10年ぶりに復活の兆しが見え始めた
「エスコート詐欺」
「お金持ちの女性と2時間、付き合うだけ。それで5万円を支払う」、こんな言葉に騙された岐阜県の男性は220万円をだまし取られたとして、業者を訴えている。
車の中の男性は、電話口に向かって「そういったことは、契約書に書いてあるんですか?」と質問する。それに対して、業者は「契約書、契約書って、おまえ、一体何なんだよ?」と、怒鳴る。「正当なことを言っている」という男性に対し、業者は「言ってねぇよ!」と威迫めいた返答だ。「それを判断するのは、うち(当社)なんだよ」と一方的に言う。
「でも…」と反論しようとする男性に対して、「でも、とか言ってんじゃねぇよ!」とキレる男。重ねて「イライラさせるなよ!」と、脅しめいた文句も言う。
「2時間、女性と会ってエスコートすれば5万円が手に入る」
こんな甘い言葉に男性はダマされた、という。
男性は動機について「その当時、彼女がいなかったので彼女が欲しい、というのが…」と話す。
去年の8月、男性は新聞の「結婚・恋人募集」という3行広告に惹かれ、業者に電話をした。男性は、言われるまま入会金として2万円を業者の口座へ振り込んだ。すると2か月後、業者から「紹介したい女性がいるから」とホテルに呼び出された。
ホテルでは、スーツ姿の業者と30代後半の女性が待っていた。
女性はエステ店を経営していて、「ぜひ、あなたと交際したい」と言った。
しかし、甘い誘いには「ワナ」があった。
女性と付き合いたいなら「預託金が必要」と言われる
預託金は、紹介した女性との間でトラブルが起きた場合の解決金だという。
男性は業者に言われるまま、複数回にわけて220万円を支払った。入会金を含めると、わずか1ヶ月の間に222万円を支払ったことになる。
しかし、それから1年たった今も業者からの連絡は1度もない、という。
エスコート詐欺とは女性と交際して、多額の報酬が手に入るというのです。
実は10年前、エスコート詐欺が流行った。今回のケースは、その時の類似系のように見える。「エスコート詐欺」とは、「女性と交際して、月に数十万円の謝礼がもらえる」という触れ込みで、多額の現金をだましとる商法のこと。
悪質業者は、泣き寝入りしてくれる人を「カモ」にしている
悪質商法問題に詳しい消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴さんによれば、「業者が“カモ”にしているのは“泣き寝入りしてくれる人”、だ」という。
続けて、水口結貴さんは「払えと言えば払ってくれる」人も狙われやすい、と教えてくれた。
今から10年前(1994年)には、エスコート詐欺の摘発が相次いだ。被害者は全国で3万人、被害総額は40億円に昇った。そのエスコート詐欺が10年ぶりに復活している、という。
この30歳の男性は騙されていることに気づき、弁護士に依頼して222万円の返還請求をした。
電話で「今すぐ解約はできないんですか?」と解約を求める男性に対し、「一方的な都合ではできない」という。男性が「私が預けた222万円は…」と食い下がると、業者は「相手の方に違約金として支払をして」、そうすれば「今すぐ、やめられる」と言う。
業者は、ホテルで一度だけ会った女性との交際がまだ続いている、一方的に解約すれば、違約金が発生するという。
それでも男性が「契約書に解約する時は…」と、食い下がると業者は「聞けよ、人の話。会員はお前だけじゃねぇんだよ」、「でも、とかじゃねえんだっつってんだろ!」、「イライラさせんなよ!」と、怒鳴りつけたり、威迫的な態度で一方的に電話を切った。
ホテルで渡された名刺を頼りに業者の住所を訪ねた。すると、応対した男性は、ここは「私書箱」だ、という。被害を受けた男性が続けて「事務所は、どこに?」と尋ねるが、「そんなの知らないよ」とそっけない返事。
被害男性がさらに「私、会員で…」と食い下がるが、相手は「会員だか何だか知らないけど、知らない!」と取り付く島もない。名刺に書かれた住所は荷物を受け取るだけの私書箱だった。
問題の業者とは連絡が取れない、という。曰く「荷物を受け取るだけで、会社名も何も知らない」と言う。
この男性と同様に、交際を巡る相談は1,671件にも上っている(国民生活センター調べ)。
このような被害は、これまでに1671件に昇っている。