル」や「コミュニケーション力」を応用できるようになれば、新しい可能性を発見できるはず。

どんな職種でも「コミュニケーション力」がある人を求めています

はたからは、専門知識や技術で成果が決まると思われている職種(業界)でも、実は「コミュニケーション力」が重視されています。
ただし「おしゃべりが上手=コミュニケーション力が高い」ことはありません。どんな状況なのか、相手はどんな人なのかによって、ふさわしいコミュニケーションの取り方が変わってきます。一例として、法律専門職の方にお話をうかがいました。

自分が話すよりも「聴く」ことの方が大事

法律を扱う事務所に相談に来る方たちは、離婚や相続のトラブルを抱えていたり、悪質商法に騙されたりして、人間不信になっている方も多いのです。そんな中で、勇気を振り絞って悩みを打ち明けに来る方に、専門知識や理屈を一方的に押し付けるのはよくないこと。まず、じっくりと相手の話を「聴いて、共感する」ことが大切なのです。
それで「この人はわかってくれる」という安心感を以てもらうことから、信頼関係を築くことが始まります。だから、資格はもちろん必要ですが、それ以上にコミュニケーション力や人間性が問われる仕事になります。
さらに、相談者(顧客)との対話の中で、問題解決のために必要な情報を聞き漏らさず、さらに深く掘り下げることも必要です。この点からも「聴く」力は欠かせません。

お話してくださった方
エクステージ総合法務事務所 代表行政書士 水口結貴さん

求人に応募してくる人は、年間約3000人以上。自ら採用面接も行っている。

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リクルート 「ケイコとマナブ」(2010年4月24日)

かかる時間から探せる!
スキマ時間でできることカタログ

空いた時間を上手に使って何か始めてみたい、と考えている人は多いはず。ここでは、「スキマ時間」でできる習い事をピックアップ。さあ、あなたはどれにする?

「夢中」を見つけるコツはこれ!

例えば、スポーツをやっていたいけど、体育会のノリが苦手、という人は、本格的なウェアを用意するなど「外見から入る」こともやる気を高める1つの方法です。あるサッカーチームでは、メンバーがTシャツなどバラバラの服を着ている時より、おそろいのユニホームを着ていた時の方が勝率が良かったとか。こんな風に、道具や服装を変えると気分も変わるのが人間の不思議なところ。見た目(外側)から入っても、やる気がアップするなら、それもOK。

法律系資格も人気

行政書士
職域拡大で取り扱う業務が増えている

行政書士は、官公署へ提出する「書類作成」や「提出代理」を行います。さらに依頼人からの相談を受け、アドバイスを行う「相談業務」があります。また、年々業務範囲が広がりつつあります。身近な「街の法律家」として、また企業等の法務コンサルタントとしても大きな期待が寄せられている資格です。
※写真協力:エクステージ総合法務事務所(代表:水口結貴行政書士)

宅建
宅地建物取引士は、不動産の売買や賃貸の仲介などをする場合、欠かせない資格です。
民法や宅建業法などを学ぶので、日常生活で発生する困りごとにも対応できる知識が身に着きます。

どちらの資格も、勉強時間の目途としては1日に2.5時間。それを約1年続けると本試験に進めるように。

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「孫の力」木楽舎(2014年11月1日)

超犯罪社会を生きる

「警察白書」によれば、2012(平成24)年に、高齢者が被害を受けた犯罪認知件数(※)は約13万件に上る。認知件数に占める高齢者の割合は増加の一途をたどっている。空き巣やひったくり等に加えて、「オレオレ詐欺」にデジタル技術を加えた新手の詐欺や高齢者の心を巧みに突く犯罪も増えている。
「私だけは」、「オレは大丈夫」と思い込まず、「超犯罪社会」を無事に生き抜く術を身につけよう。

※犯罪認知件数とは
警察が把握した犯罪の発生数のこと。警察官は、犯罪現場の状況から「事件」と判断した場合、被害届の提出を受け、これを認知件数として計上する。事件の「発生数」とは異なる指標。例えば、性犯罪に関する被害などの場合、被害者が被害届を出さず認知されないケースも少なくない。検挙数を認知件数で割った数値が解決率を示す「検挙率」になる。

買う前にちょっと、待って。
その商品、「本当に効果ありますか?」

訪問販売や電話勧誘販売だけでなく、新聞折込チラシの通信販売、インターネット通販と「これを買ってください!」という「品物情報」が溢れている。
どの商品も非常に魅力的に、その効果(効能)が書かれているが、鵜呑みにするのは少し待とう。
悪質商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士にどんな商品(問題)があるのか、をうかがった。

羽毛布団
多くの人を会場に集め、熱狂的な雰囲気を演出で高額商品を売る「催眠商法」。販売員が巧みな話術で場を盛り上げながら、「これ、欲しい人?」などと、最初は安い日用品をプレゼントする。会場で「ハイ、ハイ」と手を上げさせることから「ハイハイ商法」とも言われる。その催眠商法の典型的な商品が「羽毛布団」だ。ほとんどの場合、数十万円~と高額な物が多い。中には「“磁気”が体にいい」などと言って、磁気マットレスや磁気布団が売られる場合もある。
高電位治療器
一定の効果が認められていて、薬事法では「管理医療機器(クラスII)」に分類されている。しかし、販売方法が問題になることがある。本来の効果は「頭痛・肩こり・不眠症や慢性便秘の軽減」のみとされている。しかし、催眠商法の現場では、「血をきれいにする機械」、「血液をサラサラにする」などの説明がある場合も。さらに、具体的に効果がある(症状が改善した、治った)として、「リウマチ、高血圧、アトピー、肝硬変」から「半身まひ」まで、効能効果のオーバートークがされることもあるようだ。

協力:水口結貴行政書士
エクステージ総合法務事務所代表。消費者問題の第一人者として、数々の悪徳商法の相談を受けてきた。8万件以上の解決実績を持つ。

「悪質商法に騙された場合でも、クーリングオフなどで解約ができます。あきらめずに専門家に相談をしてください」と話してくれた

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日本経済新聞(2017年1月28日)

「遺体ホテル」が増えている

現在、東京都では年間およそ11万人が亡くなっている。しかし火葬場の数は増えていないため、遺体の保管場所に困る遺族らが増えている。こうしたニーズに応えて、遺体を一時的に預かる施設(通称・遺体ホテル)の利用が多くなっている。しかし施設への法的規制はなく、近隣住民の反対運動に発展したケースも見られる。

火葬場が足りず、順番待ち
厚生労働省によると、死亡数は年々増加している。2015年は全国で約130万人が亡くなった。しかし火葬場の数は全国で約4千カ所に留まり、20年間で半減している。(2015年度末)。
都内に限ってみれば、火葬場は23~28カ所で推移している。都内の葬儀関係者によれば、「10年前は1~2日程度で火葬できたが、現在は3~4日待ちが当たり前」とのことだ。
そこで、「火葬待ち」の状態が長くなり、遺体の保管が難しくなっている、という現象が起きている。

周辺住民の理解が得られにくい
2014年9月、川崎市の住宅街に工場を改装してオープンした遺体保管施設がある。同年6月、計画に驚いた住民が「反対の会」を結成した。経営会社の竹岸久雄取締役(41)によれば、「棺にドライアイスを入れて保管し、抗菌仕様の壁紙も使っている。衛生面に問題はない」という。住民向けの説明会も行っている。さらに見学希望者は施設の内覧もできる。しかし周辺住民との溝は埋まっていない。
因みに、安置施設に法的規制はない。同社は、遺体保管施設を「倉庫」として市に届け出た。

専門家が指摘する問題点とは
近所のパート従業員の男性(68)に聞くと、「遺体が近くにあると思うといい気分はしない。必要な存在だと思うが、住宅が密集する場所に建てるべきではない」と言う。
終活の専門家で、葬儀事情にも詳しい水口結貴行政書士は「施設を追い出すだけでは将来の多死社会に対応できない」と言う。さらに「遺体ホテルに関する法的規制がない点には問題もある。衛生管理の基準を設けるなど質を確保するためのルール作りが必要だ」法規制の必要性等を指摘した。