post

結婚相手を紹介すると言いながら、実際には紹介しない。結婚相談のトラブルが急増

結婚相談トラブルはそれだけではない。中には、結婚相手を紹介しないばかりか、貴金属を買わせる等、詐欺まがいの手口も出ているという。全国で結婚相手紹介サービスへの相談件数は年々、増え続け、2004年には5年前の相談件数の1.5倍~2倍近くに増えている。(全国消費生活情報ネットワークシステム調べ)
島根県のある結婚紹介業者は、「事前の説明なしに高額請求を行なった」等、特定商取引法違反で行政処分を受けた。この業者の所在地へ取材班が入った。「あなたの幸せを応援します」とうたい、会員を募っていた。被害者の一人、島根県の建設会社勤務のAさんに話を聞いた。
悪質結婚相談業者の被害者が、驚きの手口を証言

Aさんは、4年前46歳でこの業者に登録をした。「高年齢なので結婚を早くしたい」と希望するAさんに対し、業者からは「お見合い1回につき6万円がかかる」という事だけ説明されたという。ところが、実際にお見合いをした女性に交際を申し込もうとした所、業者から「相手の女性の親を紹介する」ということで、なんと200万円を請求されたのだ。Aさんは納得したわけではなかったが、「金額は大きいが、払えば済む」と考え、この金額を支払った。例えば、「婚礼印代」として45万6650円の請求。これは、業者が婚姻届を役所に出しに行く、その費用だという。(因みに、提出はAさんが依頼したわけではなく、業者の方が勝手に行くと言ってきたものだ)業者は他にも、仲人料100万円、結納手数料100万円等、法外な請求を次々に行なった。なんと、Aさんはこの業者に総額2600万円も払っていた。これはAさんが25年もの歳月をかけて貯めてきた物だ。長年の希望だった「結婚」が目の前に見えているものだったため、Aさんは払ってしまったと言う。Aさんは業者に対して、裁判を起こし勝訴。しかし、業者からAさんにお金が返されることはなかった。

裁判の結果をどう考えているのか?
悪質業者を取材班が直撃

取材班は、業者に電話取材を試み、「3月に業務改善命令が出されているが…」と問いただしたところ、業者側は「行政指導のようなこともあったが、騙すつもりで最初からやったわけではないし、お願いされてきたことは精一杯やった」、「ただ、ダメになった方の中にはそういった例もあったので、消費者センターから改善するようにと言われた点は全て受け入れてやっていきたい」との返答。
取材班が、総額2600万程払った会員がいることについて、どう思うのかを問い正すと、電話口の業者は「担当で無いのでわからない」の一点張り。「担当した者に再度、電話をさせる」と言って電話は切れた。しかし、この後、業者から電話が来ることはなかった。結局、Aさんはその後、この紹介された女性とは離婚。今では騙された悔しさと「とにかく金を返して欲しい」と悔しそうに語る。

消費者問題に詳しい法律家に問題点を聞いた

最近、このような結婚紹介トラブルが増えている。悪質商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士に実態を聞いた。水口結貴行政書士によれば、特に30代女性がターゲットにされているとその理由について、「女性の方は、いくつくらいで結婚しなくては、という意識が強いため30代の女性で被害にあう人が多い」と指摘する。さらに、寄せされた相談の中で多いのが、入会時の説明と実際の内容・費用が異なるケースだという。
例えば、37歳と38歳の姉妹から寄せられた相談があった。事前の業者の説明では、「希望する条件の男性はたくさんいる」、「すぐに見つかる」という事だった。姉妹は業者の言葉を信じて二人で合計90万円の入会金を支払った。しかし、紹介された男性は希望した条件とはかけ離れた男性だったため、改めて希望条件に沿った男性紹介してほしいと業者に言うと、業者は「あなたがそういう条件の男性を希望しても、男性があなたを選びません」、「過去の経験から言って、断られるので会っても意味が無いでしょう」と暴言を吐いた。その後、業者は姉妹に10歳も年上の男性を紹介する。姉妹は同年齢の男性を希望していたため断ると、業者はさらに「はっきり言って48歳の男から見ても38歳の女なんておばさんでイヤだと思いますよ」、「俺だって嫌だからね」等と言った。このような失礼な態度に耐えかね、姉妹は結局、業者の契約を中途解約した。

悪質結婚紹介業者の手口とは?
水口結貴行政書士に再び悪質な結婚業者の手口ついて聞いたところ、「例えば、5人分の顔写真があって、確かに一部の情報は見せてもらえる」、そして、その中の誰かに連絡を取りたいと言うと、「その人は(会員を)辞めました」と言われ、別の人は?と聞くと、その人も「退会した」と言われてしまう。このように「サクラ」が存在する業者もあると教えてくれた。
元結婚相談所社員は「サクラを入れないと成立しない。悪質なことをしている業者は多いと思う」と証言する。この会社では、社員が「サクラ」としてお見合いパーティーに出席していた。名前・年齢・出身大学・職業等はあらかじめ業者によって用意され、紙が渡される。その紙に内容で「演じてくれ」と言われるのだ。サクラになるためのマニュアルも存在したと言う。対象が30代~40代の女性のため、弁護士や実業家等、年収1000万円以上の職業になりすます事が多かったそうだ。会社では、女性社員を相手に模擬練習もあり、エグゼクティブになりすますための衣装も用意されていたそうだ。それだけでなく、この会社では会員に「エンゲージリング」も買わせていた。価格は何と100万円程度。客と話をして、収入がありそうな客にはさらに高値をつける。市販品と同じ物を2倍近い価格で売っていたという。このような商法は「抱き合わせ商法」と呼ばれている。

抱き合わせ商法の被害者が語る、その悪質な手口

Bさんは30歳。彼は業者から勧められるままにダイヤを160万円~170万円という高価格で買わされていた。Bさんは入会時にネックレスを購入したが、一度も女性は紹介してもらえなかったと言う。Bさんは、1~2度業者に電話をかけたが、電話がつながるものの、誰も出なかったという。騙されたと気づいた時にはすでに遅かった。高額のローンだけが残り、Bさんには「許せない」と怒りを隠さなかった。取材班は、Bさんが買わされたダイヤモンドを鑑定してもらった。すると、「デパート等で買うと4万~50万円」の価値であり、「率直に言って、高すぎると思う」と言った。また、別の鑑定士も「170万円で売っているとすると、もっとダイヤのグレードを上げたり、デザインがもっと凝っているのが普通」と言う。この鑑定士は価値を「35万円~70万円程度」と判断した。
経済産業省でも、特定商取引法の規制を始めている。被害にあってしまったら、1日も早く、法律専門家に相談したい。