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月刊誌「いきいき」掲載 2004年2月10日 発売

詐欺でも脅迫でもない。
悪徳商法、その手口に要注意

昨今、話題になっている「オレオレ詐欺」。その手口や被害は広く知られるようになってきました。一方で、明確に「犯罪」とは言えないものが多く、被害が見えにくいのが「悪徳商法」です。健康をエサにするものや内職あっせん、資格取得などその手口はより巧妙になっています。被害にあってからでは、対応は難しいものです。
そこで、悪徳商法の相談を数多く受けている、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴先生に具体的な対処法や悪質業者の手口などを教えていただきました。
50代が気を付けるべき悪質商法
男性は、投資・資格商法。女性は内職商法
50代の悪質商法被害は件数はそれほど多くないものの、収入が多い世代だけに被害金額が大きくなる傾向が見られます。代表的な被害例は、男性では投資や資格商法があります。資格商法では、業者や電気主任技術者などの人気の資格をエサに内容が伴わない高額な教材を売りつけます。
また、以前に資格取得講座を申し込んだ人に「資格取得まで継続する契約になっている」と嘘をついて「未払の受講料がある」や「○○万円払えば、名簿から名前を消すことができる」などの名目で請求をする手口も増えてきました。女性を狙ったものでは「内職商法」に気を付けましょう。「月に3万~5万円、人によっては10万円くらい稼いでいます」と、いかにも現実的に稼げそうな金額を提示するのがポイントです。仕事をあっせんするための登録料や研修費、教材費などの名目で数十万円を請求されます。
そのほか、50代に特徴的なものでは、床下や布団の無料点検に来たと自宅を訪問して商品を売る「点検商法」、催眠(SF)商法があります。自宅に突然、本やカニなどの物品が送りつける「ネガティブ・オプション」(送り付け商法)の被害も50代に多いのです。
一見、親切そうなふるまいの影に悪徳商法のワナがある

催眠商法や悪質な訪問販売など、以前から問題視されている被害も減ってはいません。これらの契約の場合、高齢者が狙われることが多いのです。また特徴の1つとして、業者が「親切さ」を強調することがよく見られます。
例えば、催眠商法でよく知られているのは、お客さんを一か所に集めて短時間で商品をどんどん売るやり方ではないでしょうか。最初は、日用品などを無料(もしくはただ同然の値段をつけて)「はい、欲しい人は手をあげて」と、会場が興奮状態になるように誘導します。
そうしておいて、最後の方で「今日は特別に半額!」などと、高額商品を登場させます。
集客力を上げるために、街頭で「この券を持っていけば、無料で記念品がもらえます」などと、チケットを配るなど「ちょっとお得」な話で誘うことが特徴です。
解約は一刻も早く。クーリングオフ期間を過ぎていても、望みはある

クーリングオフは、消費者から一方的に売買契約を解除することができる制度です。クーリングオフをするときは、必ず証拠が残る内容証明郵便で手続をしましょう。電話では、のらりくらりとかわされてしまったり、再説得されてしまう可能性があり、トラブルの元になってしまいます。
解約をすると業者に仕返しをされるのではないか?と不安になる方もいますが、その心配は殆どありません。それどころか、ローンが終わったころに別な商品を売りつける「次々商法」の被害にあうこともありますから、毅然と断ることが大切です。
クーリングオフ対象外の契約であったり、クーリングオフ期間を過ぎた契約であっても、解約が全くできないわけではありません。例えば、契約書類に不備があったり、販売目的を隠していたり、業者が契約について重大な嘘を言っていたり、脅迫的に購入を迫っていたり、などの理由があれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づいて、解約や返金を求めることも可能です。
たとえ、悪質商法業者と契約をしてしまった場合でもあきらめず、専門家に相談をしてください。

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「週刊文春」2003年11月27日

女性被害者急増
悪徳内職商法に騙されるな

お不景気が続く中、「この通信教育を受ければ、在宅での仕事を紹介する」と言って高額な教材を買わせ、実際には仕事をほとんど紹介しない「内職商法」が急増している。相談・トラブルの件数は訪問販売、通信販売に次ぐという。
その手口を、消費者問題を数多く手掛けている、エクステージ総合法務事務所・代表の水口結貴行政書士に聞いた。
最近の主婦をねらった悪質商法は「パソコン」がブームに

昔からあるチラシ配布や宛名書、医療事務などに代わり、昨今の内職商法はパソコンを利用したものが圧倒的に多い。子どもが小さくて外に出られない主婦を狙った、悪質な犯罪だ。
「内職商法は、騙されたと分かったときは、契約から一年以上経っている場合が多く、その時には契約した会社が無い(倒産している、逃げて行方がわからないなど)ケースが多い。また、業者は次々と会社をつぶしては名前を変えて同様の商売をするので、被害者が個人で調べても、実態がなかなかつかみにくいのです」。
こう指摘するのは、内職商法をはじめ悪徳商法の解約手続代行を数多く手がけるエクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴さんだ。実際、平成14(2002)年の消費者相談件数14,407件のうち、内職商法に関する相談は12.9%に上っている。また、内職商法では別会社が教材販売と仕事あっせんを行うので、仕事の紹介がされなくても教材販売会社は責任逃れができる仕組みになっている。
「仕事」をエサに悪質商法へ勧誘されるのは、男性も同じ

女性被害者はチラシや求人広告がきっかけになることが多いが、男性被害者は昇格やヘッドハンティングなどがきかっけになることが多いという。
業者は『取引先の重役があなたを推薦してきた。この資格をとれば、あなたはスキルアップでき、重役が特別な仕事を推薦してくれると言っている。これはあくまでも内密な話なので、他人には話さないように』と言って誘う」と、水口結貴さんは、その手口を開設する。もちろん、全くの嘘だが欲が出たり、電話を早く切りたい一心から「資料を自宅へ送ってほしい」と言ってしまう。
水口結貴さんによると、「郵送された資料には、契約用紙も入っていて、その後の電話で徐々に断れないような状況にまで話を持っていかれてしまうのです」ということだった。
水口さんの事務所には、50代の自動車ディーラーからの相談もあった。「営業のプロですら騙されるのですから、相手(悪徳業者)の手口がいかに巧妙かが、わかります」と、教えてくれた。

泣き寝入りは禁物。
ローンの支払停止ができる場合も。

しかし、全て諦めて泣き寝入りしてはいけない。既払金を取り戻すのは難しいが、ローンの支払を停止することは可能だからだ。嘘(必ず仕事を紹介する、仕事の報酬でローンは払えるから、自己負担は無い等)を言われて契約したり、契約の重要事項に勘違い(錯誤)があれば、それを理由に相手業者に契約解除を要求できる。そして、業者と契約解除の話し合いが決着するまでは、ローンについては「支払停止抗弁」といって、支払を止めることができる。
業者に問題があるとわかったら、まずは専門家などへ相談をして、契約解除手続やローンの支払停止抗弁手続を進める方がいいだろう。

騙しの手口は巧妙になっている。できるだけ早く専門家に相談を

「マスコミなどで内職商法が取り上げられるようになってから、求人広告を掲載する側も怪しい広告は掲載しないようになっています。それで折込広告をきっかけにする被害は減ってきましたが、今度や電話や電子メールを使った勧誘が増えています。しかも、宣伝文句も法律の網の目をくぐるように、どんどん巧妙になっています。内職商法の会社は減っているわけではないので、騙されないように警戒が必要です」と、水口結貴さんは教えてくれた。
事情があって外で働くことができず「家で仕事をしたい」というニーズがある限り、内職商法は無くならない。それどころか「騙しのテクニック」は日々進化して、法の網をくぐり、被害者を狙っている。
契約する前に、その会社名で被害者が出ていないか調べてみたり、途中で「おかしい」と思うことがあれば、すぐに専門家や消費者センターなどに相談するようにしたい。

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「読売新聞」2004年1月24日

「出会い系」利用デート商法 ご用心!

普インターネットの「出会い系サイト」で知り合った女性に、100万円以上するスーツや宝石等の高額商品を売りつけられる被害が、若い男性の間で急増している。実は、女性は悪質業者の販売員だ。行為をほのめかし、言葉巧みに契約を結ばせるケースが多い。「新手のデート商法」として、国民生活センター等が注意を呼びかけている。

100万円以上の宝石やスーツを売りつける
京都府の男性(26才)は、出会い系サイトで知り合った女性とメールのやり取りをするうちに「会いたい」と誘われた。
男性はすぐに応じて、女性が勤めているという画廊で会った。すると女性から「あなたは趣味がいいからこの絵を部屋に飾って」と言われ、結局80万円の絵画を購入。この男性は行政書士に相談して何とか解約できたが、その後、女性と一切連絡が取れなくなってしまった。国民生活センターによれば、「デート商法」の相談件数は2002年度は2124件に急増している。最近は、出会い系サイトの利用が目立ち、被害者の多くが20代の男性という。
日本司法書士連合会によると、10人以上の女性を出会い系サイトに登録させ、全国を移動して、一着100万円以上のスーツを販売していた業者もあったという。

メール交換などを通じて年収や職業などを調べている
消費者問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所の水口結貴行政書士は、「メール交換をしながら、男性の年収や職業などのデータを集め、実際に会う相手を選び出す業者もある。こうした業者は女性から「会いたい」と積極的に誘ってくるのが特徴です。安易に会ったり、個人情報を教えるのは避けるべき」と話してくれた。

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月刊誌「いきいき」掲載 2004年2月10日 発売

詐欺でも脅迫でもない。
悪徳商法、その手口に要注意

昨今、話題になっている「オレオレ詐欺」。その手口や被害は広く知られるようになってきました。一方で、明確に「犯罪」とは言えないものが多く、被害が見えにくいのが「悪徳商法」です。健康をエサにするものや内職あっせん、資格取得などその手口はより巧妙になっています。被害にあってからでは、対応は難しいものです。
そこで、悪徳商法の相談を数多く受けている、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴先生に具体的な対処法や悪質業者の手口などを教えていただきました。
50代が気を付けるべき悪質商法
男性は、投資・資格商法。女性は内職商法
50代の悪質商法被害は件数はそれほど多くないものの、収入が多い世代だけに被害金額が大きくなる傾向が見られます。代表的な被害例は、男性では投資や資格商法があります。資格商法では、業者や電気主任技術者などの人気の資格をエサに内容が伴わない高額な教材を売りつけます。
また、以前に資格取得講座を申し込んだ人に「資格取得まで継続する契約になっている」と嘘をついて「未払の受講料がある」や「○○万円払えば、名簿から名前を消すことができる」などの名目で請求をする手口も増えてきました。女性を狙ったものでは「内職商法」に気を付けましょう。「月に3万~5万円、人によっては10万円くらい稼いでいます」と、いかにも現実的に稼げそうな金額を提示するのがポイントです。仕事をあっせんするための登録料や研修費、教材費などの名目で数十万円を請求されます。
そのほか、50代に特徴的なものでは、床下や布団の無料点検に来たと自宅を訪問して商品を売る「点検商法」、催眠(SF)商法があります。自宅に突然、本やカニなどの物品が送りつける「ネガティブ・オプション」(送り付け商法)の被害も50代に多いのです。
一見、親切そうなふるまいの影に悪徳商法のワナがある

催眠商法や悪質な訪問販売など、以前から問題視されている被害も減ってはいません。これらの契約の場合、高齢者が狙われることが多いのです。また特徴の1つとして、業者が「親切さ」を強調することがよく見られます。
例えば、催眠商法でよく知られているのは、お客さんを一か所に集めて短時間で商品をどんどん売るやり方ではないでしょうか。最初は、日用品などを無料(もしくはただ同然の値段をつけて)「はい、欲しい人は手をあげて」と、会場が興奮状態になるように誘導します。
そうしておいて、最後の方で「今日は特別に半額!」などと、高額商品を登場させます。
集客力を上げるために、街頭で「この券を持っていけば、無料で記念品がもらえます」などと、チケットを配るなど「ちょっとお得」な話で誘うことが特徴です。
解約は一刻も早く。クーリングオフ期間を過ぎていても、望みはある

クーリングオフは、消費者から一方的に売買契約を解除することができる制度です。クーリングオフをするときは、必ず証拠が残る内容証明郵便で手続をしましょう。電話では、のらりくらりとかわされてしまったり、再説得されてしまう可能性があり、トラブルの元になってしまいます。
解約をすると業者に仕返しをされるのではないか?と不安になる方もいますが、その心配は殆どありません。それどころか、ローンが終わったころに別な商品を売りつける「次々商法」の被害にあうこともありますから、毅然と断ることが大切です。
クーリングオフ対象外の契約であったり、クーリングオフ期間を過ぎた契約であっても、解約が全くできないわけではありません。例えば、契約書類に不備があったり、販売目的を隠していたり、業者が契約について重大な嘘を言っていたり、脅迫的に購入を迫っていたり、などの理由があれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づいて、解約や返金を求めることも可能です。
たとえ、悪質商法業者と契約をしてしまった場合でもあきらめず、専門家に相談をしてください。

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「日本経済新聞」2004年2月21日

「クーリングオフ・ネット」で、全国どこからでも
悪徳商法被害の相談ができる

「クーリングオフ・ネット」 http://www.coolinng-off.net
突然の訪問販売やセールス電話に悩まされる。うっかり契約してしまったが、冷静に考えるとやはり、契約を取り消したい…。
こんな場合、「クーリングオフ」という制度を使うと契約が解除できる。「クーリングオフ・ネット」は、契約解除の代行や悪徳商法の被害を相談できるサイトだ。行政書士エクステージ総合法務事務所(東京都)が運営し、24時間、日本全国からの相談に応じている。
悪徳商法の手口は巧みになる一方だ。個人で解約の連絡をすると無視されてしまったり、はぐらかされる場合もある。消費者センターが開いている時間には動けない人、誰にも相談できずに不安な人は利用してみるといい。
過去に扱ってきた様々な悪徳商法も紹介されているので、事例や手口をこのホームページで知っておくと被害防止につながるだろう。
解約手続が自分一人では荷が重い場合は、契約解除手続の代行を頼むこともできる。悪徳商法で困ったら、一人で悩まず相談してみよう。

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週刊 「ザ・リフォーム新聞」2004年3月30日

悪質訪問販売会社よ、去れ!
特定商取引法 改正の波紋
販売目的の無料点検は違法に

「床下の点検でおうかがいしました」-。
などと嘘を言って、床下に換気扇を取り付けるなどの「点検商法」の規制が強化される。訪問販売のリフォームに関する苦情が最近急増し、社会問題化している。行政規制が厳しくなることで住宅リフォーム業界の健全化がされている。

訪問の目的を偽った業者には契約解除が可能に

今回の法改正で初めて、点検商法に規制がかかる。「無料点検だ」と嘘を言って消費者を安心させ、不要な工事を行ったり、商品を販売する被害が増加しているためだ。
それが、今回の法改正で「販売目的を告げること」が「義務化」された。
販売目的の点検業務であることを消費者に告げない場合、たとえ現場で消費者が工事を依頼されても違法行為になる。
また、このような事態を想定して消費者保護も強化された。例えば、違法な勧誘によって消費者が誤認して契約を締結した場合、消費者は契約解除ができるようになった。改正前は刑事罰則規定はあっても、契約解除はできなかった。さらに、クーリングオフを妨害した場合は、妨害が解消されるまで消費者はクーリングオフができるようになった。
住宅関連の悪質訪問販売の相談が全国各地の消費生活センターに数多く寄せられている。昨年度の特定商取引法改正でも、住宅に関連する規制対象商品や役務は大幅に増加しており、住宅設備の大半の商品の販売、そして設置が指定対象になっている。

悪質業者 年間100件を摘発

法改正、規制強化で摘発件数も増加している。昨年5月、福岡県警によって訪問販売業者が一斉摘発された事件は話題になった。これらの会社は、浄水器販売の勧誘に当たって、虚偽説明を行っていた。
「水道水の無料診断」をキャッチフレーズに訪問し、コップに入れた水道水に液体を入れて変色させる。そして変色した水を消費者に見せて「こんなに濁るのは、水道水に発がん性物質が入っている証拠だ」などと言い、そして「当社の浄水器をつければ、ガンにならずに済む」などと消費者を騙して販売していたという。
その他、高齢者を狙って「天井にシロアリがいる。すぐに補修しないと家が倒れる」といって高額な工事代金を騙し取った事例や、同じく高齢者を狙って「床下の湿気が多くて、このままでは家が腐って傾く」などと恐怖心を煽って工事契約をさせたり、1憶円以上をだまし取った例などがある。

相談件数2年で2倍の1万件に

国民生活センターによれば、相談件数はここ数年、急増していて、2000年から2002年のわずか2年で、約2倍の11,657件になっている。こうした実際の相談の影に、表面化していない問題も多いことを考慮しなければならない。
また、住宅リフォームに関する消費者トラブルも年々増加している。平成15年では、1万件に迫る勢いだ。このうち、70%が訪問販売に関する相談だ。

高齢者「仕返しが恐い」と泣き寝入りも

悪質商法の被害相談やクーリングオフの代行サービスを行う「クーリングオフ・ネット」を運営するエクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士に被害の実態をうかがった。
「悪質訪問販売の被害者で多いのは、一人暮らしの高齢者です。訪問販売の場合、“自宅を知られている”ので、クーリングオフしたら嫌がらせや脅しを受けるのではないか…と思ってしまう。だから、解約しづらいのです。実際、泣き寝入りしている方も多いようです」。
水口結貴行政書士が運営する「クーリングオフ・ネット」には、月に800~1000件の問い合わせがあり、住宅に関する相談が約2割を占めているという。法改正の影響をうかがった。 「今回の特定商取引法の改正では、点検商法と販売形態を特定して規制対象にしています。さらに、販売目的を明言することを盛り込んでいたり、万が一のときも契約解除がしやすいようになっています。これらの法改正によって、悪質事業者は営業がしづらくなるでしょう」。

実際、業界内部でも「リフォーム業界で、訪問販売という営業形態はもはや成り立たないだろう。完全に消費者からの信頼を失っている。他の営業手法へ切り替えるか、廃業するしか道はない」といった厳しい声が出ている。これまで「無法地帯」と言われるほど、行政の規制が緩かったリフォーム業界。この特定商取引法の改正でリフォーム業界が健全化することが望まれている。

特定商取引法(旧:訪問販売法)
訪問販売など消費者トラブルが発生しやすい取引形態を対象に、トラブル防止の規則を定めている。事業者の不正な勧誘行為などを規制することで、消費者取引の公正を確保するための法律。

消費者契約法
特定商取引法と異なり、全ての事業者と消費者の取引について、消費者を保護しようと一般的なルールを定めている。契約の取消についても、従来の詐欺、脅迫に加え、消費者の健全な意思決定が妨げられた場合にも取消ができるとしている。

クーリングオフ・ネット http://www.coolinng-off.net
エクステージ総合法務事務所が運営するサイト。
全国から寄せられる、訪問販売被害などの相談に応じている。訪問販売に関する相談は2割程度を占めている。内職商法に関する相談が急増していて、全体の6割を占めている。

 

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日刊ゲンダイ 「訪問販売(悪質商法)」監修 2004年7月21日

甘く見るな! 急増中 点検訪問販売

訪問販売の悪徳商法がまた多くみられるようになってきた。行政の検査や無料サービスを装って高額商品を売る「点検商法」だ。
国民生活センターによると、2003年度の点検商法の相談件数は13,173件。200年(5524件)の約2.4倍に昇っている。また、悪徳業者の手法は年々、託妙化している。
そんな点検商法で多い事例が2つある。
1つは飛び込みで「試してみてください」と浄水器や消火器を取り付けたり、許可なく白アリ駆除剤などを散布した後に料金を請求するもの。
もう1つは「購入された布団の打ち直し無料サービス」と電話をかけた後に訪問するケース。そして「ダニが見つかった」などと言って、寝具や乾燥機を売りつけるもの。販売員は物腰が低く、いかにも行政関係の工事業者に見える場合が多いが、一度家に入ると何時間も居座る。たとえ一度は追い返しても、何度も訪問してくることも多いそうだ。

昼下がりのマンションがヤバイ

強引な販売や契約は一定期間内ならクーリングオフ制度を使って解約できる。被害者は、これまで高齢者が中心だったが、夫が仕事で外出中のサラリーマン家庭にも広がってきた。

一度狙われると次は空き巣のターゲット
消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所の代表、水口結貴行政書士によれば、「販売業者の中には、地域や住民の個人情報を入手し、訪問先を狙い撃ちしているところもあります。名簿業者などを使って住民の家族構成や資産を調べたり、訪問販売に応じた家の玄関にマークをつけて同業者間で情報を回すこともある。
恐ろしいのは、こうした情報が販売業者以外にも流れている恐れがあることです。販売業者とやり取りをするだけで、空き巣や強盗に狙われることにもなりかねません」
注意の上にも、注意を重ねたいものだ。

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「週刊文春」2005年3月31日

独身女性を食い物にする「結婚相談所」全手口

最近、結婚相談所が林立しており、悪質なビジネスが増えている。
高額な契約金を払ったのに相手を紹介されない、違約金が高すぎるなどの苦情が目立つ。中には、指輪との抱き合わせ販売で、サービスを中途解約させない巧妙な仕組みまで登場している。

独身時代を満喫したい現代人は20代には、あまり結婚したがらない。しかし30歳を過ぎて「結婚しようか」と思ったときは、自分が理想とする相手と出会う機会が減っているのが現状だ。
そこで「結婚相談所」の出番だ。現在の業者数は3000社を超える。各社はお見合いパーティーやインターネット、個別セッティングなどで相性の良さそうな結婚相手を探してくれる。一方、業者への苦情や詐欺まがいの被害件数も増えている。
苦情の多くは、強引な勧誘やふさわしい相手がいないことだ。契約時には、いくらでも相手を紹介するようなことを言っていながら、実際にはほとんど紹介されなかったり、パーティーに行ってもサクラばかりだったり。そして中途解約しようとすると、不当な清算金を要求される。
48万円払って成果なし。100万円のクズ指輪と抱き合わせ販売…

例えば、東京都のAさん(30才・女性)の場合、雑誌挟み込んであった相性診断のハガキを出したところ、業者から勧誘電話がかかってきた。すると、入会金の値引や「今、決めなさい」、「契約するまでトイレには行かせない」などと言われる強引な勧誘を受けた。
結局、48万円もの契約を結んでしまったAさん。契約締結後、お見合いパーティーなどに出てみたが、交際したい相手も紹介もないまま、契約金と会費を契約期間終了まで払い続けただけだった。

東京都のBさん(34才・女性)の場合は、紹介サービスが全く機能しなかったという。「インターネットで相手の顔やプロフィールが紹介されているので、その中から好みの男性との交際を申込みました。本来なら、事務所を通じて相手から返事が来るはずなのに、いつまで待っても返事がきませんでした。他にも何人かに申し込みましたが、結局誰からも返事はこなかったのです」。

国民生活センターによれば、結婚相手紹介ビジネスの相談件数は2000年度は1,610件だったが、2003年度には2,473件と急増している。この状況を受けて規制も厳しくなってきた。2004年1月1日から、結婚相手紹介サービスは「特定商取引法」の「特定継続的役務提供」の指定役務となった。(契約期間が2ヵ月間以上で、契約金額が5万円を超える場合)
しかし、この法律を知らずに悪徳相談所の言いなりになったり、業者が法の目をくぐる新しい手口を考えたりして、被害者は減る傾向にはない。
東京都消費生活相談センターには、次のような相談が寄せられていた。インターネットから軽い気持ちで結婚紹介サービスに登録したところ、業者から電話で無料相談の勧誘を受けた女性。出かけたところ、説明の途中で会員のプロフィールを見せられた。断ったところ「もう、プロフィールを見たのだから」と強引な勧誘を受け、高額な契約をすることになってしまった。解約を申し入れたら、解約料として18万円を請求された。このように「プロフィールを見せたのだから、契約しなければならない」というのは、よくある手口だ。
また、クーリングオフを申し出ても「入会時に情報提供した分は返金しない」と業者が拒否するケースも多発している。しかし、実際は契約から8日間以内であればクーリングオフができるし、中途解約も認められる。

法外な成婚料を請求されるケース

また、最近は「宝石との抱き合わせ販売」が増えているという。Cさん(36才、男性)は、エステティックや見合いサポートなどのサービスをする会員制クラブの勧誘を受けた。プログラムの中にお見合いパーティーがあり、クラブ入会前に試しに出席したところ「入会すれば、ダイヤモンドを無料でプレゼントする」と言われ、入会してしまった。しかし、見合い相手を紹介してくれるわけもないため、解約を申し出たが、実は解約できないようになっていたのだ。
なぜ、解約できないのか?
悪徳商法に詳しいエクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士が説明してくれた。
「結婚サービスの契約書だと思っていた契約書は、実は宝石販売契約書でした。結婚情報のように、継続的サービスの契約は法改正で中途解約できるようになりました。しかし、物品購入の場合は品物を受け取ってしまって、クーリングオフ期間を過ぎれば解約できない。
この業者は、本人には結婚サービス契約と思わせておきながら、宝石売買の契約を交わさせた。この場合、解約を申し出ると月に1,000円~2,000円位の会費だけを解約できるシステムになっている所が多い」。
最近は、30代後半~40代の女性の入会が増えているため、そこに目をつけて「医師・弁護士・公認会計士限定」といったエグゼクティブ見合いを謳う結婚相談所だ。しかし、実際に行ってみると若くて容姿がいい女性以外は、なかなか紹介もしてもらえない。「特別料金を優先的にエグゼクティブと見合いができる」と持ち掛けるが、実際は「サクラ」に過ぎない場合も多い。
「結婚相談所につきもののサクラは本当に悪質。今は男性の被害者が多いが、今後は女性被害者も増えてくるでしょう」と水口結貴行政書士は指摘する。また「特に悪質な例は、経営者が自分のところに入会した女性に手をつけるケースです。女性のデータを自由に見られるので、その情報を基に女性好みの男性を演じて、たぶらかしたのです」とも教えてくれた。
また結婚成立時に法外な成婚料を請求されることもある。金額が実の曖昧で、実情は客の懐具合を見て値を吊り上げているようだ。トラブルも多発している。

業界団体所属でも安心できない

ある結婚相談所の紹介で結婚相手が決まり、50万円以上の成婚料を払った男性は、支払後に女性と全く連絡が取れなくなってしまった。
別の男性は、相手の女性と数回のデート後、体に触れたとたんに女性の態度が一変した。そして、結婚相談所を通じて慰謝料を請求されてしまった。
結婚情報サービス業者は、いくつかの業界団体を作っているが「自主規制を尊重する」という姿勢にとどまっている。つまり、業界団体に所属しているというこが安心材料にはならない、ということだ。
契約時に登録料や入会金、会費などで高額な費用を請求され、金利の高いローンを強要してくる、中途解約金の返金をごねる、高額な成婚料を請求する…。こうしたことはたとえ大手業者でも行われている。
前出の水口結貴行政書士は、契約の時に所定の契約書がそろっているか、書かれている内容に納得できるかを確認してほしい、と指摘する。水口結貴行政書士は、「特に、書類に何か商品を売買するような事項が書かれていないかを注意しましょう。商品を勧めるところは、疑ってかかった方がいい」と教えてくれた。
真剣に結婚相手を探すのだから、真剣に契約書を読んで慎重に契約をするようにしたい。

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「読売Weekly」2005年5月1日

「宝石」「ネット」「超美人」に要注意
「危ない」結婚サービス

結婚相手紹介サービスでトラブルが続いている。
退会解約料、強引な勧誘だけでなく、出会いを求める心に付け込んだ悪質商法も横行。結婚難の時代、生涯のパートナーに出会う前に、落とし穴に落ちないように…。

サトルさん(仮名)は39才、会社員だが周囲に花嫁候補は見当たらず、40の大台を前に結婚を焦っていた。「これでは、結婚相談所に行くしかない」と、インターネットで検索して、ある会社に資料請求をした。すると、業者からすぐに「無料相談に来て欲しい」との電話をもらった。気をよくしたサトルさんが相談所に出向くと、「カウンセラー」と称する女性が、「結婚相手は必ず見つかりますよ」、「40才になると結婚相手を見つけるのも難しくなるので、入会するなら今しかない」と言う。
サトルさんは、年齢を考えてその場で契約。入会金や情報料、会費などを併せて約40万円なった。しかし、入会直後に見せられた女性プロフィール30人の中から、数人にお見合いを申し込んだが、全て断れてしまった。
サトルさんは不信感を感じ解約を申し出るが、解約料として20万円を請求された。「高すぎる」と抗議すると業者は「すでに情報提供しているから、その分は返金できない」と言う。業者の言い分は「女性20人分の写真を見た」ことが「情報提供」というのだ。結局、サトルさんは一度も女性と出会うこともなく、お金を無駄にしてしまった。

入会直後の「大サービス」

実は、サトルさんのようなケースは珍しくない、という。結婚相手紹介サービスをめぐるトラブルが増加している。国民生活センターによれば、2003年の相談は2,432件と急増している。2004年1月に特定商取引法が改正され、結婚相手紹介サービスも規制対象になった。(※契約期間が2ヶ月、金額が5万円を超えるもの)しかし、国民生活センターに寄せられる相談件数はさほど変わらない、という。さらに「規制対象になってからは『解約料が高い』という相談が増えている」、「入会直後に多くの情報提供をすることで、解約料が高くなるように設定している」と説明してくれた。

「わぁ、ステキな指輪!」 高額な指輪を購入後、「彼女」からの連絡は途絶えた

さらに悪質な例を紹介しよう。自営業のジュンイチさん(仮名)は37才。自宅に届いた結婚サービス業者からのパンフレットを見て、業者を訪問した。業者の女性相談員は「女性会員はみんな美人です」と入会を薦める。ジュンイチさんが迷っていると、今日お見合い予定だった会員さんがいる、突然相手からキャンセルされて、隣の部屋にいるから会ってみませんか?と言う。
そして隣の部屋に行ってみると、そこには魅力的な女性が居た。一目ぼれしたジュンイチさんは即、入会を決めた。そして「交際」も無事にスタートした。2週間後、相談員から「経過を報告してください」との連絡があり、「彼女」と一緒に紹介サービス会社へ行くジュンイチさん。順調な交際ぶりを報告すると相談員は突然、奥の部屋からパンフレットを持ち出してきた。それは宝石や装飾品のカタログだった。そして「結婚する時には必ず必要になりますよ」と、80万円のダイヤの指輪を薦めてきた。断ろうとしたとき、「わぁ、ステキな指輪!」と彼女が言う。
-ジュンイチさんは、その場で購入契約をしてしまった。
しかし指輪購入後、「彼女」からの連絡が急に途絶える。相談員に聞いても「彼女」の行方はわからない。
ジュンイチさんは、中途解約を申し入れるが、返金されたのは会費の数千円だけだった。80万円の指輪は、8日間のクーリングオフ期間が過ぎているという理由で返品(解約)できず、お金も戻ってこなかった。

履歴を偽った「サクラ」も多く存在する

「サクラ」は何も男性相手に限った話でははい。高収入・高学歴のヤスコさん(仮名・34才)は男性に求める条件が厳しかった。周囲には「対象外」の男性しかいない。そんなとき「高年収男性を紹介」というキャッチフレーズの結婚相手紹介サービスをネットで見つける。
入会金や登録料、2年間分の会費などを合わせると約50万円にもなる。しかし「高収入の人に出会えるなら」と入会した。ところが、毎週10人ほどにお見合いを申し込んでも全て断られる。業者主催のパーティーに参加しようとしたが、いつも「定員になり締切ました」で参加できない。
入会から3ヶ月が過ぎたが、誰にも出会えなかった。ヤスコさんは担当者に相談したが「男性は20代の若い女性を好みますから」と屈辱的な返事をしてきた。しかも、後でわかったことだが、業者サイトに公開されていた男性会員はエグゼクティブどころか、フリーターたちだった。
じかし、自宅住所や会社名などの個人情報を知られている業者から、何かされるのを恐れたヤスコさんは、泣き寝入りしてしまった。

「出会い系」から次々、参入

こうした結婚相手紹介サービスは「デート商法」につながるところがある。デート商法では、サクラの存在や宝石販売はつきものだ。そして、名簿業者、サクラ集め、物品販売など、業種をこえて横のつながりがある、という。デート商法に比べると「結婚」というはっきりした目的があるだけに、より騙しやすいという。
さらにインターネットを利用した手口が増えているのも特徴の1つだ。悪質商法に詳しいエクステージ総合法務事務所代表、水口結貴行政書士によれば「悪質な出会い系サイト業者が、結婚相手紹介ビジネスに進出しているケースが多い」と指摘する。中には、小規模な業者であれば、代表者が自分自身を「サクラ」として男女を問わず「交際相手」たちとメールのやり取りをしている所もある、ということだ。「結婚サービス業は設備投資が必要なくて誰でもすぐに始められる。だから悪質業者が参入しやすい」と教えてくれた。
結婚紹介業者で作る団体では自主規制基準を設けているところもあるが、大半は野放し状態だ。悪質業者を見抜くポイントとしては、例えば、長時間に渡って拘束して契約を急がせたり、連絡先が携帯電話やメールだけになっている業者などが挙げられるだろう。そのほか、水口結貴行政書士からは「『すぐに相手が見つかる』などと、良いことばかりを説明する業者や、指輪など商品購入を勧める業者には注意が必要」とアドバイスがあった。大事な結婚への夢を食い物にされないために気をつけて業者を選びたい。

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「週刊アサヒ芸能」2006年3月9日

被害総額20億円 詐欺商法で荒稼ぎする悪徳宝石業者

「もう男性は誰も信用できなくなりました。全部、忘れたいけれど…。悪質な業者は絶対許せません」。

こう怒りをあらわにするのは東京都在住の鶴田さおりさん(仮名・32才)だ。彼女は東京と福岡で宝石販売を起こっていたT社(福岡での名称はD社)に騙され、昨年までに300万円以上のローンを組まされていた。
T社のやり方はこうだ。まず、男性販売員が若い女性を狙って電話で勧誘し、その後、恋人関係を偽装して、女性と親しくなる。そして恋愛感情を利用して次々に高額ローン契約をさせる。いわゆる「デート商法」だ。
T社の電話勧誘にあたっては「恋人呼び」と題するマニュアルが創られていた。そのマニュアルには、会話の進め方などの「台本」のほか、「相手を○○ちゃん(名前)で呼ぶ」、「恋人のように話す」、「軽く外で会う」等の指示があった。趣味やプライベートな話題をしながら相手の心に入り込む作戦だ。
さらに、T社は「接客マニュアル」を作って、販売員と客との“店外デート”を奨励していた。マニュアルには「男女の関係なんだと勘違いさせる」、「最低でも10回は相手を褒める」、時には手を握ったり、体を触ったりして恋人のように振る舞う」など、細かく指示が並んでいた。さらに「クーリングオフ期間内(購入契約後8日間)は、毎日電話とメールで連絡を取り合い、キャンセル防止をすること」と用意周到だ。

「特定商取引法」違反の疑い

そして、鶴田さんは底なし沼のように相手の言いなりになり、借金を重ねていくことになった。結婚をほのめかされていた上に、「お前のことを考えてデザインした」や「宝石を扱う人間と一緒になるんだから恥ずかしい物を持っていてはダメだ」、「売上がきつい。このままじゃ、いつまでも結婚できない」などと言われ、彼を結婚するつもりだった鶴田さんは、「彼に協力するつもり」で、約200万円でピンクダイヤモンドのリング、パールのネックレスを買うことになった。
彼に嫌われたくない一身で、何度も商品を購入した鶴田さんは、短期間で300万円以上のローンを抱えることになった。そしてローン審査に通らなくなると、男からの連絡は途絶えた。会社に電話をすると「体調不良で休んでいる」と言われるだけ。
「だまされた、と気づいた今でもローンは100万円以上も残っています…」鶴田さんは深いため息をついたー。
消費者問題の専門家が指摘する、悪質業者の問題点

こうした販売手法について、悪徳商法の相談を数多く受けているエクステージ総合法務事務所の代表・水口結貴行政書士は言う。
「まず、電話する時点で正式な社名と販売目的を告げていないなら、特定商取引法違反です。(T社の)電話勧誘マニュアルによれば、キャンペーンの招待状を送ったか確認の電話をすることになっているが、実は送ってはいない。これは不実告知にあたり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科せられます。そもそも『連絡が遅れているみたいで申し訳ない』という文言がマニュアル化されている時点で、送っていないことになりますからね」。
さらに、水口結貴行政書士は続けて「『勘違いを誘発させる』の文言は、組織的で悪質。男女の仲であると勘違いさえたうえでの契約は公序良俗違反の行為なので無効であり、契約を解除できます。商品の金額、支払い方法、品物の価値や品質、クーリングオフの説明など重要な事実を故意に告げないと、重要事項の不実告知となり、これも2年以下の懲役または300万円以下の罰金、またはその両方が科せられます」と説明してくれた。

「100万円の価値はない」

そもそもT社の商品に金額分の価値があるのか。看板商品のダイヤの大きさは、鑑定書には0.034カラットと書いてある。鑑定士に聞いてみると「0.1カラットあればまだいいが、そこまで小さいと…、おそらく数百円から2000円位ではないでしょうか」との回答。100万円で購入したことを告げると「えっ?それは、どういう付加価値があるのかにもよりますが、あまりにもおかしいというか…」と困惑気味に言う。
前出の水口行政書士も「こんな品物を100万円以上の値段で売れば、詐欺と言われてもしかたがない暴利行為。著しく価値を誤認させてお金を取っているわけですから」と指摘する。
実際、福岡県警にはT社関連少なくとも5件の相談あるいは被害届が出され、福岡県消費生活センターにも解約仲介依頼や苦情が寄せられている。
匿名を条件にT社の元営業マン(26)が、驚くべき実態を明かした。
「営業マンは東京に30人位、福岡には15人位がいて、それぞれ年間で20~30人の“顧客”を抱えている。顧客一人から平均で150万は取る」。
単純計算しただけでも、年間の「被害総額」は全体で20億2500万円にもなる。この恋愛偽装を成功させるため、T社はイケメン営業マンばかりを集めていたという。

返済に困り風俗でバイト

だが、金の切れ目が縁の切れ目。元営業マンは続けてこう言った。「ダイヤモンドなんて5000円もしない代物。相手の年収によって売る額を決めて、クレジットが限度額いっぱいになったら消費者金融で借りさせる。相手の女に風俗で働くことを勧める同僚もいた。俺も最高で800万円を売ったことがある。最終的に電話やメールを減らして、関係を自然消滅させればいいだけの話。特定商取引法? そんなの知らないね」

九州地方に住む派遣社員の山本洋子さん(仮名・30才)も被害者の一人だ。
「ファミリーレストランで会ううちに呼び捨てになりました。突然、ネックレスを2つ出して『どっちが好きか?』と聞かれ、1つを指しました。『これは恋人同士が付けるものだ。ペアで持とう』と言われ、気がついたら契約書にサインをしていました。64万円です。何カラットと言った説明はなく、単に『希少価値が高い』とだけ。彼からは『つきあってほしい』と言われ、デートもしました。後はなし崩しです」。
福祉関係の仕事をする大石加奈さん(仮名・24才)も同じ営業マンに総額400万円もの借金を背負わされて、警察に被害を訴えた。
「最初、4人の男性に取り囲まれ、買うようにしつこく勧められました。結局、現物を見ることもなく契約書にサインをさせられた。その後も、商品を取りに行ったりするたびに新しい商品を勧めてくる。『俺が加奈ちゃんのために直接、パールの養殖場から持ってきた価値のあるもの』と言って、買わされたこともあった。彼を好きになってしまったせいもあって、頼られると弱かったんです」と力なく言った。

こうした被害者の化は悲惨な状況をT社はどう考えているのか。当社からの質問状に対し、T社社長から文書で回答があった。
「客をダマす目的で作成されたマニュアルは存在いたしません」。強引な販売と暴利行為については「適正価格に基づいた金額で販売しているもの」で暴利販売はしていない」と主張する。さらに恋愛関係、肉体関係の偽装についても前面否定してきた。福岡のD社はコメントを拒否した。
T社の接客マニュアルには、同社の「座右の銘」とでも言うべきキャッチコピーが踊っていた。「相手の心が落ちれば、お金も落ちる!!」
数多くの女性の心をもて遊んだ悪徳業者は、さて、どこへ落ちるのか…。