被害者が話す、悪質商法の手口と
専門家に聞いた「騙されないための方法」とは
普段何気なく生活しているとあまり関係がないはずの「悪徳商法」。しかし、「つい、うっかり」と騙されてしまう人も多い。身近な人に「架空請求のメールが来た」や高齢者を狙って、最初は景品等を配るだけなのに、そのうち「この鍋でご飯を炊くと美味しくなる」、「この鍋は、孫の代まで使える」などと言い、30万円以上する鍋を買わされそうになった、等の話を聞く。
そこで、今日は実際に被害にあった方の話を元に悪質業者の騙しの手口を紹介する。
さらに悪徳商法の相談を多数受けている専門家、エクステージ総合法務事務所の水口結貴行政書士に「悪徳商法に騙されないための方法・テクニック」を聞いた。
「あなたは悪徳商法に騙されたことがありますか?」 街で聞いてみた
例えば、ある女性は「化粧品を買ったら、無料でエステが付いている」と言われて、買ったころ、店員から「これも、あれも、あれも…買ってください」とどんどん勧められ、結局、高額な支払になった、という女性。
他に「アメリカの掃除機で38万円」を買わされた女性は、クーリングオフで電話をしたら、「相手がヤクザみたいな口調になって…」と非常に怖い思いをした、と話してくれた。
そのほか、「勝手に名簿を使われて、家に電話がかかってきて、最初は美味しい話ばかりするんですよ。主婦の方もたくさんやっている、とか、月にいくら稼げるとか。それで乗り気になったら、“じゃあ、先行投資で60万必要”って…」や、「周りに、悪質商法の被害にあった人が多い。出会い系で知りあって、会いに行ったら化粧品を売られそうになったとか、聞いている」という人も。
さらに「子どもの成績を上げてくれる、というので、教材を買わされたしまった」と話す女性が払った金額は、なんと「150万円」。支払は3年間、続いたという。因み、お子さんは結局、勉強はしなかった…とか。
また、「実家に帰る度に、物が増えていて驚く。めちゃくちゃ高い鍋とか、高い布団とか、掃除機とか。肌に乗せるだけで治る金属とか…」と困り顔の人も。
今回は「自宅で、手軽に収入を得たい」。そんな主婦を狙った「内職商法」や、出会いを求める男性をデート気分にさせて、高額商品を売る「デート商法」、無料体験という甘い言葉をエサに次々と高額商品を売りつける「無料商法」などを紹介する。
悪徳商法の実態に迫る! わたしはこうしてダマされた…
今回、紹介するのは、内職商法、デート商法、無料商法。
いずれも悪徳商法の中でも被害例が多いものだ。
(出演者)
そのまんま東 遥 洋子 トミーズ健
エクステージ総合法務事務所 代表行政書士 水口結貴
年々、被害が拡大している悪質商法。どんな人が「ダマされやすい」のか? あなたは大丈夫でしょうか? そこで今回、行政書士 水口結貴さんの監修で「ダマされ度チェック」を作成し、実際にやってみた。
あなたの「悪徳商法」ダマされ度チェック
例)無料プレゼントや懸賞などお得な話に弱い
好みのタイプの異性に言い寄られると弱い
ニュースや世の中の動きにあまり敏感でない
相手を拒否して気まずくなるのは避ける
他人をすぐに信用したり、人の意見に流される …など
そして、これらの質問に対して「Yes」がいくつあるかで、あなたの「ダマされ度」がわかる。
Yesが多いほど、「騙されやすい」人と言えるだろう。
特に「無料プレゼントや懸賞などお得な話に弱い」や「好みのタイプの異性に言い寄られると弱い」といった項目は、殆どの人があてはまるのではないだろうか。
また、「今の自分の現状に満足していない」という項目について言うと、例えば、収入や見た目など自分にコンプレックスがあると、そのコンプレックスに付け込まれてしまう。そして「もっとお金持ちになれる」、「もっときれいになれる」といった業者の勧誘に乗ってしまうのだ。
それでは、実際の悪徳商法の被害を紹介していこう。
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悪徳商法のターゲットになるのは…。その1 子育て中の主婦
そして、こうした子育て中の主婦を狙うのが「内職商法」だ。水口結貴行政書士に、内職商法を解説してもらった。水口結貴さんは、「在宅でできる仕事を紹介するので、それで稼ぎませんか?」と言われながら、実際は「勉強してもらう必要があります」ということで、高い教材を買わされてしまう、やり口だという。
(被害者の証言を元にした再現VTR)
「自宅で2~3時間で、6~7万円を稼げると言われたので…」と語るのは、吉田あけみさん(仮名・36才)。彼女は家事と子育てに追われる日々を過ごしている。小さな子どもを抱えながらの生活は決して楽ではなかった。
「家計も苦しいし、そろそろ仕事を差がなきゃ…」と考えていた頃、インターネットで「在宅ビジネス」の文字を発見。資料請求をすると早速、パンフレットが届いた。そこには「パソコンの資格を取得したら、在宅でできる仕事を確実に紹介する」と書いてあった。
また、報酬例として「月に8万~10万円」の報酬が得られると説明されていた。
「子どもが小さいので、外で働くこともできないし」、「内職だと月に2万円稼ぐのがやっと」なので、「生活費の足しにしたり、子どもの習い事とかに回せれば」と思っていた、という。
そんなとき、一本の電話が。資料請求をした業者からだった。
「パソコンを使ったことがない」と不安がる吉田さんに対して、業者は「大丈夫ですよ」と即答した。「まず、資格を取っていただくんですが、うちの優秀なスタッフがサポートします」、「合格さえしてくれれば、確実に仕事を回します」。
「合格したら、本当に仕事がもらえるんですか?」と吉田さんが聞くと、業者は「もちろんです。仕事はさばききれないどあります」と言い切った。
問題の会社は、依頼先か受けた業務を吉田さんのような契約者に「業務委託」する。そして成果物が納品されれば、報酬を払うという仕組みだ。
業者は続けて「小さいお子さんが居て、外にパソコンを習いに行くのが難しいなら、うちの教材を使って勉強してもらえればいい。すぐに合格できますよ」と言った。
「65万? それは無理です」とあけみさんが断ると、業者は毎日電話をかけてきた。
「今だけ募集」「がんばる人は10万円~15万稼いでいる」という甘い言葉を信じて契約してしまった。
あけみさんは猛勉強したが、合格できない。そして、毎日のようにきていた業者からの電話はこなくなった。消費者センターに問い合わせすると、業者は倒産していた。
計画倒産する業者もあるという。
ダマされる手口(業者が良く使うトーク例)
1)最初に何か、高額商品を買わされる。
2)資格は簡単に取れますよ(あなたが、がんばれば)
3)毎月、5万くらいになりますよ
内職商法にだまされないために
1)見知らぬ人からの電話勧誘はご用心
2)契約を急がされても即断しない
3)契約前に業者の評判を調べておく
行政書士 水口結貴さんの「格言」
ちょっと待て、最初に金とる内職話
悪徳商法のターゲットになるのは…。その2 出会いを求めている男性
言葉巧みに恋愛感情を利用しながら、高額商品を買わせる商法。「平均は130万円です」と水口結貴さんが教えてくれた。
出会い系サイトにはやがて、まだ会ったこともない「サトミ」に恋心を抱くようになった。そして、顔を会わせることになった二人。
予想以上の女性だった「サトミ」に有頂天になるマサオ。そして、サトミはデートの最期に「アクセサリーを選んであげたいから、うちに会社に来て」と言われた。
後日、マサミの会社に行ったマサオにマサミの会社の「社長」がジュエリー(指輪)を選んできた。そのまま「15万円」の契約書を持ってきたマサミ。言われるがまま、契約書に記入してしまった。
しかし、指輪を購入してから10日間を過ぎると、電話がつながらなくなった。それは「8日間」というクーリングオフ期間が過ぎたからだった。
デート商法の手口
1)メールや電話で、さりげなく職業や収入を聞いてくる
2)クーリングオフ期間(8日間)が過ぎるまで恋人を装う
3)契約書だけでなく、アンケートにも記入させる
水口結貴さんが、こうした業者が用意するアンケートの意味を教えてくれた。それは、後になって「案内と聞いていませんでした」と言われないために書かせるものだ、という。
デート商法にだまされないために
収入など個人情報を聞いてくる場合はご用心。
店に連れて行かれても契約しない。
行政書士 水口結貴さんの「格言」
出会い系 即アポ女性にはご用心
悪徳商法のターゲットになるのは…。その3 出会いを求めている男性 時間のある学生、主婦
路上で声をかけられた伊藤さん。「うちの店で、無料体験キャンペーンをやっている」との言葉に釣られて店へ。貴重品を預け、ガウン一枚になり1時間の痩身体験を受ける。ガウンのまま個室へ。そして現れた女性は、伊藤さんの理想とするキレイな女性だった。その女性が「この施術を受けて、変わった」など、エステサービスの内容の説明を始めた。勧誘されること4~5時間。ガウン一枚で、ほぼ裸だったこともあり、逃げられない。ローン総額は約100万と高額だが「一生モノの付き合いよ、月々たった1万円よ」等の言葉に乗せられ、契約することになってしまった。
無料商法 騙しのテクニック
●ガウンのまま別室に移動させられて、勧誘を受ける
●帰ろうとすると無理やり引き留めて勧誘を続ける
●無料体験の後、高額商品を買わせたり、契約させる
行政書士 水口結貴さんが語る「対策」
●無料だからと言われてもついていかない
●友人などと一緒に店に行き、一人ではいかない
●契約を急がされても即断しない
法律で中途解約が認められているもの
エステティック
語学教室
家庭教師派遣
学習塾
パソコン教室
結婚情報サービス
水口結貴さんによれば、業者はこうした中途解約ができないように「役務」ではなく、わざと「商品売買」として契約をさせるケースもある、という。注意が必要だ。
行政書士 水口結貴さんの「格言」
しつこい勧誘、逃げるが勝ち
行政書士水口結貴さんが教える「悪徳商法 まめ知識」
1)勧誘電話「魔の瞬間」
金・土、そして休日の前日の午後
ほっとしている時間
2)キャッチセールス「魔の瞬間」
日が沈む頃の夕暮れ時
心理学的にも気が緩む時間
3)悪徳商法の書き入れ時
新入生、・新社会人で街があふれる4月、5月
大学生も初めておしゃれをしてみたい、初めてのお給料をもらって気が緩んでいる。