この仕事、本当に儲かるんですか?徹底取材
終身雇用制度の崩壊によって、独立や副業への関心が高まっている。そのせいか、新聞、雑誌などで「儲かります」、「誰にでもできます」など、高額収入をうたった広告や記事が溢れている。
せちがらい世の中で、「楽して、儲ける」。
そんな話は本当にあるのか? を徹底取材!
出会い系サイトで年収1000万は本当か?
番組スタッフが「楽して儲ける」的な広告に、かたっぱしから電話してみた。広告主の本音を聞き出すために「取材」とは明かしていない。また、広告主に会える場合は、その企業へ潜入取材を行った。
調査1 出会い系サイトオーナー募集
最初は、「出会い系サイトオーナー」なるもの。広告には大きく「年収1000万も夢ではありません」とある。電話をしてみると、そこはいわゆる「迷惑メール」を送る会社。オーナーは自動送信する機械を設置するだけだ、という。本当に月に1千万円も稼げるのか?
実際に業者のオフィスに潜入。ややこわもての担当者が中村の前に。
市販されている物とは違う、システムが組み込まれたパソコンと携帯電話が並ぶ。そして、パソコン内のメールアドレス解析ソフトが接続された携帯電話を通じてランダムにメールを送信する。そして、送信できたアドレスを記録してサイトの利用を確認する、…と全てがパソコンで自動化されていた。
説明する業者は「うちが全部フォローする」と言う。「オーナーさんには毎日、入金がある」とも。そして、オーナーに支払う金額のうち何%かが業者に入る、ということだった。
しかし。何と、開業資金が400万前後もかかるそうだ。
世界規模のビジネス展開、会員数の多さ等を力説する。サイトを見るには180日で6万円。月収300万円は固い、という。
そして、パソコン繋がれた携帯電話20台。迷惑メールを送り続けているという。
次にパソコンを見せてくれた。迷惑メールを送るシステムは全てパソコンで自動化されていた。
男性によれば、開業資金を支払えば、オーナーの仕事は機材の管理と毎日の入金確認だけ、という。そして、月々のロイヤリティは売上の20%前後、という。そして、実際に入金されている通帳を見せてくれた。
入金の有無は電話番号で管理され、払わなければ当然「催促しますから」と業者や言う。そして、通帳には1日で3ページにも渡る振込があった。1件につき3万~6万円の振込があり、1週間の合計で60万円程になっている。単純計算でも1ヶ月で250万円になる。出会い系サイトオーナーの年収見込は、なんと1000万円だ。
しかし、この仕事は法律的に問題ないのか? 架空請求などはしていないのか? 聞いてみると男性(業者)は分厚い冊子を持ってきた。それは経済産業省が出している電子商取引に関する規約だった。業者曰く、法に則って運営しており、架空請求はしていない、という。
「悪質な業者は、どこからやっても入会になるようにしかけている」。しかし、「利用者が、確かに規約に同意して利用する」という「確認措置」があれば、請求はしても問題ない、という。
確かに儲かりそうな仕事だ。違法性は全くないと業者や言っていたが、どうも信じられない。
本当に問題ないのか? 悪徳商法問題に長年取り組んでいる専門家、エクステージ総合法務事務所 水口結貴行政書士に聞いてみた。水口結貴行政書士は、迷惑メールについてこう解説してくれた。
「迷惑メール自体は違法ではない」。しかし、不特定多数にメールを送る場合は守らければいけない条件がいくつかある、という。例えば、未承諾公告であることの表記の義務、送信元の身元を明示し住所連絡先を明記する義務などだ。それは、「迷惑メール防止法」で規定されている、とのことだ。そして、こうした行為は消費者とのトラブルがつきものだ。開業するには注意が必要だ、と教えてくれた。
調査2 「こうろぎ養殖」ビジネス
次の取材は「こうろぎ養殖」ビジネス。「2円で月収60万円」は本当か?
電話してみると、「2円」とはこうろぎ1匹の買い取り価格。収入には個人差がある、とのこと。会いたいと言ってみたが断られてしまい、それ以上の詳しい話は聞けなかった。
調査3 ラブホテル専属の大人のおもちゃを売る自動販売機
電話取材を開始した。ラブホテルはつぶれることはないし、ブームも関係ない。24時間稼働が見込め、安定した収入が見込める、という。
もっと詳しい話を聞くために、潜入取材を開始した。そこは雑居ビルの一室だった。説明してくれた業者は、「儲かる商売」だという。「男と女のことだから、絶対になくならない」し「景気もブームも関係ない」そうだ。「うちは、20年に実績がある」と自信ありげに言う。
オーナーは1台20万円の自販機を20台から購入し、提携するラブホテルに設置する。
商品単価は、1個300円~だ。台4万円の自動販売機を3台買い、ラブホテルに設置。収支モデルは1日3個売り、半年後には136万円の純利益となる、とあった。
実際の商品を見せてもらった。男性用と女性用があり、左右に分けて自販機に入れる、という。左右18個入るから、個で36個の商品が入る。中には「20年前から変わっていない」商品もある、と説明された。
そして、オーナーの「仕事」はというと、実際の自販機設置場所を回って、集金と商品の補充をすることだ、と説明された。そして、「営業はしなくていい」ということだった。
そこで、気になる「いくら、儲かるのか?」を聞いてみると、「最近、オーナーになった」方の売上伝票を見せてくれた。17台で月に13万8千円の売上があった。そこからロイヤリティが引かれ、純利益は8万2,800円だ。
一見、そんなに儲かっていないように見えるが、本業を持つオーナーの仕事は集金のみ。自販機の台数を増やせばもっと儲かる、と説明してくれた男性は言う。月収100万円は固いと豪語するサイドビジネス。
さあ、あなたはこれらのサイドビジネス、やりますか?
当番組では、これからも「稼げる」、「気になる」ビジネスを調査していきます。