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日本テレビ 「NEWSリアルタイム」2006年5月30日

「キレイになりたい」。女性の願望を利用
した悪質エステが横行 最新の手口とは

それは「フリーペーパー」。
街頭や書店で多く配布されていて、巷にはフリーペーパーがあふれている。その人気と信頼を悪質エステ業者が利用している。悪質エステの現場へ潜入取材を敢行。すると、エステサロンの中では驚くべき実態が…。

人気のフリーペーパーに潜む「罠」
「フリーペーパーには、エステ業者の広告が非常に多く乗っている」と消費者問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所 代表行政書士・水口結貴さんは指摘する。さらに、フリーペーパーに、割引チケット(クーポン)もつけておき、人を集める。フリーペーパーを見た人は「お試し」感覚で安いエステを受けようと業者を訪ねるが、そこで高額な商品やエステサービスの契約を勧誘されるという被害が増えている、と解説してくれた。
2004年11月、特定商取引法が改正され、それ以前に横行していた路上や電話で、販売目的を告げずに個室店舗等に誘って、商品等の購入を勧誘する行為は禁止された。
そこで、エステ業者は「お試しコース」をフリーペーパーに載せ、客を誘いこもうとしているのだ。水口結貴行政書士は、フリーペーパーの中から、相談が多いというある業者を教えてくれた。広告には、通常15,000円するコースが、2,000円で受けらえると大幅な値引きが書かれていた。
「このままでは病気になる」。裸同然の客に対して、執拗な勧誘が続く

いったい、悪質エステ業者の店内で何が行われているのか、被害女性に話を聞くことができた。この女性は、なんと200万円もの高額な契約をさせられたという。この女性は、エステ体験だったにも関わらず、エステシャンからのマッサージ等は殆ど無く、「太りすぎ」等、危機感をあおることばかり言われ、とにかく商品を売りつけてきたそうだ。
その手口は、強引極まりないものだった。
「考えたい」、「次週決めます」と言っても取りあってくれず、その場で購入を決めないとなかなか帰してくれなかったそうだ。断りきれず、美顔器、下着類、化粧品、サプリメント等、合計6点を購入することに。しかし、効果は殆ど感じられなかったそうだ。
彼女は「詐欺にあったようだ」と語った。

潜入! 悪質エステ業者の現場。 そこでは、いったい何が行われているのか?

取材班は業者店舗へ予約を入れる電話をしてみた。
そこで「実際に、2000円だけ?」「それ以上、かかったりしないですか?」と尋ねると、「大丈夫です。かかりませんので、ご安心ください」との回答。実際に店舗を訪ねてみた。そこで、予約を入れ店舗へ行ってみた。店は繁華街の一角にあるビル。予約を告げると、すぐに小部屋に案内された。簡単な説明を受けた後、ロッカールームに案内され、ここでガウンに着替える。そして全ての持ち物はここに置いていかなくてはならない。何とか小型マイクだけを隠しもって移動する取材スタッフ。まず、ボティーチェックと言い、店員が体の脂肪をつまむ。そして「今、何も手入れをしないと、これから脂肪率が上がる」と断言した。さらにマッサージ中も、体の異常ばかりを指摘する店員。
そして、おもむろに商品(サポーター)を取り出し、片足に5分程履かせて、その後は「細さが全然違う!」等、商品の効果と売り込みが続く。このサポーター、セットで21万円という高額商品だ。しかし、店員はローンで、ボーナス払を併用すれば、「月々3000円」と安さを強調する。
スタッフが買うのをためらっていると「このままでは成人病予備軍になりかねない」とさらに不安をあおる店員。この後も、店員はスタッフをベッドに寝かせたまま執拗な勧誘を繰り返す。なんとスタッフが解放されたのは入店してから4時間半後のこと。
客に勧めたのは、履くだけでセルライトが流れるという、高額なサポーター。取材版で独自の調査を行なったところ、「特段、変わった素材ではない」との診断。業者に、共同検証をもうしれたが、取材は拒否された。

消費者問題の専門家・行政書士が指摘する問題点とは

この販売方法について、消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・行政書士 水口結貴さんに、店での会話内容を見てもらった。水口結貴さんによると、不安を与えるような発言をしながら高額商品を売る行為や、ほとんど裸に近い状態で逃げられない状態の人に3時間以上にもわたって執拗に勧誘することは、違法な行為と指摘する。
さらに、この業者の行為は特定商取引法違反にあたると説明してくれた。

この会社は全国に店舗を展開しているが、取材した店舗だけでなく、他店舗でも強引な販売をしているようで、多くの書き込みがインターネット上に見つかった。また、この業者の元店員に話を聞いたところ、とにかく商品を販売することが目的だったと語ってくれた。安いコースだから、お試しだから…と気軽に利用するのは良いが、このような勧誘を受ける危険性があることも十分知っておきたい。

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テレビ朝日 「スーパーJチャンネル」2006年7月28日

「今使っている電話機は使えなくなる」
高齢者をねらう電話機リース被害が多発

IP電話の登場等、電話の回線種別も増えてきている。それを巧みに利用して、中高年をねらった電話機リース被害が急増している。
被害者のAさんは、包装資材の販売を夫婦で営んでいる自営業者だ。Aさんは、現状について「生活費が全てリース料に行ってしまう」と嘆く。
原因は昨年8月、業務用オフィス機材のリース契約をしたことにある。それは業務用ビジネスフォン。市販はされていない。Aさんの妻は「全然、必要じゃない」と断言する。その他、FAXとコピー機にノートパソコン。会計ソフトは全く使っていないそうだ。
これら機材のリース料金が総額800万円にのぼる。

Aさんは「デジタル化」等、最近の動向は全くわからない、と自ら話す。国民生活センターに寄せられた、電話機リースによる被害相談件数は2005年は8600件を超えている。
リース契約とは、リース会社がオフィス機器等を企業に代わって購入し、一定期間、機器を顧客に貸し出し、顧客がリース料を払うという契約。パソコンや電話機等、次々に新製品が出るような物は、都度、最新機器を買うよりもリースを利用した方が得な場合があり、高額な業務用機器を日常的に使う大企業にはメリットがある。

ではなぜ、家庭用電話機で十分なAさんは、高額な業務用電話機をリース契約したのだろうか。

悪質商法問題の専門家が指摘する問題ある勧誘とは

長年、消費者問題に取り組んでいる専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士に聞いた。
水口結貴行政書士は、問題のある勧誘が行われていると指摘する。

「最近のデジタル回線、『IP電話』、『光通信』など、非常に仕組みが複雑になっているため、高齢者の方にはわかりにくい。そこに漬け込んで、巧みに不安心理をついている」と解説する。さらにインターネット回線を利用したIP電話、光ファイバー通信を使った高速回線等、専門知識を持たない中高年にデジタル用語を悪用している、と教えてくれた。

被害者が語る、悪質電話機リース業者の手口

悪質業者を受け、高額な電話機リース契約を結んでしまったBさんに話を聞いた。Bさんは62歳、妻は他界し一人で理髪店を経営している。契約した電話機は「奥にしまってある」というBさん。電話機は段ボールにしまったまま、物置に置かれ、全く使っていない。段ボールの中には、最大12回線が使えるビジネスフォンが。Bさん一人で経営する理髪店には全く必要ない。なぜ、しまっているのか?と尋ねたところ、Bさんは「少しは使ったが、見るにも嫌になって」と答えた。全く使っていない電話機のリース料金は月々42,000円。リース契約期間は7年間で、総額は350万円を超える。
2年前の夏、Bさんの店を業者(男性2人)が訪れ、自社製品の機能をアピールした後、「お宅の電話機がデジタルに対応しているか調べさせてください」と言ってきた。そして業者はBさんの店にあった電話機を調べた後、「お宅の電話機はIP電話や光ファイバーには対応していません」、「新しい装置に取り替えないと、電話機は使えなくなります」と言ったのだ。
Bさんはこのような用語は全くわからず、「今の電話が使えなくなる」という事だけが印象に残った。
さらに業者は説明の中で「電話代も安くなるし、割引もします」と言う。その後2時間に渡る勧誘を受け、契約をしてしまった。「悔しいだけ…」とBさんは言った。

「今の電話機が使えなくなる」は、嘘。事実と異なるセールストークで高額な商材を売る

NTT東日本では、「NTT東日本の都合によって、現在使っている電話機が使えなくなることはない」と説明。つまり、悪質業者が口をそろえて言っていた
「今の電話機は、使えなくなる」は嘘なのだ。

また、悪質業者側は「一従業員のやったこと」としながらも、「リース会社との相談にもなるが、解約手続の相談に応じる」と回答した。一方、リース会社側は、「営業方針や値段設定は販売業者が独断で行なっている」としながらも、「問題が事実ならば、解約に応じ、今後は提携を解除する方針」と回答してきた。
特定商取引法では、虚偽の説明で商品の購入等、勧誘をする行為は「不実告知」にあたり、禁止されている。しかし、事業者の契約の場合は、クーリングオフの対象外となるため、業者はそこを狙っているのだ。Bさんの契約も、契約名義は個人名義ではなく、経営する理髪店名義になっていた。

法の隙間をかいくぐる、悪質業者のテクニック

さらに、水口結貴行政書士は、「実際には個人用として使っている電話、家庭用の電話にも関わらず、さもビジネスで使っているように屋号で契約書を書かせたり、事業を行なっていないのに、屋号をでっち上げて書かせたりすることも問題」と教えてくれた。

元、悪質電話機リース業者の従業員が証言。その手口

電話機リース会社に勤めていたという、元従業員に話を聞くことができた。元従業員は契約勧誘の手口について、「この電話機は電子機器がおかしいから使えなくなる」や、中には「爆発します」とまで言って契約をさせた営業マンも居たという。
大抵の客が迷うので、営業マンは「安くなりますから」、「便利になりますから」とプッシュするのだ。「アナログ回線からデジタル回線に切り替えます」等、嘘もつくと証言した。

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「日経新聞」2006年9月3日

悪質商法に「クーリングオフ制度」

「自分に限って大丈夫」-そんな思い込みを後目に悪質商法被害が拡大している。消費者にはどんな防衛手段があるのか。言葉は知っていても、実際にどんな制度なのか知らないといざというとき、役立たない。「クーリングオフ」について解説する。

会社員も被害増

福岡県の戸村順さん(仮名・35)は職場にかかってくる執拗な電話に悩まされていた。「持っていれば、将来役立つ」とのセールストークを信じて資格取得教材を購入したのが2年前。仕事との両立は難しく、勉強ははかどらなかった。ところが業者は「一度登録したら、合格するまで教材を購入する仕組みだ」と説明する。「おかしい」と思いつつ、職場への電話を止めてもらいたい一心で「続き」と言われた商品を50万円で購入した。しかし、電話はやむことは無かった。それどころか名簿が流出したのか、別の業者からも電話が次々にかかってくる…。
これは「資格商法」と呼ばれる悪質商法の一種だ。国家資格の受験教材を売りつけ、その後も「契約は終了していない」などと再三、接触してくるのが特徴だ。談は約128万件。1995年度の約27万件から5倍近くに増えた。そのうち8割以上が「契約・解約」に関する相談だ。インターネットの普及で、どこにいても悪質商法のターゲットにならないとも限らない。

素早い対応が被害を防ぐ

本意でない契約をしてしまった時の強い味方がクーリングオフ。通常、契約の一方亭な破棄は認められないが、クーリングオフに限って消費者側から一方的な契約の撤回や解除が無条件にできる。損害賠償金や手数料なども払う必要もない。業者には全額返金が義務つけられていて、引き取り費用も業者負担になる。

クーリングオフができる契約は限られている。販売方法に注意が必要

消費者の強い味方であるクーリングオフ制度。しかし、どんな契約でもクーリングオフができるわけではない。注意したいのは販売方法だ。
業者が不意打ち的にアプローチしてくる訪問販売や電話勧誘販売、マルチ商法とも言われる連鎖販売取引が対象となる代表的なものだ。店舗での契約は「自発的に店に訪れた」とみなされ、クーリングオフの対象外だ。また、ネット通販なども消費者に熟考期間があるとみなされて適用外になる。
また「特定継続的役務提供」という文類に入るエステや外国語会話教室などは、店舗での契約でもクーリングオフの対象になるので、注意しておきたい。具体的な商品・サービスは国民生活センターのホームページなどで確認できる。

無条件で解約 8日以内に

クーリングオフで一番重要なことは「スピード」だ。クーリングオフ期間は販売形態によって違うが、多くが該当する、しかも最短の「8日間」をめどに実効することが大切だ。

クーリングオフ期間内なら無条件でできる解約の「1日でも期間を過ぎれば、天国と地獄ほど難しくなる」。こう話すのは、クーリングオフ代行サービスを行う行政書士エクステージ総合法務事務所の代表行政書士、水口結貴さんだ。
クーリングオフ期間は契約書を受け取った当日から数える。また、クーリングオフは書面で行うことも覚えておきたい。水口結貴さんによれば、「まずは電話で」などと業者に連絡を取ると「理由を問い詰められたり、のらりくらりかわされたりして期間切れになってしまう場合が多い」とのことだ。

クーリングオフをしたい場合は、日付、氏名と契約商品、それを解除する旨を書いて郵送する。特に決まった形式はないが、「出した事実」と「日付」が重要なので、配達記録郵便か、内容証明郵便で送るといいだろう。また、ローンを組んでいる場合は同じ書面を信販会社に送ることも忘れずに。
もし、クーリングオフ期間を過ぎていても、契約書を受け取っていない、書類に不備がある場合はクーリングオフ(契約解除)ができる場合もある。あきらめず、専門家に相談しよう。

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「週刊SPA!」2006年10月31日

期限が過ぎたものでも、契約解除をサポート

マルチ商法や出会い系サイトを利用したデート商法、ホームページ作成やデータ入力などの仕事をエサにパソコンや学習教材を売りつける内職商法…。年々、巧妙になっていく悪質商法。そんな悪質商法に騙されてしまう人は後を絶たない。
万が一、悪徳商法に騙されてしまったときに利用したいのが「クーリングオフ・ネット」による契約解除サービスだ。解約成功率100%のクーリングオフ期間内のほか、クーリングオフ期限をすぎたものでも相談に応じてくれる。契約解除の実績は3000件以上だ。
「北海道から沖縄まで、毎月1000件以上の相談があります。相談だけなら無料で、それで解決する場合もあります」(クーリングオフ・ネット代表 水口結貴行政書士)
実際に代行を頼む場合の費用はおおよそ3万円~5万円度。
「同じ業者が名前を変えて複数の契約をしている場合も多いので、日によっては同じ会社に内容証明郵便を何通も送ることもあります。件数が多い分、“この業者にはこのやり方”というノウハウの蓄積もあります。これが解約率の高さにつながっているのでしょう」。 覚えておいて、損はないサービスだ。

水口結貴行政書士
行政書士エクステージ総合法務事務所代表。実務経験に基づく独自の調査手法などによって悪徳商法事情に精通している。

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TBS「ピンポン!」2006年11月10日

平穏な生活を脅かす、悪質商法。手口の
巧妙化で高齢者・子供にも被害が拡大

普段身に覚えのない請求、身に覚えのない大金を要求される…。悪質商法の被害が増えている。その手口は消えることはなく、毎回、手口を変えて社会に「ワナ」として潜んでいる。
しかも、その被害は幅を広げ、高齢者や子どもにまで及んでいる。悪質商法は、あなたを狙っている…。

悪質商法の被害が急増している
2005年の悪質商法に関する高齢者の被害相談献金数は、138、526件。(消費生活センター)年々増加している。(2004年は129,383件)法律が改正されても、被害は減るどころか増えているのだ。特に、クレジットを利用して、高齢者をねらった「次々販売」が増えている。

ある「次々販売」被害者の例を紹介しよう。
数年前に妻を亡くし、広い家に一人で暮らす山口哲郎さん(仮名・65歳)。そこに悪質商法の魔の手が。
ある日、自宅に「羽毛布団の訪問販売をしている」という業者の訪問を受けた。最初は購入を断っていたが、業者はこうした一人暮らしの孤独感につけこみ、話し相手になることで不信感を無くしていく。そして、優しい言葉をかけて最終的には商品を買わせてしまう。被害者の中には、販売員の親切さだけを覚えていて「騙された」感覚が無い人もいるという。
しかし「次々販売」の恐ろしさは、この後に出てくる。
一度商品を買ってしまうと、販売員が何度も訪問する。そして、次々に違う商品を購入させるのだ。中には2000万円もの契約をした被害者もいる。
次々販売は、同じ業者が何度も商品を販売することが多いが、中には情報が漏れるのか、違う業者が次々に訪問するケースもあるという。
激増する、悪質商法。若者をねらう「マルチ商法」の実態とは

若者の間では「マルチ商法」の被害が多い。「商品が売れるとマージンが入る」、「おいしいよ」等と説明を受ける。多くは、友人・先輩から勧誘されるという。
携帯で呼び出され、「あなたなら、仕事のパートナーになれる」等と言われ、マルチ商法に誘われるケースもある。
多くの場合、マルチ商法では「会員費」と「商品購入費」がかかり、数十万円の高額な価格になる。当然、若者にこの金額が払えるわけはなく、大部分がクレジット契約を締結する。この時「すぐに取り戻せるよ」、「お金を借りても大丈夫だ」等と説明されることも多いという。
そして、多くの場合は新しい会員の獲得や商品の販売はできず、借金だけが残る。
一方、こうした勧誘が成功すれば、今度は自分が加害者になる、という構造も問題視されている。

親心を踏みにじる悪質・家庭教師業者の対応とは

当番組では、悪質商法の被害者(山下順子さん・仮名)に話を聞くことができた。
山下さんは子供に英会話を習わせようと思い、家庭教師を頼むことにした。
しかし、最初の授業の日。直前に業者から電話があり、授業をキャンセルされてしまったのだ。そして、それは1日だけではなく、授業の当日になると、授業の30分から1時間前にキャンセルのメールがくる、という。
結局、4回も直前にキャンセルされてしまった。この件で山下さんは、英会話教室にクレームの電話をしたところ、業者はAさんに対し「このような電話をすることは、ストーカー行為と営業妨害にあたる」、「これ以上しつこい場合は警察に相談するので、ご注意ください」、というメールが来たという。
「子どものために、と思って出したお金なのに…」、「一番許せないです」と山下さんは怒りを抑えられない様子だった。
高齢者、若者、主婦だけではない。急増している「子ども」を狙った悪質商法

子供を狙った悪質商法で目立つのが携帯電話による被害だ。
被害例を紹介しよう。都内に住む田中家は拓くん(仮名)を含む3人家族だ。今は、小学生でも携帯を持つのは当たり前。しかし、そこにワナがあった…。子どもを狙う悪質商法の魔の手とは。それは、社会問題にもなっている携帯電話へのダイレクトメール。大人であれば、未然に防げるが、子どもは何もわからず押してしまう。その後、業者から電話がかかってきて、「ご登録ありがとうございます。“登録料”として、1万円がかかりますので」などと請求されてしまう。
さらに、このような業者から電話があった場合、相手に言われるままに名前や住所等の個人情報を話してしまうのが、さらに被害を大きくする可能性を生んでしまう。

急増する悪質商法から身を守る方法を、消費者問題のエキスパートに聞いた

こうした悪質商法に対して、どんな対策をすれば良いのか?どうやって、身を守っていけばいいのか?を、消費者問題に詳しいエクステージ総合法務事務所代表・水口結貴行政書士に話を聞いた。

「何か“納得がいかないな”、“おかしいな”と思ったら、絶対にサイン・印鑑を押さないこと」と水口結貴行政書士は言う。それは、消費者も「サインをする」、「印鑑を押す」という行為が、どんなに重要なことなのか」ということを再確認する必要がある、ということだ。また、契約内容に納得いかない場合は、「断る」、「その場から帰る」ということも大切だ、ということだ。
こうした社会的弱者とも言える、高齢者や子どもを狙った悪質商法には、周囲が気を付けることと同時に、何かあった場合はすぐに専門家に相談するようにしたいものだ。

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フジテレビ 「こたえてちょーだい」2006年11月15日

私、ダマされちゃいました

今週のテーマは「許せない!詐欺」。
日々、進化する詐欺のテクニック。人生の思わぬ所に落とし穴が。人は、人を信じてはいけないのか?
占い、詐欺被害者たちの怒り、大爆発!

増加する一方の「振り込め詐欺」
そのほか、詐欺被害から身を守る方法を専門家に聞いた

11月に入り、世間を騒がせた「国税局」を名乗る新手の「振り込め詐欺」。
2006年9月までの被害は、なんと5919件、被害総額は約180億円に昇っている。情報が錯そうする世の中で、私たちはどうすればいいのか?
する一方だ。
スタジオには、消費者問題・悪質商法の専門家、エクステージ総合法務事務所の水口結貴行政書士をゲストに迎え、お話をうかがった。

読者からのFAXでは、こんな詐欺被害を訴えるものがあった。
○税務署員をかたった手口
○国税局をかたって、入金を誘う
○偽文書で「税金を返す」など。
また、新手の「振込詐欺」にも注意が必要だ。

街角で聞いてみると…意外にも「騙された」人が多い

「騙されたことは、いろいろあります」と告白する男性。
また、別の年配の女性は「だまされたこと?」、「ある」。と断言して、「いつも取りにくる町会誌」の件でだまされた、と怒りをあらわにした。
…と、世間に渦巻く「不満の嵐」に驚愕の激論バトルが乱れ飛んだ。

平穏な生活を脅かす、悪質商法。被害が急増している

悪質商法の手口は年々変わり、巧妙になっているほか、高齢者・子供にも被害が拡大している。

国税局を騙った多額の振り込め詐欺が発覚した。これだけ注意喚起が行われても、振り込め詐欺の被害は拡大

ある被害実例を紹介しよう。

○ワンクリック(詐欺)
8ヶ月前、携帯に突然メールが届き「24時間以内にここをクリックしてください」と書いてあった。気になり、クリックしたら「こちらの世界にようこそ」とHな画面が出て、慌てて消去した。しかし翌日、携帯に電話があり「8万円を振り込んでください」と言われた。「身に覚えがない、知らない」と言ったが、色々と理由をつけて「振り込め」と毎日、何回も電話がかかってくる。仕事で使っている携帯なので番号も変えられないし、今では深夜にまで電話がかかってきて、かなりストレスが溜まっている。しかも請求額は30万円!こんなもののために、お金を使うのもばからしいし、本当に頭にきています。

水口結貴行政書士によれば、1回でも振り込んでしまうと、業者に「こいつはカモだぞ」と思われて、次々に請求されてしまう、いうことだ。さらに、請求に動揺して電話等で連絡をしてしまうと、業者にさらに個人情報を聞き出されてしまう場合があるので、注意が必要だ、と教えてくれた。
さらに、1回でも払ってしまうと「今度は50万円、今度は100万円」などと請求額が吊り上がるケースもあるという。

また、こうした「内職商法」は非常に多いという。子どもが小さくて外に働きに行けない主婦を狙って、教材を買わせる等の手口が有名だ。
新聞の折込チラシに掲載されている会社や内容について、新聞社がチェックしているわけではないが、人はそこを勘違いして、「新聞社がチェックして掲載しているなら…」と間違って信用してしまう。

主婦を狙う! 内職商法

ある主婦は、新聞で見つけた「宛名書き」の仕事に応募するため、業者に電話をしたところ、業者の訪問を受けた。業者の説明によれば、エステ用品のダイレクトメールを書き「月に2万円は必ず入る」と説明を受けた。そして「すぐにもとは取れるので」と「最初に美顔器を買ってくれ」と言われたのだ。彼女は怪しいと思い断ったが、その後、この業者は「内職商法詐欺」で摘発されたという。
主婦をねらった内職商法は多くなっている、と水口結貴行政書士は指摘したほか、このような悪質商法については、なかなか詐欺とは立証しづらいと説明してくれた。

詐欺は計画的に行われ、仮に逮捕、有罪、懲役となっても刑期は2年程度。出所すれば、再犯の可能性も高いという。また、こうした詐欺行為には罰則があるものの、「詐欺」と立証するのが難しい、と水口結貴行政書士は教えてくれた。そうした場合は、「特定商取引法」違反する、ということで科されたとしても懲役2年位になる。
殺人と詐欺を比較すると、詐欺の方が悪質だし、罪を重くするべきだ、と考える人もいるかもしれない。
なぜなら、「目の前で、自分の肉親が殺されそうになっていて、たまたまそこに銃があれば、殆どの人は殺そうとしている人を撃つ」、だろう。その意味で、誰でも殺人者になる可能性がある。
しかし、詐欺はそうではない。
詐欺は、考えに考えて、「完璧に、こいつを騙してやろう」と周到な準備をしているからだ。こうした罪を犯した人間が2年の懲役で改心するだろうか。
人に大きな傷を負わせた罪に対して、刑が軽すぎはしまいか。
悪質商法が少しでも、減ることを望んでやまない。

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フジテレビ 「こたえてちょーだい!」2006年11月21日

私、ダマされちゃいました
生活を脅かす、詐欺被害が急増している

普段警視庁によれば、平成17年の詐欺犯罪の検挙人数は、11,648人。10年前に比べ、3,000人も多くなっている。「まさか、自分が騙されるなんて…」と他人ごとに思ってはいけいない。詐欺の罠は、あなたの身近にも潜んでいる。

税金まで引き合いに出す、振り込め詐欺の最新手口

高齢者をねらって「国税局」職員を騙り、「税金を多く払い過ぎているので還付する」と嘘を言う。そして、「振込してもらう」ことを「あなたにお金を振り込むための手続き」などと説明して、お金を業者の口座へ振り込ませる…。ATM操作に慣れない高齢者をねらった手口が増えている。こうした被害について、2006年10月までになんと、3,500件もの問い合わせがあったという。

悪徳商法問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士水口結貴さんは、「詐欺師というものは、安心させたり、欲につけ込んだり、次々に新しい手口を考える「心理学のプロ」のようなもの、だと教えてくれた。

悪質商法の被害者に聞いた! 驚くべき、詐欺の手口
「買わないとどうしようもない状況」に追い込む、竿だけ屋

詐欺被害にあったというAさん。物干しが古くなったので交換したいと思っていた所、庭で洗濯物を干している時に物干し竿売りのアナウンスが。値段が安かったため購入を決めた。さらに、古い物干し竿も処分してくれるとの事で喜んだ。しかし、請求額はなんと15,000円。「2本で1,000円のはず」と反論すると、「ステンレス製は2本で15,000円」と言う。Aさんは2本1,000円の物干し竿に交換してほしいと言ったところ、「2本で1,000円の物干し竿は売り切れ」と言う。ならば、商品はいらないと言ったが、「古い物干し竿は折ってしまった」ため、払わざるを得ない状況になってしまった。Aさんは「買わないとどうしようもない状況になってから、値段を言うのは、非常に悪どい手口と思う」と怒りを隠さない。
悪質商法の専門家、行政書士・水口結貴さんは、「移動販売の場合、『店舗』とみなされるため、クーリングオフはできない」と説明する。また、業者によっては、「値引き額が1,000円だ」などと言ったり、物干し竿は1,000円だが、「取り付け料」として高額な代金を請求してトラブルになるケースも多いと解説してくれた。

妊婦という立場をよいことに人の好意を利用し、お金をだまし取る

Bさんは、道で突然、見知らぬ女性に声をかけられた。女性は妊娠していて上の階に住んでいると言った。さらに続けて、「祖父が入院して、病院に行かなければならないが、こんな体で銀行に行けない」、「すまないが5,000円貸してくれ」と言うのだ。Bさんはこの話を信じ、女性にお金を渡した。その上Bさんは親切に、自分の車で彼女を病院まで送ってあげた。しかし、その夜、家族にこの話をすると上の階にそんな女性は住んでいないという。しかもBさんだけでなく、若者を中心に近所で、同様の被害が多数あったということが判明した。
水口結貴さんは、このケースについて「都会では、隣近所にどのような人が住んでいるかわからない」ことで成り立つ「都会的な詐欺」と指摘する。
また「少額を少しの間だけ借りる」という事で、典型的な「寸借詐欺」であること、「1回に騙す金額が少額なため、多くの人数に詐欺を行なっている可能性が高く、余罪が多い場合がある」と説明してくれた。そのため、「独りが声をあげても仕方が無いので、被害者皆で警察へ届出をしていかないとならない」ということだ。

信頼関係を利用して、騙す。その宅妙な手口とは
二人の通帳まで作った、結婚詐欺

Cさんは、以前、結婚を決めていた相手とドライブ中交通事故にあった。相手は無事だったが、Cさんは全身打撲の重傷を負い、長期入院することに。しかし、相手はCさんの見舞いにもこず、浮気までしていたという。結局、これが原因となり、結婚は破談となった。ただ、相手の保険から200万円がりたことが救いだったそうだ。Cさんは1ヶ月後に退院。
寂しさに耐え切れず、Cさんは出会い系サイトにはまるようになった。
そして、ある男性と会い、付き合うように。そして、ある日彼から「二人のために口座を作った」、「この口座にお金に貯めていこう」と、100万円が入った預金通帳を渡され、Cさんは彼をすっかり信用してしまった。通帳はCさんが、キャッシュカードは彼が持つことになった。
ところがある日、自宅に「Cに伝えておけ、保険金の200万円は俺のものだ。返さないと、ただじゃおかない」と不審な男からの電話がある。Cさんはこの電話にすっかり怯えてしまった。その上、たまたま会社が休みの日、彼がCさんの自宅を訪ねたところ、不審な男が自宅の周辺をうろうろしていたと言う。
ついに、Cさんはこれまでの事情を彼に打ち明けた。彼は「何か家から持ち出されているかもしれない」、「お金が引き出されているかもしれない」等と言い、Cさんを連れて銀行へ。お金は引き出されていなかったが、彼は「このまま置いておくと危険」等と言い、全額を「二人用の」口座へと移させた。
その後、彼の携帯電話は通じなくなり、合鍵をもらった部屋はもぬけの殻。そして「二人用に」とお金をためていた口座からは、お金が全額引き出されていた。「最初から、騙すためだけに会っていたのかと思うと、悔しくで仕方がない」とCさんは話す。
刑事になりすまして安心させ、130万円のカード詐欺を…

Dさんは、ある日夫から次のような話を聞く。駐車違反をとがめられた警察官から、駐車違反を見逃す代わりに、カード犯罪撲滅のため実態を知りたいので「ローンのカードを作って欲しい」と頼まれる。「お金を借りるのではなく、カードを作るだけ」と言われ、言われるがままにローンカードを8社(8枚)作った。「カードは破棄するから」と、自称刑事はDさんの目の前でカードにハサミを入れた。切ったカードは「個人情報だから警察で破棄する」と自称刑事が持ち帰った。翌日、Dさんは各カード会社に契約解除の電話をしたところ、各社とも「解除と言われても、お金を全額返金してもらってからでないと…」との回答。
そして、作ったカード8社、全てからお金を借りられていた。総額130万円。警察に行ったDさんは、自称刑事の名前を言って確認したところ「そんな刑事はいない」と判明。しかたなく、Dさんは夫婦で借金を返すことになった。カードは切った後にでもスキミング等で情報を読み取ったのかもしれないし、横に切るのではなく、縦に切っていたので使用できた可能性があると、行政書士・水口結貴さんは解説する。
「他人ごと」ではなく、詐欺の罠は日常の中に潜んでいる。どんな小さなことでも不審な事があれば、すぐに法律専門家に相談するのが良い。

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フジテレビ 「こたえてちょーだい!」2007年1月10日

私、ダマされちゃいました(詐欺)

「詐欺」は決して人ごとではない。平穏な生活を脅かす、詐欺被害が急増している。
平成17年度の詐欺犯罪の検挙人数は1万1648人。10年前より3000人も増加しており、毎年増加の一途をたどっている。

悪質商法の被害者に聞いた! 驚きの詐欺の手口
引越をねらって、植木を売りつける

Aさんは、現在の住居に引っ越してきた当日、突然「隣の住人」を名乗る老婆の訪問を受けた。
Aさんはこの言葉を信じて、老婆を家に上げる。

近所の様子等を親切に教えてくれる老婆を「いろいろ様子が聞けて助かるかも…」と思ったという。
話の途中で老婆は突然、鉢植の植木を取り出し「この木に実がなると幸せになる、不思議な木」と説明した。さらに「引越をしてきた人に、この木を譲って幸せのおすそわけをしている」と続ける。

Aさんが、そんな大切なものを無料でいただけないと言うと、老婆は「では、気持ちだけ頂く」と言い、なんと「1万円」と言った。Aさんは、高いと思ったものの、自分だけ払わず「ケチ」と思われたら嫌だな…と思い、言われるままにお金を払った。帰ってきた夫に、この件を咎められたAさんは隣の家に向かうと、そこには「空室」の張り紙が。反対隣には、老婆が口にした名前とは違う表札。Aさんは、マンションの他の階や近所を探したが、あの老婆は見つからなった。さらに、後日、ホームセンターで1万円で購入した植木と同じ物が数百円で売られており、店員に確認しても特に謂れ等は無いという。

悪徳商法問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士は、「訪問販売の一種と考えれば、本来は契約書を発行しなければならず、クーリングオフも8日間は可能」と言う。しかし、「このように相手の居所も不明だと、解約も難しい」と指摘した。さらに「詐欺にあたるかどうかは別としても、訪問販売は虚偽(嘘)を言ってはならないと規定されている」ので、このケースの場合、そもそも老婆が「隣の住人」と嘘を言っていることは問題と指摘する。

主婦を狙った、折込求人広告にも悪質業者が

Bさんは、夫と共働き。数年前に家を新築し、必死でローンを返済していた。しかし、突然、姑が脳梗塞で倒れ、自宅介護のため仕事を辞めざるをえなくなる。共働きでギリギリだった家計はあっと言う間に苦しい状況に。そんな時、Bさんは「家でできる仕事」・「安定した収入」等と書かれた新聞の折込チラシを見つける。夫に相談すると赦してくれたため、Bさんはこの仕事(在宅校正)に応募することに。1週間後には、業者から在宅ワークの資料が届き、中には「トライアル」用の校正物が。これならできると思ったそうだ。しかし、同封の手紙には、「正式登録の前に『信任登録料』として4万円いただきます」の文面。Bさんは、最初にお金を払うことに抵抗を感じたものの、このお金を払えば「必ず仕事がもらえる」、「内職をするためには登録をしなければいけないのか」と思い、払ってしまった。そして、1週間後、業者から書類が届くとそこには「不合格」の文字。Bさんがトライアルの仕事と思っていたものが試験だったのだ。
さらに別の書類には「あなたは推薦されました!」とあり、「試験の結果が僅差のため、再度、登録料を払えば合格できる」と記載されていた。仕事がしたかったBさんは、再び4万円を支払った。さらに1週間後、業者から手紙がBさんに届くが、そこにはまたも「不合格」の文字。Bさんは、途方にくれてしまう。しかし、どんな業者が分からず恐怖心もあったため、業者に問い合わせることはできなかった。

エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士は「典型的な内職商法」と指摘する。
宛名書き、データ入力、ホームページ作成等、種類は色々あるが、クーリングオフ期間は20日間と長めのため、不審な点があればその間にクーリングオフをすれば問題無いと教えてくれた。さらに「仕事をする時に、最初にお金を要求する所は気をつける必要がある。99%はインチキと思った方が」と注意点を教えてくれた。

「美しくなりたくい」女性の願望につけ込む、悪質エステ

Cさんは、太り気味を気にしていたのと、痩せて恋人を作りたいという願いがあった。そんなある日、路上で見た目の良い男性から声をかけられ、応じた。男は「ここでは書きにくいので…」とCさんを喫茶店へ連れて行く。喫茶店には、女が待っていて、男性はすぐに外へ。

世間話の後、女は「エステでやせた」とCさんに告げ、「Cさんもエステに通えばきれいになれる」等と説明を続けた。さらに自分は今、そのエステ店で働いていることやパンフレットを見せ、「最新式の脂肪を燃やす機械」があり、「日本で置いているのはうちだけ」と言う。そして「一度、お店に来てみない?」とCさんをエステに誘った。料金を気にするCさんに「今ならキャンペーン中で、入会金は無料」と女は続けた。しかもキャンペーンは今日まで、と話し、迷うCさんを「絶対にきれいになるから」等と勧誘を続けた。Cさんは、その女が綺麗だったため「こうなれるなら…」と言われるがままに、エステの予約を入れてしまう。そして、Cさんは、1週間後エステの体験のため店舗を訪れた。

そしてCさんは「脂肪を燃焼させる効果がある」との機械で施術を受けた。施術中も店員の女は「これでセルライトが消えていく」、「くびれが復活する」等と効果を言う。体験は30分程で終了。その後、別室で店員の女はCさんに「あなただけに特別」と言い、施術で使った機械を家庭用に改良したという機械の購入を勧めてきた。価格はなんと50万円。「分割にすれば、月々たったの1万円」と店員はあたかも安い物であるかように勧誘を続けた。高額なためCさんが購入をためらうと店員は「この機械で絶対に美しくなるから」などと効果を言い続け、Cさんは「月に1万円なら…」と購入を決心。その場で契約書も書いてしまった。

その帰り道、Cさんは自分に路上で声をかけてきた男が、同じように「アンケート」と称して、別の女性に声をかけている場面を目撃。それによってCさんは、「ああ、そうやって色々な人にエステの機械を買わせているんだ!」と気づいたのだ。早速、Cさんはエステ業者の店舗に戻り解約を申し出るが、店員は「できない」と言う。Cさんが「クーリングオフできるはず」と言っても「一度、契約したものは取り消せない」の一点張り。Cさんは「解約したい」と1時間に渡り食い下がって、ようやく解約できたと言う。

「女性なら、誰でも綺麗になりたいと思っているのに、そのコンプレックスを利用して騙すなんてひどい」とCさんは続けた。
水口結貴行政書士は、「詐欺というより、キャッチセールス、アポイントメントセールスに近い」と言う。「キャッチセールスであれば、もちろんクーリングオフができるが、そもそも、販売目的を告げていないことが問題」と指摘する。クーリングオフは全ての商品が対象ではなく、販売方法によってクーリングオフが可能な物、不可能な物に分かれている。キャッチセールスやCさんのような件は多いと教えてくれた。

後を絶たない振り込め詐欺の被害。その最新手口とは

振り込め先の最新手口として「地デジ詐欺」が急増している。2011年7月に地上デジタル放送へ移行することに便乗している。機械に対する知識が弱い高齢者をねらった新たな手口だ。「総務省」を騙り、高齢者宅へ「デジタル放送接続料金請求書」と題した文書を送り、デジタル放送移行に伴ってお金が必要と、数万円を請求する。また、文書だけでなく、電話もかけ「このままにしておくと、数年後にテレビが見られなくなる」、「すべての世帯に地上波デジタル放送を送るための設備に膨大な費用がかかるため、皆様に負担していただいている」等と言って、お金を振り込ませる。

このように、その時々の時勢を取り込みながら、新しい詐欺の手口を生み出していくのが詐欺師だ。
「他人ごと」ではなく、詐欺の罠は日常の中に潜んでいる。どんな小さなことでも不審な事があれば、すぐに法律専門家に相談するのが良い。

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日本テレビ 「スッキリ!!」2007年1月15日

キャッチセールスを繰り返していた業者に、
都が業務停止命令

普段若い女性を狙って、路上で声をかけ化粧品のキャッチセールスを行なっていた会社に、東京都から業務停止命令が出された。その悪質な手口に迫る。

街頭で、「キャッチセールスに声をかけられたことがあるか?」と聞いてみた。
すると、若い女性だとキャッチセールスに声をかけられた人はとても多かった。いずれも「強引だった」と言う。キャッチセールスから離れようとしても、行かせてくれない、と女性は言った。
別の女性は「ネイルの練習をしているから、やらせてください」と声をかけられ、ついていったら、「美顔器や化粧品があるから見ていって」と言われ、次々に高額商品が出てきて、美顔器や化粧品の販売をされてしまったという。
また、別の女性は「エステの体験ができる」というので、行ったところ「モニターになってくれ」と説明され、高額商品を紹介された。このように、若い女性を狙って高額な商品を販売する悪質商法が増えている。

そんな中、東京都は渋谷区の2つの会社に3ヶ月の業務停止命令を出した。
業務停止命令を受けたのは「dolls」と「B`s group」の2社。この2社は、一昨年まで同じ会社だった。業務内容は化粧品の販売やネイルサロンの経営など。
しかし実態は、街頭などで女性に声をかけ、30万円以上する化粧品を販売していた。
被害者の平均年齢は19.8歳、2006年1月から9ヶ月間で約300人の女性が被害にあった。
悪質な、その手口とは…。

不安を煽り、高額商品を買わせる。悪質業者の巧みなトーク

都の発表に基づいて、業者の勧誘シーンを再現してみた。
渋谷駅周辺で、主に10代後半の女性に声をかけ「無料でネイルをやらない?」と誘う。甘い誘い文句に釣られてついていき店舗へ行くと、待っていた女性店員から「ネイルの前のアンケートに答えてください」と言われ、アンケートの一環として肌状態を診断される。
そして「ニキビ・くすみがひどくて40歳くらいの肌だ」、「皮膚にカビが生えるかも」などと不安を煽るような診断結果を言われて、動揺させる。さらに「使っている化粧品が原因」などと言われる。
さらに、「将来、化粧品販売会社を設立するため」、「今、モニターを募集している」と切り出す。

モニター期間は2年間。「1ヶ月、10,000円」の費用で化粧品を使うことができて、「期間中は1回100円で何回でもフェイシャル、ネイル、脱毛のサービスを受けることができる」というもの。
「今、肌に投資しないと肌荒れがひどくなって、皮膚病になるかもしれない」等と、女性心理を巧みについた悪質な勧誘手口と、支払は「モニターになるための会費」であるかのような説明をして、モニターになる決断を迫る。

「化粧品モニターの会費」は嘘。実は貸金業者への返済だった

数日後、再び店舗を訪れると、契約総額が30万円を超える高額なものである事を初めて知らされる。
さらに、すでに決められている支払方法を知らされるのだ。それは「月々10,000円で、払えなければ5,000円でもいい」というもの。申込書に記入すると店舗職員が、どこかへ電話をかけ、途中で電話を変わるように指示される。電話を代わると、相手は何と「貸金業者」だった。そして、貸金業者は「月に1万円の47回払いです。大丈夫ですよね?」と聞いてくる。
モニターの会費と思っていた「月に1万円」の支払は、実は貸金業者への借金返済額だったのだ。30万円以上の化粧品を買わされたうえ、分割払の金利分まで支払うことに…。
その後、悪質なセールスと気づいて解約を申し出ても、「店に来ないと解約できない」とあしらわれてしまう。

勧誘方法に問題があると知りながら、2つの業者と提携していた貸金業者には、東京都消費者常例に基づく、是正勧告が出された。何と、この貸金業者の貸付金の8割が2つの業者と関連していた。
このように、悪質なセールスを手助けする貸金業者がここ数年で増えているという。その理由の1つに、貸し付ける「目的」を従来型の「フリー」だけでなく、一定の物品を販売する業者と提携した方が貸出額が伸びるから、という。こうした元は信販会社やクレジット会社がやっていた分野にも、貸金業者が進出してきていて、悪質業者との結びつきが指摘されている。

消費者問題の専門家・水口結貴行政書士に対策を聞いた

悪質なセールスの被害者にならないためには、どうすればいいのか?
悪質商法の専門家、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士によれば、「一度、だまされてしまうと同じような手口にひっかかる人が多い」という。
その上で、下記をアドバイスしてくれた。
1)納得がいかない契約には、はっきり「ノー」と言って断る。
2)その場から立ち去る・帰る

また「何より、独りで悩まないことが大事」とアドバイスをしてくれたほか、消費者センターのような国の機関や法律専門家へ相談するなど、泣き寝入りしないことが1番大事だ、と教えてくれた。

街で若い女性の声を聞いてみると、キャッチセールスについて行ってしまう人は、やはり肌に何かしらのトラブルを抱えていた。そういう意味で「人の弱みに付け込む」ビジネスである、とも言えるだろう。
今回のケースは、様々な点で「特定商取引法」に違反している。得に10代なら、まだ自分一人で契約といった大事な判断をすることは難しいだろう。一人で、その場で決めてしまわず一度持ち帰って、家族や信頼できる大人に相談する、ということもしてほしい。

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NHK 「10min.BOX」2007年2月20日

若者を狙った悪質商法が横行している
専門家に対策を聞いた

「消費者の権利」、「消費者教育」というテーマで、悪質商法の被害にあいやすい若者に注意点等を専門家に解説してもらった。

「契約」という言葉から、どんな事を思い浮かべますか?
契約書を作る、そこにサインや印鑑を押す…。一般的にはそんなイメージだ。しかし「契約」はそれだけではない。法律上は、品物を買うことも「契約」、言葉で約束するだけでも「契約」とみなされる。契約について正しい知識を持ち、消費者の権利について考えてみる。
お互いが納得の上で交わした契約であれば、その契約を一方的に取り消すことはできません。しかし騙されたり、強制されたりして納得いかないまま契約をした場合もあります。そんな時、どうすればいいのか、悪質商法の専門家・エクステージ総合法務事務所・代表行政書士の水口結貴さんに聞いた。

なぜ「悪徳商法」なのか? 悪徳商法の専門家が特徴を解説

水口結貴さんによれば、本来、契約というものは自分の意志で自分から店や商品に近づいていくのに対し、悪質商法は「売る側から一方的に近づいてくる」のが特徴の1つだ、ということだった。次に、悪質商法の特徴として、「だましたり強制したりして契約させること」をあげてくれた。これは、「帰りたい」と言っているのに帰さなかったり、「不要だ」と言っているのに、何時間も密室でしつこく勧誘して、契約書を書くまで帰さなかったりということ、と教えてくれた。
また、最近では10代・20代の若者をねらった悪質商法も増えている。被害者に話を聞くことができた。

女性の好意を利用した悪質商法。その実態

Aさんは、2年前インターネットを通じて「ジュエリーデザイナー」を名乗る男性と知り合った。その男性からデートに誘われ、デートの後、男性が仕事で使っているという事務所に連れていかれた。男性は「自分がデザインした」というアクセサリーを持ち出し、「あと1つ売れれば、売上がNO1になるから協力してほしい」とAさんに購入を迫ってきた。この男性に好意を持ち始めていたAさんは、最初断っていてものの、結局80万円のネックレスを買う契約をしてしまった。しかし1ヶ月経ってもネックレスは届かず、男性との連絡も取れなくなってしまった。これは「デート商法」と呼ばれる手口で若い女性の被害が後を絶たない。

そのほか街頭で人に声をかけ、商品やサービスを売る「キャッチセールス」にも注意したい。中には、嘘をついたり無理やり商品を購入させるなどの強引な方法が問題になっている。
街頭で声をかけられ、断っているにも関わらず腕をつかまれ無理やりビルの中に連れ込まれた、という女性や、歩いていた所に「サンプルをあげるから」と言われて、ついていったところ、担当者が現れ、長時間に渡り化粧品の勧誘を受けた上、「いらない」と言うと相手が怒り出して不快な思いをしたという。
国民生活センターによれば、2005年度のキャッチセールスに関するトラブルは6,898件にものぼる。そのうち80%を10代・20代の若者が占めている。

突然、身に覚えの無い電話。そこに悪質商法の罠が

Bさんは独り暮らしを始めたばかりの時、ある電話を受けた。第一声は「当選おめでとうざいます」。商品が当たったので取りにきて欲しいと言われた。Bさんは心あたりが無かったものの、無料でもらえるなら…と指定された場所に行ったところ、当たったという商品の話はなく「3万円払えば、もっといい化粧品が手に入る」と言われ、商品を買わされてしまった。これは「アポイントメントセールス」という手口。狙われるのは独り暮らしの若者が多く、卒業生名簿等を悪用している場合もあるとみられます。

販売目的を隠して、独り暮らしの部屋にあがりこむ悪質業者

独り暮らしのCさんは、ある日「布団の無料点検」という訪問を受けた。男は部屋に上がり込み、Cさんの布団を調べ始めた。そして「この布団はダメです」「ぐっすり眠れないですよ」等と言い、新しい布団を売りつけてきた。訪問販売では、必要無い物を強引に売りつける場合があり若者の被害も少なくない。
「訪問販売では、自宅を知られているため「仕返しをされるのではないか」と、怖くなって契約をしてしまう場合が多い」と水口結貴行政書士は指摘する。
この他、架空のもうけ話を持ちかけ、高額な商品を買わせる「マルチ商法」等、悪質商法の手口は様々だ。
納得できない契約をしたときの強い味方  「クーリングオフ」

もしも納得できない契約をしてしまった場合、その契約がまず、クーリングオフができる契約かどうか確認すること。クーリングオフができる場合は、必ず法律で決められた期間内に手続を行うこと。もしもクーリングオフができない場合でも、業者の対応や契約書の内容に不備があれば、消費者契約法等で解約できる場合もある。諦めずに、早めに法律専門家に相談することが大切だ。
クーリングオフは、必ずハガキ等の書面で行い、簡易書留か配達記録郵便等、記録が残る手段で送る。くれぐれも、電話等で簡単に済ませようとはしないことも重要。口頭のやりとりでは、後々「言った・言わない」の議論が出ても証拠が残らず、消費者が不利になってしまうからだ。
契約を交わす前によく考えること。
そして、被害にあった場合は法律専門家に相談すること。この2つを徹底したい。