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私、ダマされちゃいました
生活を脅かす、詐欺被害が急増している

普段警視庁によれば、平成17年の詐欺犯罪の検挙人数は、11,648人。10年前に比べ、3,000人も多くなっている。「まさか、自分が騙されるなんて…」と他人ごとに思ってはいけいない。詐欺の罠は、あなたの身近にも潜んでいる。

税金まで引き合いに出す、振り込め詐欺の最新手口

高齢者をねらって「国税局」職員を騙り、「税金を多く払い過ぎているので還付する」と嘘を言う。そして、「振込してもらう」ことを「あなたにお金を振り込むための手続き」などと説明して、お金を業者の口座へ振り込ませる…。ATM操作に慣れない高齢者をねらった手口が増えている。こうした被害について、2006年10月までになんと、3,500件もの問い合わせがあったという。

悪徳商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士水口結貴さんは、「詐欺師というものは、安心させたり、欲につけ込んだり、次々に新しい手口を考える「心理学のプロ」のようなもの、だと教えてくれた。

悪質商法の被害者に聞いた! 驚くべき、詐欺の手口
「買わないとどうしようもない状況」に追い込む、竿だけ屋

詐欺被害にあったというAさん。物干しが古くなったので交換したいと思っていた所、庭で洗濯物を干している時に物干し竿売りのアナウンスが。値段が安かったため購入を決めた。さらに、古い物干し竿も処分してくれるとの事で喜んだ。しかし、請求額はなんと15,000円。「2本で1,000円のはず」と反論すると、「ステンレス製は2本で15,000円」と言う。Aさんは2本1,000円の物干し竿に交換してほしいと言ったところ、「2本で1,000円の物干し竿は売り切れ」と言う。ならば、商品はいらないと言ったが、「古い物干し竿は折ってしまった」ため、払わざるを得ない状況になってしまった。Aさんは「買わないとどうしようもない状況になってから、値段を言うのは、非常に悪どい手口と思う」と怒りを隠さない。
悪質商法の専門家、行政書士・水口結貴さんは、「移動販売の場合、『店舗』とみなされるため、クーリングオフはできない」と説明する。また、業者によっては、「値引き額が1,000円だ」などと言ったり、物干し竿は1,000円だが、「取り付け料」として高額な代金を請求してトラブルになるケースも多いと解説してくれた。

妊婦という立場をよいことに人の好意を利用し、お金をだまし取る

Bさんは、道で突然、見知らぬ女性に声をかけられた。女性は妊娠していて上の階に住んでいると言った。さらに続けて、「祖父が入院して、病院に行かなければならないが、こんな体で銀行に行けない」、「すまないが5,000円貸してくれ」と言うのだ。Bさんはこの話を信じ、女性にお金を渡した。その上Bさんは親切に、自分の車で彼女を病院まで送ってあげた。しかし、その夜、家族にこの話をすると上の階にそんな女性は住んでいないという。しかもBさんだけでなく、若者を中心に近所で、同様の被害が多数あったということが判明した。
水口結貴さんは、このケースについて「都会では、隣近所にどのような人が住んでいるかわからない」ことで成り立つ「都会的な詐欺」と指摘する。
また「少額を少しの間だけ借りる」という事で、典型的な「寸借詐欺」であること、「1回に騙す金額が少額なため、多くの人数に詐欺を行なっている可能性が高く、余罪が多い場合がある」と説明してくれた。そのため、「独りが声をあげても仕方が無いので、被害者皆で警察へ届出をしていかないとならない」ということだ。

信頼関係を利用して、騙す。その宅妙な手口とは
二人の通帳まで作った、結婚詐欺

Cさんは、以前、結婚を決めていた相手とドライブ中交通事故にあった。相手は無事だったが、Cさんは全身打撲の重傷を負い、長期入院することに。しかし、相手はCさんの見舞いにもこず、浮気までしていたという。結局、これが原因となり、結婚は破談となった。ただ、相手の保険から200万円がりたことが救いだったそうだ。Cさんは1ヶ月後に退院。
寂しさに耐え切れず、Cさんは出会い系サイトにはまるようになった。
そして、ある男性と会い、付き合うように。そして、ある日彼から「二人のために口座を作った」、「この口座にお金に貯めていこう」と、100万円が入った預金通帳を渡され、Cさんは彼をすっかり信用してしまった。通帳はCさんが、キャッシュカードは彼が持つことになった。
ところがある日、自宅に「Cに伝えておけ、保険金の200万円は俺のものだ。返さないと、ただじゃおかない」と不審な男からの電話がある。Cさんはこの電話にすっかり怯えてしまった。その上、たまたま会社が休みの日、彼がCさんの自宅を訪ねたところ、不審な男が自宅の周辺をうろうろしていたと言う。
ついに、Cさんはこれまでの事情を彼に打ち明けた。彼は「何か家から持ち出されているかもしれない」、「お金が引き出されているかもしれない」等と言い、Cさんを連れて銀行へ。お金は引き出されていなかったが、彼は「このまま置いておくと危険」等と言い、全額を「二人用の」口座へと移させた。
その後、彼の携帯電話は通じなくなり、合鍵をもらった部屋はもぬけの殻。そして「二人用に」とお金をためていた口座からは、お金が全額引き出されていた。「最初から、騙すためだけに会っていたのかと思うと、悔しくで仕方がない」とCさんは話す。
刑事になりすまして安心させ、130万円のカード詐欺を…

Dさんは、ある日夫から次のような話を聞く。駐車違反をとがめられた警察官から、駐車違反を見逃す代わりに、カード犯罪撲滅のため実態を知りたいので「ローンのカードを作って欲しい」と頼まれる。「お金を借りるのではなく、カードを作るだけ」と言われ、言われるがままにローンカードを8社(8枚)作った。「カードは破棄するから」と、自称刑事はDさんの目の前でカードにハサミを入れた。切ったカードは「個人情報だから警察で破棄する」と自称刑事が持ち帰った。翌日、Dさんは各カード会社に契約解除の電話をしたところ、各社とも「解除と言われても、お金を全額返金してもらってからでないと…」との回答。
そして、作ったカード8社、全てからお金を借りられていた。総額130万円。警察に行ったDさんは、自称刑事の名前を言って確認したところ「そんな刑事はいない」と判明。しかたなく、Dさんは夫婦で借金を返すことになった。カードは切った後にでもスキミング等で情報を読み取ったのかもしれないし、横に切るのではなく、縦に切っていたので使用できた可能性があると、行政書士・水口結貴さんは解説する。
「他人ごと」ではなく、詐欺の罠は日常の中に潜んでいる。どんな小さなことでも不審な事があれば、すぐに法律専門家に相談するのが良い。