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日本テレビ 「情報ツウ」2004年12月21日

男性には対応せず、女性には「裁判」を連呼する
新たな架空請求の手口とは

番組スタッフに、全く身に覚えの無い請求ハガキが届いた。そこには「電子通信料金の未納分がある」ので連絡するようにとあった。送り主は「日本債権管財教会」なる所で、連絡をしなければ、裁判になると書かれている。記載されている番号に電話をかけてみると、まず「IPコード」を読むように言われる。ここでスタッフがテレビ局名を名乗ると相手は電話を突然切った。そこで、別の男性スタッフがテレビ局名を名乗らずに電話をしてみると、またもや突然、電話は切られた。
そこで、さらに別の女性スタッフが電話をすると、今度は突然切ることは無く、やはり名前と分類コードを確認してくる業者。そして、「未納料金は2,800円で、すでに裁判になっている」と言う。何の料金かと訪ねても、「だいぶ前のものなので」とごまかし、続けて「もう裁判受理されていると思う」と「裁判」を強調する。そして裁判を撤回したいなら、今日の15時までに撤回費用を払えと言う。その金額68万円。これを弁護士に直接振り込めと続けた。さらに弁護士の名前を「ヒラツカツヨシ」と言う業者。撤回しなければどうなるのか?と尋ねるスタッフに、「出廷して裁きを受けることになる」と業者は言った。さらに、「裁判前だからこの金額で済んでいる」、「裁判が始まれば、もっと大きな金額が当然かかる」と不安を煽る発言を繰り返す。そして、スタッフが会社名を聞くと、ハガキに書かれている団体名とは違う名称を名乗った上、スタッフがその違いを指摘すると「裁判によって課が違う」等と説明した。

弁護士をかたって、不安を煽る発言を繰り返す悪質業者
最近では、集団での犯行が増えている

スタッフは、一度電話を切り、振込期限と業者が言った15時前に再度、電話をした。
スタッフが「不明点が多いので、お金は支払わない」、「不明点が多いのに、いきなり68万円を振り込めと言われても」と言うと、「振り込めなんて言ってないでしょ」と逆キレする業者。続けて、スタッフが「架空請求なんでしょ?」と問い詰めると、いきなり電話を切った。
その後、なんと「弁護士のヒラツカ」と名乗る男から、スタッフへ電話がかかってきた。しかし、この名前の弁護士は弁護士協会の名簿には載っていない。自称弁護士は「裁判が始まれば、あなたの立場が悪くなる」、「裁判の撤回をしなくていいのか?という確認の電話」だと言う。スタッフが「15時までに振り込むはずではなかったのか?」と尋ねると、自称弁護士は「そう、間に合う」と言う。続けて「時間外でも振り込んでもらい、明細書を法律事務所に送ってくれ」、「それで辞任する」と続けた。スタッフが、弁護士事務所名等を確認すると、はぐらかす自称弁護士。
架空請求は、以前は一人で行われることが多かったが、最近では集団での犯行が増えている。自称弁護士との電話を切った後、その前に話した業者から電話がかかってきた。
スタッフが「架空請求が増えているので、慎重になる」と言うと、「内入れ金でもいい」と請求額を50万円に下げ、執拗に請求してくる。さらに、第3の人物からも電話が。
「一部入金の件はどうするのか? 裁判取り下げる気があるなら…」と聞いてくる。スタッフは、「お金は支払いません」ときっぱり断ると、「弁護士の費用だが」と話が変わり「自分(業者)が30万円、ヒラツカ先生(自称弁護士)が50万円で決定した」、この金額を1週間以内に支払えと言う。何のお金か?とスタッフが尋ねると、自分達が動いた分と言う。最後には「司法で戦いましょう。家族、親戚に全て出す」と捨てセリフで電話を切った。

悪質な架空請求について、専門家に聞いた

悪質商法・消費者問題の専門家、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士水口結貴さんに、悪質な架空請求について聞いた。このケースは、典型的な架空請求のケースであり、女性にきつく対応するのも、警戒心の無い人・信じてくれそうな人ばかりをターゲットにしているからだ、と教えてくれた。実際に、架空請求ハガキを受け取った人に聞いてみると、ハガキも段々、使う名称が有名弁護士や団体名を真似したものになったり、「督促状」等の赤い文字が大きくなっていくという。

自称警察官も登場
悪質架空請求詐欺の最新手口とは

警察庁によれば、2004年1月~2004年11月までの振り込め詐欺の被害は、222億円に昇る。架空請求・振り込め詐欺の手口は、ますます巧妙化している。
世間を騒がせている「オレオレ詐欺」。最近は、6人から詐欺の電話がかかってきたケースもある。例えば、息子を装った男から「大変なことをしてしまった…」と電話があった後、警察官を名乗る男から「息子さんが6歳の女の子をはねた」との電話があった。この電話を信じた57歳の女性は、保釈金として300万円を振り込んでしまった。さらに、女性の元に弁護士を名乗る男から電話があり「600万円で示談が成立したので、そのうち200万円を振り込んでください」と言われ、その後も保険会社や司法書士を名乗る人物から電話があり、合計で500万円近いお金を支払ったのだ。
スタッフは資料を集め、様々な架空請求業者に電話をかけた。架空請求ではないのか?と問うスタッフに「法務省の認定を受けている」と言う業者。中には、呼び出して実際に会って請求する業者も。
架空請求・振り込め詐欺に関しては、何よりも無視することが1番と水口結貴さんは説明する。そして、電話で個人情報等をしつこく聞かれた場合でも、不用意に個人情報を与えると、さらに電話がどんどんかかってくるなどの被害を呼んでしまうので、絶対に個人情報は教えないことを徹底するように、とアドバイスしてくれた。

ごく稀に、裁判上の支払督促・少額訴訟で請求がくる場合も
実際の裁判手続は無視しないで、すぐに法律家へ相談を

しかし、「ごく稀に、支払督促・少額訴訟といった、実際に存在する裁判手続を悪用して請求をしてくるケースがある。この場合は、異議申立をする等、対処をしなければならない」、「放置しておくと本人に不利益になってしまう」と、水口結貴さんは、新たな架空請求手口への注意点を教えてくれた。
さらに、架空請求と本物の裁判所からの書類の見分け方について、「裁判所からの書類がハガキで来ることは無い」、「『特別送達』という封書でくるので、わかると思うが、不安な場合は実物を持って警察や法律専門家、消費者センター等へ相談をすると良い」、「もし電話をする場合は、ハガキに書いている番号ではなく、必ず自分の住んでいる地域の裁判所等の番号を自分できちんと確認してから、連絡をするように」「たとえ、裁判所からの書類であったとしても、その日のうちに振り込めなどということはあり得ない」とアドバイスしてくれた。

また、特に狙われやすい人として
○以前に悪徳商法等の被害を受けたことがある人
このような人達の名簿「カモリスト」と呼ばれ悪質業者間に出回っている。
○結婚している男性
体裁・立場を気にして「アダルト料金の請求」・「出会い系サイトの請求」等と言われると人に相談しにくく、払ってしまう。
○20代~30代の女性
比較的使えるお金があること、女性の方が真面目にお金を払う傾向があるようだ。

もし架空請求などで対応に迷ったり、不安な場合はできるだけ早く、法律専門家に相談をするようにしたい。

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月刊誌「いきいき」掲載 2004年2月10日 発売

詐欺でも脅迫でもない。
悪徳商法、その手口に要注意

昨今、話題になっている「オレオレ詐欺」。その手口や被害は広く知られるようになってきました。一方で、明確に「犯罪」とは言えないものが多く、被害が見えにくいのが「悪徳商法」です。健康をエサにするものや内職あっせん、資格取得などその手口はより巧妙になっています。被害にあってからでは、対応は難しいものです。
そこで、悪徳商法の相談を数多く受けている、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴先生に具体的な対処法や悪質業者の手口などを教えていただきました。
50代が気を付けるべき悪質商法
男性は、投資・資格商法。女性は内職商法
50代の悪質商法被害は件数はそれほど多くないものの、収入が多い世代だけに被害金額が大きくなる傾向が見られます。代表的な被害例は、男性では投資や資格商法があります。資格商法では、業者や電気主任技術者などの人気の資格をエサに内容が伴わない高額な教材を売りつけます。
また、以前に資格取得講座を申し込んだ人に「資格取得まで継続する契約になっている」と嘘をついて「未払の受講料がある」や「○○万円払えば、名簿から名前を消すことができる」などの名目で請求をする手口も増えてきました。女性を狙ったものでは「内職商法」に気を付けましょう。「月に3万~5万円、人によっては10万円くらい稼いでいます」と、いかにも現実的に稼げそうな金額を提示するのがポイントです。仕事をあっせんするための登録料や研修費、教材費などの名目で数十万円を請求されます。
そのほか、50代に特徴的なものでは、床下や布団の無料点検に来たと自宅を訪問して商品を売る「点検商法」、催眠(SF)商法があります。自宅に突然、本やカニなどの物品が送りつける「ネガティブ・オプション」(送り付け商法)の被害も50代に多いのです。
一見、親切そうなふるまいの影に悪徳商法のワナがある

催眠商法や悪質な訪問販売など、以前から問題視されている被害も減ってはいません。これらの契約の場合、高齢者が狙われることが多いのです。また特徴の1つとして、業者が「親切さ」を強調することがよく見られます。
例えば、催眠商法でよく知られているのは、お客さんを一か所に集めて短時間で商品をどんどん売るやり方ではないでしょうか。最初は、日用品などを無料(もしくはただ同然の値段をつけて)「はい、欲しい人は手をあげて」と、会場が興奮状態になるように誘導します。
そうしておいて、最後の方で「今日は特別に半額!」などと、高額商品を登場させます。
集客力を上げるために、街頭で「この券を持っていけば、無料で記念品がもらえます」などと、チケットを配るなど「ちょっとお得」な話で誘うことが特徴です。
解約は一刻も早く。クーリングオフ期間を過ぎていても、望みはある

クーリングオフは、消費者から一方的に売買契約を解除することができる制度です。クーリングオフをするときは、必ず証拠が残る内容証明郵便で手続をしましょう。電話では、のらりくらりとかわされてしまったり、再説得されてしまう可能性があり、トラブルの元になってしまいます。
解約をすると業者に仕返しをされるのではないか?と不安になる方もいますが、その心配は殆どありません。それどころか、ローンが終わったころに別な商品を売りつける「次々商法」の被害にあうこともありますから、毅然と断ることが大切です。
クーリングオフ対象外の契約であったり、クーリングオフ期間を過ぎた契約であっても、解約が全くできないわけではありません。例えば、契約書類に不備があったり、販売目的を隠していたり、業者が契約について重大な嘘を言っていたり、脅迫的に購入を迫っていたり、などの理由があれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づいて、解約や返金を求めることも可能です。
たとえ、悪質商法業者と契約をしてしまった場合でもあきらめず、専門家に相談をしてください。

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日本テレビ「ザ・ワイド」2003年9月5日

内職商法特集
主婦の間で高まる「パソコン」人気
その心理につけこむ、悪質内職商法が急増

主婦に「どんな習い事をしたいですか?」というアンケートを取ったところ、人気急上昇中なのが「パソコン」だ。そして、この「パソコンを習いたい」という主婦の心理に付け込んだ悪質商法が急増している。その実態とは?

不況の時代を反映してか、今、自宅で空いた時間を使って内職をしたがる主婦が増えている。
街で主婦に「内職」したがる理由を聞いた。
「少しでも、足しになれば嬉しいですよね」
「それは、ありがたいです」
「子どもがいると、なかなか外で働くのは…」
そんな主婦たちの気持ちを利用しているのが「内職商法」だ。
国民生活センターによれば、この10年間で被害は約10倍に増え、中でも「パソコンを使った内職商法」の被害が多い、という。数十万円の教材をローンを組んで買っても仕事は来ず、結局ローンだけが残るということだった。「内職商法」の被害者に話を聞くことができた。

「ローンの支払をしても、手元に3万5千円がのこりますよ」
それならいいか、と思ってしまって…
被害者(守屋さん:仮名)は、業者から電話がかかってきて、勧誘された。子どもが小さく、外へ働きに行けなかったことや当時は高い家賃の負担もあって「何か私にできることがあれば…」と話を聞いた、という。
業者は「資格を取ってもらって、仕事を紹介するシステムです」と言った。「子どもが生まれたばかりで…」と断りかけると、業者は続けて「家で簡単にできるんですよ」、「パソコンが1台あれば、仕事以外でも便利ですよ」と契約を迫るが、守屋さんは「考えさせてください」と電話を切った。

そして3日後。再び業者から電話があり一方的に「パソコンと教材を送りますから」と言われた。そして「試験に受かれば、いくらでも仕事が入ってきますから」「反論する守屋さんに業者は続けて「もう、会員番号を出ているので、辞められない」と言われた。

気になる収入については、「パソコンを使って3か月位、勉強すれば5万円程度の収入になる」と言われたそうだ。業者に押し切られる形で契約してしまった守屋さん。契約総額は、5年間のローンで90万円を超えた。契約の決め手について、守屋さんは「5万円の収入があれば、ローンの1万5千円を引いても、まだ3万5千円が手元に残る」。「それなら、いいか」と思って、と答えた。

えッ? これで90万円?
驚きの教材内容と「仕事なんて無い」現実

守屋さんが買った教材をパソコン雑誌の編集長に見てもらうと、帰ってきた答えは「法外ですね」というものだった。しかも、教材内容についても「かなり雑に作っている」との評価だった。
それでも何とか、教材を見ながら勉強して、仕事をもらえる前提の「検定試験」を受けた守屋さん。しかし、それはとても30分でできるような物ではなく、レベルが高く難しいものだった、と言う。
その後も、何度か業者に電話をして仕事をもらえるように相談したが、業者は「もう少しがんばってください」や「皆さん合格して、仕事をもらっていますよ」といったものばかり。結局、2回目の試験も不合格に終わり、守屋さんは仕事をもらう事を諦めてしましった。

仕事がもらえなかったのは、能力の問題?
専門家に試験問題を見てもらった

パソコンスクールの講師によれば、教材内容を全部取得するには1年程度かかる、という。また試験問題も見てもらうと「寮が多いので、30分では難しい」という意見だった。ある調査によれば、主婦の2人に一人が内職の勧誘電話を受けていた。

「全額が戻ります」。甘い言葉に隠されたワナ

別の例を紹介しよう。
杉山さんの所に業者から、勧誘電話がかかってきたのは去年のことだった。業者は「先日、ダイレクトメールを送って、皆さんから契約のお返事をもらっている。あなたから返事が無かったので、電話した」という。
仕事の内容は、旅行代理店と契約をして旅行のスケジュールなどをパソコンを使って入力する、というものだった。業者が提示してきた金額が、普通のアルバイトよりも高額だったことや「仕事が無いことはあり得ない」と言った業者の説明を信じてしまった。
しかし、仕事をするには「一般旅行業務主任者」という国家資格を取らないといけない。そして、その教材費用が50万円かかる、という話だった。
業者は続けて「でも、このお金は将来、必ず戻ってきますから」と言った。どういうことかと言うと、試験合格時に「50万円の支援が受けられる」。だから「私の負担は一切なく、受けられます」と言われた、ということだ。
この「50万円が戻ってくる」というカラクリはこうだ。
1.業者が教材を50万円で販売する
2.購入者が「A協会」の会員になれば、費用は全額戻ってくる
3.「A協会」は、購入者の学習をサポートするだけでなく、最初に旅行会社に購入者をあっせんする。
4.旅行会社が、購入者に50万円を払ってくれる。

「一般旅行業務取扱主任者」とは、国家資格だ。しかし、旅行会社に話を聞いてみると「自宅で旅行業の仕事をするのに、役立つは思えない」と言う。
さらに複数の旅行会社に、杉山さんが契約した会社名や奨学金(制度)の事を尋ねたが、知っている所は皆無だった。
杉山さんは国家資格取得を目指し猛勉強していたが、サポートしてくれるはずのA協会からは何度か模擬問題が送られてきただけ。しかも、3月を最後に返事すらこなくなった。杉山さんは、「主婦や学生みたいな、お金が無い人をだますなんで許せない」ということ、そして「二度と、ひっかかりたくない」と言っていた。
悪徳商法被害救済の専門家 エクステージ総合法務事務所
代表行政書士 水口結貴先生に話を聞いた

法律の専門家、行政書士の所にも、様々な相談が寄せられている。中でも最近多いのが、こんなケースだという。ある業者と契約をしたもの、思うような収益を得られないということで、「今度こそ、こちらの業者だったら」との思いから、4社、5社と被害を受ける人もいる、ということだ。
また「なぜ、複数の悪質業者と契約をしてしまうのか?」と聞いたところ、エクステージ総合法務事務所 代表行政書士水口結貴先生は、「切実に収入が厳しいので、何とか“損をした分を取り戻したい”という気持ちが働いてしまうようだ」と教えてくれた。

被害者名簿が出回り、何度も被害を受けてしまう

また、水口結貴先生はこんなケースも教えてくれた。一度、悪質業者に騙されると、その被害者名簿が業者間に流出して(出回って)しまう、と言う。
例えば、ある日電話がかかってきて、今使っている教材(内職商法で購入したもの)の進み具合などを聞いてくる。そこで「もう使っていないし、辞めたい」と言うと「辞めるにはお金がかかりますよ。残りの教材を買い取ってもらえれば、辞められます」、「では、また教材を送りますから」などと言い、さらに新しい契約を結ばせる、という。
続けて、「内職商法に騙されると、名簿が出回ってしまう。その名簿を元にさらに勧誘電話をしていく」と教えてくれた。
騙されていたのに、なぜ複数の業者と契約してしまうのか?を、聞いたところ、「切実に収入が厳しいので、何とか“損をした分を取り戻したい”気持ちが強いようだ」話してくれた。
水口結貴先生によると「実は、別の業者が電話をかけてきている」とのこと。
初めの契約とあたかも関連があるかのように話し、「ビジネスセット」なる商品が送られてきて、信用してまた契約してしまう。

日本SOHO協会の川西保夫常任理事は、悪質業者を見分けるポイントとして、次のような点を挙げてくれた。
1.契約前に多額の商品を購入しないといけない(投資が必要)
2.何回もしつこく勧誘を繰り返してくる
3.金額が異常に高い
4.(商品販売の時点で)「仕事を紹介する」と何回もPRする

では、実際に被害にあってしまったら、どう対処するべきなのか。
村 千鶴子弁護士は「契約書面は交付されているが、内職商法の場合に交付すべき書面ではないので、理屈上まだクーリングオフは可能」と言う。
「ただ、業者は承知でやっているので、素人が言っても相手にしない。消費生活センターに相談しないと解決できないと思う」ということだった。

この不況の中、「うまい話」など絶対にない。国民生活センターによれば、内職商法に関する相談は、この10年間で10倍以上になっている、ということだ。
もし、こうした内職商法などに騙されてしまった場合、一人ではなかなか解決が難しい。
行政書士や弁護士、国民生活センターなどへ相談してほしい。

 

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「週刊文春」2003年11月27日

女性被害者急増
悪徳内職商法に騙されるな

お不景気が続く中、「この通信教育を受ければ、在宅での仕事を紹介する」と言って高額な教材を買わせ、実際には仕事をほとんど紹介しない「内職商法」が急増している。相談・トラブルの件数は訪問販売、通信販売に次ぐという。
その手口を、消費者問題を数多く手掛けている、エクステージ総合法務事務所・代表の水口結貴行政書士に聞いた。
最近の主婦をねらった悪質商法は「パソコン」がブームに

昔からあるチラシ配布や宛名書、医療事務などに代わり、昨今の内職商法はパソコンを利用したものが圧倒的に多い。子どもが小さくて外に出られない主婦を狙った、悪質な犯罪だ。
「内職商法は、騙されたと分かったときは、契約から一年以上経っている場合が多く、その時には契約した会社が無い(倒産している、逃げて行方がわからないなど)ケースが多い。また、業者は次々と会社をつぶしては名前を変えて同様の商売をするので、被害者が個人で調べても、実態がなかなかつかみにくいのです」。
こう指摘するのは、内職商法をはじめ悪徳商法の解約手続代行を数多く手がけるエクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴さんだ。実際、平成14(2002)年の消費者相談件数14,407件のうち、内職商法に関する相談は12.9%に上っている。また、内職商法では別会社が教材販売と仕事あっせんを行うので、仕事の紹介がされなくても教材販売会社は責任逃れができる仕組みになっている。
「仕事」をエサに悪質商法へ勧誘されるのは、男性も同じ

女性被害者はチラシや求人広告がきっかけになることが多いが、男性被害者は昇格やヘッドハンティングなどがきかっけになることが多いという。
業者は『取引先の重役があなたを推薦してきた。この資格をとれば、あなたはスキルアップでき、重役が特別な仕事を推薦してくれると言っている。これはあくまでも内密な話なので、他人には話さないように』と言って誘う」と、水口結貴さんは、その手口を開設する。もちろん、全くの嘘だが欲が出たり、電話を早く切りたい一心から「資料を自宅へ送ってほしい」と言ってしまう。
水口結貴さんによると、「郵送された資料には、契約用紙も入っていて、その後の電話で徐々に断れないような状況にまで話を持っていかれてしまうのです」ということだった。
水口さんの事務所には、50代の自動車ディーラーからの相談もあった。「営業のプロですら騙されるのですから、相手(悪徳業者)の手口がいかに巧妙かが、わかります」と、教えてくれた。

泣き寝入りは禁物。
ローンの支払停止ができる場合も。

しかし、全て諦めて泣き寝入りしてはいけない。既払金を取り戻すのは難しいが、ローンの支払を停止することは可能だからだ。嘘(必ず仕事を紹介する、仕事の報酬でローンは払えるから、自己負担は無い等)を言われて契約したり、契約の重要事項に勘違い(錯誤)があれば、それを理由に相手業者に契約解除を要求できる。そして、業者と契約解除の話し合いが決着するまでは、ローンについては「支払停止抗弁」といって、支払を止めることができる。
業者に問題があるとわかったら、まずは専門家などへ相談をして、契約解除手続やローンの支払停止抗弁手続を進める方がいいだろう。

騙しの手口は巧妙になっている。できるだけ早く専門家に相談を

「マスコミなどで内職商法が取り上げられるようになってから、求人広告を掲載する側も怪しい広告は掲載しないようになっています。それで折込広告をきっかけにする被害は減ってきましたが、今度や電話や電子メールを使った勧誘が増えています。しかも、宣伝文句も法律の網の目をくぐるように、どんどん巧妙になっています。内職商法の会社は減っているわけではないので、騙されないように警戒が必要です」と、水口結貴さんは教えてくれた。
事情があって外で働くことができず「家で仕事をしたい」というニーズがある限り、内職商法は無くならない。それどころか「騙しのテクニック」は日々進化して、法の網をくぐり、被害者を狙っている。
契約する前に、その会社名で被害者が出ていないか調べてみたり、途中で「おかしい」と思うことがあれば、すぐに専門家や消費者センターなどに相談するようにしたい。

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テレビ東京 「給与明細」2004年1月18日・25日

「この後、どうなってしまうのでしょうか?
~ワン切り編~」

普「記憶の話をされても困るんだよね」。
電話口の向うから業者のいら立った声が聞こえてくる。取材者も困惑顔だ。一体何が起きたのか?
今回は、「ワン切り電話」、「身に覚えのない請求書」に「実際に掛け直してみたら、どうなるんでしょうか?」。

以前、同様の企画を放送してから4ヶ月。実は大事件が発生していた。
それは、ワン切り電話をかけてきた携帯電話に電話をしたことから始まった。実際に電話をかけてみると「お相手を見つけんね」や「クレジット清算の方は○番を」などの自動音声による案内が流れた。
取材者は「お相手を探してみる」を選んだ。すると、また自動音声で「ただ今、お相手を探しています」や「お相手を時は♯を…」といった案内が流れる。
しかし、何分経っても何も変わらず、ただ同じメロディが流れるだけだ。
そして、ようやく「お相手とつながりました」のメッセージが。

しかし、次の瞬間には「お相手が変わります」とメッセージが流れ、また「コンピューターがお相手を探しています」と振り出しに戻る…、延々とその繰り返しだ。切りがないので、仕方なくこちらから電話を切った。
この通話時間は12分間。ワン切りの正体は「ツーショットダイヤル」だった。
4ヵ月後、料金未払の督促電話がかかってきた。果たして、請求通りの金額を払う必要があるのか?

金額は何と12万9千円。この請求は不当ではないのか?
そこで専門家の協力のもと、ワン切り業者と話し合いをすることにした。
果たして、請求通りの金額を払う必要があるのか? または、払わなくてもいいのか?
協力していただく先生は、エクステージ総合法務事務所 水口結貴行政書士。手を変え品を変え、次々と出てくる悪徳商法の相談やクーリングオフ、契約解除などのサポートを行っている、消費者問題のエキスパートだ。

 

ワン切り業者の説明が都合よく変わっていく

もう一度請求金額を確かめようと、電話をするがガイダンスが流れない。仕方なくワン切り業者に電話をして説明すると、「1ヶ月ごとに番組が変わるのでガイダンスがきけなくなる」という。しかし、こうした説明は最初は全くしていなかった。
業者はまた「利用する気がない方はすぐに電話をお切りください」というガイダンスを流している、という。しかし、こうしたガイダンスは流れていなかった。ガイダンスの内容と請求元の男性が説明する内容は、明らかに一致していなかった。

同じ話を延々と繰り返すワン切り業者。そして…

ガイダンスは流れておらず「登録した記憶がない」と主張するこちらに対し、業者「記憶の話をされても困る」と反論してくる。さらに「登録で『♯』を押した時点で、月額の5000円が発生する」という。
ガイダンスではそのような案内はなかったというが、業者も引きさがらない。こちらの反論に対して、同じ説明を繰り返す。
ここで、消費者問題の専門家、行政書士エクステージ総合法務事務所の水口結貴先生に聞いた。
水口先生は「相手は、規約を聞いた後に『♯』を押して、と言っていますが、VTRを見た限りでは、すぐに利用したい人は『♯』を、規約を聞く人は『3番』を、と言っている」という点を指摘してくれた。
つまり「規約を聞いていないのに『♯』を押している」、これは「規約の説明をきちんとしていない」ということになる。
こうした指摘を踏まえ、再びワン切り業者と話をしようとしたが「専門家と相談する」という言葉を恐れたのか、電話は切られていた。その後、何度も電話をしたが相手は電話に出なかった。

同じ話を延々と繰り返すワン切り業者。そして…

後日、再びワン切り業者との交渉をすることに。水口結貴行政書士の見解で「錯誤による無効」を主張することにした。
電話をかけると、「あ、今裁判中なんで、後でかけ直します」と言う。しかし、電話はかかってこなかった。翌日も電話をかけるがつながらない。翌日も、その翌日も。この間もデータ保守管理料の1,000円は加算されているのか。

水口結貴行政書士は、この状況をこう推測する。
「こちらの動きに感づいたのかもしれない。彼らは、ちょっと脅せばお金を払う人をターゲットにしているので、様子が違う、と思われたのかも。こういった業者に一度でもお金を払ってしまうと、『コイツはカモだぞ』と思われて、次々にお金を請求されてしまう」と指摘する。
また「身に覚えのない請求が来た時には、とにかく無視するのが一番だ、とも教えてくれた」
因みに中村氏が話を持ち掛けてから1週間以上が経つが、相手業者からの電話は一切ない。

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「読売新聞」2004年1月24日

「出会い系」利用デート商法 ご用心!

普インターネットの「出会い系サイト」で知り合った女性に、100万円以上するスーツや宝石等の高額商品を売りつけられる被害が、若い男性の間で急増している。実は、女性は悪質業者の販売員だ。行為をほのめかし、言葉巧みに契約を結ばせるケースが多い。「新手のデート商法」として、国民生活センター等が注意を呼びかけている。

100万円以上の宝石やスーツを売りつける
京都府の男性(26才)は、出会い系サイトで知り合った女性とメールのやり取りをするうちに「会いたい」と誘われた。
男性はすぐに応じて、女性が勤めているという画廊で会った。すると女性から「あなたは趣味がいいからこの絵を部屋に飾って」と言われ、結局80万円の絵画を購入。この男性は行政書士に相談して何とか解約できたが、その後、女性と一切連絡が取れなくなってしまった。国民生活センターによれば、「デート商法」の相談件数は2002年度は2124件に急増している。最近は、出会い系サイトの利用が目立ち、被害者の多くが20代の男性という。
日本司法書士連合会によると、10人以上の女性を出会い系サイトに登録させ、全国を移動して、一着100万円以上のスーツを販売していた業者もあったという。

メール交換などを通じて年収や職業などを調べている
消費者問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所の水口結貴行政書士は、「メール交換をしながら、男性の年収や職業などのデータを集め、実際に会う相手を選び出す業者もある。こうした業者は女性から「会いたい」と積極的に誘ってくるのが特徴です。安易に会ったり、個人情報を教えるのは避けるべき」と話してくれた。

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毎日放送テレビ「ちちんぷいぷい」2004年1月30日

ヤミ金被害を上回る? 悪徳商法とは?

ヤミ金被害急増している。被害者は約32万人。被害総額は、約322憶円。「ヤミ金対策法」の嗜施行で摘発が進み、過去最多の1246人が摘発されている。摘発された事件の31%に暴力団が関与している、という。しかし、これ以上に被害が急増しているものがある。それが「デート商法」だ。
「出会い系サイト」 の利用で被害が拡大
国民生活センターの調べによると、デート商法についての相談件数は、2002(平成14)年度には、2,124件と4年前と比べると、およそ4倍と急増している。中でも「出会い系サイト」の利用が目立っていて、被害者の多くが20代の男性だ。
「出会い系サイト」を利用した「デート商法」の手口とは?

「出会い系サイト」に登録をして、同じサイトに登録している男性を会社名などからピックアップする。そして、何度かメールのやり取りをする。このとき、男性に「好意」を持っている「フリ」をする。きりのよいところで、「会いたいわ」などと男性を誘う。
男性が「デートができる!」と喜んでやって来ると…。

被害例1)京都府 男性会社員(26歳)のケース
デート場所に指定されたのは、女性が勤める「画廊」で、「あなたは趣味がこの絵を部屋に飾って」などと言われ、80万円もする絵を買ってしまった。

被害例2)大阪府 男性アルバイト(23歳)のケース
出会い系サイトで知り合った女性に「一度、私の職場を見て欲しいの」と連れて行かれた所が宝石店。5時間以上も勧誘された末に、120万円もするダイヤのネックレスを買ってしまった。

悪徳商法被害に詳しい、水口結貴行政書士が指摘する、業者の問題点

数多くの悪徳商法被害の相談を受けてきた、エクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士は業者の問題点をこう指摘した。
「女性と会える確率が低い出会い系サイトで、簡単に女性と会えるとなると男性は舞い上がってしまいます。そして、ついつい契約書にサインをしがちになります。そこを狙った巧妙な手口と言えます」
また、こうも指摘してくれた。

「積極的に誘ってくる女性と安易に会ったり、たとえ会っても個人情報を教えたりしないことです。万が一、高額商品を勧められても、決して即断しないでください」

悪徳業者どうか? チェックポイント
例)
お店の入り口で、携帯電話を取り上げられたら注意
ローンを組んだ信販会社から確認の電話がかかってこなかったら注意。
信販会社から電話がかかってきたら、そこで「契約を取り消したい」とはっきりと告げること。
クーリングオフ期間を過ぎても、国民生活センターや行政書士などの専門家に相談して、契約内容に違法性がある場合は、解約ができる。

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テレビ朝日 「スーパーJチャンネル」2004年2月2日

キャンパスで被害拡大
激撮!“マルチ”勧誘~ネットワークビジネス~

首都圏の大学で「学生が学生を誘う」マルチ商法被害が増えている

これまで、何度も問題になってきたマルチ商法。今、その勧誘が大学のキャンパスへと広がっている。勧誘の現場にカメラが潜入した。都内のある区民ホール。そこに20才前後の若者が次々と集まっていた。彼らは皆、身だしなみを整え、スーツ姿の者も多い。
着席した彼らの前に同世代の者が姿を現した。そして、「ネットワークビジネス」の素晴らしさを伝えるのが、このセミナーの目的だと言う。

会員を増やすことで「利益が得られる」
これは、マルチ商法の勧誘セミナーだった。「マルチ商法」の被害が今、学生の間で広がっている。

マルチ商法の被害者に話を聞いた

被害者の学生Aさんに話を聞いた。「時給にしたら、1800円くらい。週に1~2回で7~8万円稼げる」と言われた。しかし「実際は、全然違っていた」そうだ。都内の大学に通うAさんは、マルチ商法に10数万円をつぎこんでしまった。
予備校時代の友人から「久しぶりに会うのでご飯でも」と誘われたことがきっかけだったという。それがどんどんネットワークビジネスの話になっていったそうだ。半ば強引に誘われた、マルチ商法のセミナーだったが、そこでAさんは、マルチ商法の罠に引き込まれていった。

セミナー会場で「自分でもできる」と錯覚する

壇上の女性が、成功談を話し出した。「先日、20万円を入った財布を落としまして。ああ、私、20万円を持てるようになったんだわ、って」。
そのうち、ビジネスのシステムの話になっていった。繰り返される景気のいい話。さらに信憑性を高めるためか、こんな話も飛び出した。
このシステムは「マサチューセッツ工科大学の経済学部の学部長さんが考えたシステム」だ、という。
さらに、「アメリカの大統領は、ネットワークビジネスを取り入れて、わが国の経営が良くなったと」言っている、という。
さらに、ある計算式によれば、「月の収入が496万円」にもなる、という。
こんな説明を聞かされた学生は、次第に「自分でもできる」と思い込むようになる。

勧誘の場を「喫茶店」に移し、クロージング

勧誘の場はここでは終わらない。前にアドバイザーの男性が出て来ると、「この後、質疑応答の場として喫茶店に来ていただいて」…と次なる会場を案内する。
そして、外に出ると「サポート要員」として、多くのスーツ姿の男性たちが待機していた。通称「アフター」と呼ばれる「個別勧誘活動」のためだ。
勧誘する側とされる側が組になって散っていった。その1つを追いかけると喫茶店へ入っていった。
そこでは、アドバイザーが「成功する」、「やりやすい」など、ビジネスの魅力を語っていた。

「A・B・C」と呼んで、座る場所まで決めて
マルチ商法を契約させる

こうしたクロージングの場では、座る場所まで決まっている。
例えば「A」は「アシスタント」。すでにビジネスにどっぷりハマっていて、勧誘トークをするベテランだ。
「B」は「ブリッジ」。上位者と新しく入っている(新入者)を橋渡しするのが役割だ。
そして「C」が「カスタマー」。新しくビジネスに加入する学生だ。
通常、アシスタントの話に集中させるため「カスタマー」は店の入り口を背にして座らせる。
「まず3人から10人に増やそう」、「そして10人になったら、100人を目指そう」。

学生はここで初めて、システムの説明を受ける。
ネットワークビジネスとは、次のようなシステムだ。
●商品を買って会員となり、商品を他人に売ることで利益を得る
●自分が売った人物がさらに他人に商品を売れば、自分にもボーナスが入る
勧誘側は「ローリスク」、「ハイリターン」などと説明する。この日、店内の半分は「アフター」の若者で占められた。誘う側も多くが学生だ。彼らの成功談を聞くたびに、誘われる側もビジネスの成功談を信じるようになる。

お金を持たない学生には学生ローンで借りてでも契約させる。
そして、会員を続けるためには商品を購入し続けなければならない。
そしてAさんが勧誘できたのはたった一人。これでは全然お金が入ってこない。彼は13万円を使ったという。

なぜ、大学生はマルチ商法にはまるのか?

専門家に聞いてみた。すると、今の学生の就職環境が大変厳しいため「サラリーマンになるくらいなら、“自分で自立して超一流ビジネスマンにならないか?”、“世界を股にして活躍しないか?”と言われると、非常に耳障りがいい。

巧みな話術を信じこむ学生たち。勧誘セミナーの内容に問題はないのか?

悪質商法に詳しい、エクステージ総合法務事務所 代表行政書士 水口結貴さんに聞いた。
例えば、「月にこれくらの収入になる」とか「月に500万近い収入がある」とか、言っている場合は、「断定的な判断を提供している」ので、「消費者契約法で契約解除ができる」と教えてくれた。
さらに、業者は「アルバイトと言っておきながら、ビジネスの話をしている」、「まったく違う話をしている」。
これは「嘘」を言っているので「不実告知」になる。不実告知は消費者契約法の中で「してはいけない」ことになっている。オーバートークが目立つ、と指摘する。
マルチ商法の被害はお金だけに留まらない。誘えない人がいなくなる手あたり次第に声をかけるようになる。会社側は学生同士の勧誘については、今後指導をしていく、という。会社側は最後までシステム自体には問題がないと主張する。

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月刊誌「いきいき」掲載 2004年2月10日 発売

詐欺でも脅迫でもない。
悪徳商法、その手口に要注意

昨今、話題になっている「オレオレ詐欺」。その手口や被害は広く知られるようになってきました。一方で、明確に「犯罪」とは言えないものが多く、被害が見えにくいのが「悪徳商法」です。健康をエサにするものや内職あっせん、資格取得などその手口はより巧妙になっています。被害にあってからでは、対応は難しいものです。
そこで、悪徳商法の相談を数多く受けている、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴先生に具体的な対処法や悪質業者の手口などを教えていただきました。
50代が気を付けるべき悪質商法
男性は、投資・資格商法。女性は内職商法
50代の悪質商法被害は件数はそれほど多くないものの、収入が多い世代だけに被害金額が大きくなる傾向が見られます。代表的な被害例は、男性では投資や資格商法があります。資格商法では、業者や電気主任技術者などの人気の資格をエサに内容が伴わない高額な教材を売りつけます。
また、以前に資格取得講座を申し込んだ人に「資格取得まで継続する契約になっている」と嘘をついて「未払の受講料がある」や「○○万円払えば、名簿から名前を消すことができる」などの名目で請求をする手口も増えてきました。女性を狙ったものでは「内職商法」に気を付けましょう。「月に3万~5万円、人によっては10万円くらい稼いでいます」と、いかにも現実的に稼げそうな金額を提示するのがポイントです。仕事をあっせんするための登録料や研修費、教材費などの名目で数十万円を請求されます。
そのほか、50代に特徴的なものでは、床下や布団の無料点検に来たと自宅を訪問して商品を売る「点検商法」、催眠(SF)商法があります。自宅に突然、本やカニなどの物品が送りつける「ネガティブ・オプション」(送り付け商法)の被害も50代に多いのです。
一見、親切そうなふるまいの影に悪徳商法のワナがある

催眠商法や悪質な訪問販売など、以前から問題視されている被害も減ってはいません。これらの契約の場合、高齢者が狙われることが多いのです。また特徴の1つとして、業者が「親切さ」を強調することがよく見られます。
例えば、催眠商法でよく知られているのは、お客さんを一か所に集めて短時間で商品をどんどん売るやり方ではないでしょうか。最初は、日用品などを無料(もしくはただ同然の値段をつけて)「はい、欲しい人は手をあげて」と、会場が興奮状態になるように誘導します。
そうしておいて、最後の方で「今日は特別に半額!」などと、高額商品を登場させます。
集客力を上げるために、街頭で「この券を持っていけば、無料で記念品がもらえます」などと、チケットを配るなど「ちょっとお得」な話で誘うことが特徴です。
解約は一刻も早く。クーリングオフ期間を過ぎていても、望みはある

クーリングオフは、消費者から一方的に売買契約を解除することができる制度です。クーリングオフをするときは、必ず証拠が残る内容証明郵便で手続をしましょう。電話では、のらりくらりとかわされてしまったり、再説得されてしまう可能性があり、トラブルの元になってしまいます。
解約をすると業者に仕返しをされるのではないか?と不安になる方もいますが、その心配は殆どありません。それどころか、ローンが終わったころに別な商品を売りつける「次々商法」の被害にあうこともありますから、毅然と断ることが大切です。
クーリングオフ対象外の契約であったり、クーリングオフ期間を過ぎた契約であっても、解約が全くできないわけではありません。例えば、契約書類に不備があったり、販売目的を隠していたり、業者が契約について重大な嘘を言っていたり、脅迫的に購入を迫っていたり、などの理由があれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づいて、解約や返金を求めることも可能です。
たとえ、悪質商法業者と契約をしてしまった場合でもあきらめず、専門家に相談をしてください。

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テレビ東京 「給与明細」2004年2月15日

「この後、どうなってしまうのでしょうか?
~ワン切り編~」

当番組で調査から3ヶ月後、14万6千円という多額は請求を受けることに。そこで我々は、専門家を迎え、話し合いを持ちかけた。話し合いの途中で「専門家に相談します」と言うと、その言葉を恐れたのか、その後何度も請求者に電話をかけるが不在のまま。もしくは、「すぐにかけ直す」と言って電話は来ず、話し合うことはできなかった。

進展がなく、調査の中止を決意したとき、とんでもない新展開が

何と、予期せぬ人物から電話があったのだ。
それは「以前、ワン切り業者に勤めていた」という人物。
水口結貴行政書士にサポートしていただくことにした。
水口結貴さんには、ワン切り業者の電話システムが法的に問題ないか?を確認していただく。

そして、今回話をうかがう男性が「沢田さん」だ。彼は、昨年
9月から3ヶ月間、あるワン切り業者に勤務していたという。

番組に連絡をくれた理由を聞くと「心が痛んで…」とのこと。ひとまず、彼の言葉を信じて話を聞くことにした。まずは、沢田さんがワン切り業者に勤め出した経緯を教えてもらう。
彼は、アルバイトで不動産関係の仕事を探していたそうだ。そして、彼は不動産会社に就職したが、なぜか同じ会社が経営するワン切り業者に配属されたのだ。そして、毎日料金未納の客に催促電話をかけることになった。今回、自らが内部事情を話すことで被害を少しでも食い止めたい、という。

「素人でも督促ができるように」、社内には「マニュアル」があったという。そこで、澤田さんには、マニュアルの内容をできる限り書き出してもらい、直接回収に関わる手口について解説してもらうことにした。

【ワン切り業者の手口】
その1 カマをかける
自分達(ワン切り業者)は、相手の名前も住所も何もわからない。電話番号しかわからない。それを「全部わかっているよ」、「これからバレるよ」ということを強調する。
これによって、相手に「携帯番号を変えてしまえばいい」と思わせないようにする。
例えば、電話番号から住所、会社は全部わかっている。さらに「回収業者を行かせる」と言えば、相手は怖くなってひるんでしまう、という。

その2 最低2ヶ月以上の期間を空けてから電話をする
電話をかけたことを認め、その上で相手が「まけてくれ」と言うことは「払います」という意思の現れ、だという。後は、手口その1で紹介した「回収業者を行かせる」などのカマをかけ続ければ、ほぼ請求通りの金額が回収できる、という。

確かに我々に、14万6千円の請求が来たのは2ヶ月後。ここにも巧妙な手口が隠されていた。
請求電話をかけるリストは、会社が用意するが「利用した日から2ヶ月以上経ったもの」しか渡されない、という。
これは、記憶をなくしたり曖昧にするほか、延滞金を発生させるためだ。
記憶が曖昧だと反論できない。人の心理を読んだやり方だ、という。さらに証言から、ワン切り業者の利用者の弱みにつけこんだ驚くべき手口が。

一度払った人に「番組名」などを変えてもう一度請求する

それは、一度払った人だけをまたリスト化して、何度も請求するという。利用した番組等を変える、というのだ。「一度払った人は、2度3度と払う」という業者。こうした業者のやり口はどれも巧妙なものばかり。
しかしなぜ利用者は、こうした不当な請求を簡単に払ってしまうのか?

「回収業者に行かせる」。相手の弱み(心理)につけ込む手口

1番相手が嫌がるのが、勤務先や家族(奥さん等)に「バレる」ことだという。しかも「回収業者に行かせる」など言えば、「それが、10何万円で済むんだったら…」という心理で払う、そうだ。
「これで穏便に済むんだったら、よかった、よかった」と話してしまえばいい、それで払うという。業者から言わないが、中には金融機関などで借金をして払う人もいるようだ。

1日で莫大なお金が動く。ワン切り業者の売上は…

カモがいれば、その弱みに付け込むワン切り業者。一体、1ヶ月にいくら売上ていたのか?
元従業員曰く、誰でも24~25万位にはなる、という。また彼自身は、最高で時給と歩合を併せて100万にはなった、ということだ。
彼が勤めていたワン切り業者では、時給1000円~1500円。それに利用者から回収した金額の約1割が歩合として加算されていた。現在は、保険のセールスをやっているということで、給与明細を見せてもらった。手取りは、259,590円。
このような巧みなワン切り業者の手口に、我々はどう対処すればいいのか?
どうすれば、被害を避けられるのか?
それは、相手にしないこと。話をしなければ、相手は何もできないと、元ワン切り業者の従業員は言う。
一方、行政書士 水口結貴さんの見解は消費者センターや法律家に相談してほしい、ということだ。そして、相談した場合、気になるのが相談料だが、目安としては5000円程度。場合によっては無料で対応してくれることもあるという。
スタッフ宛に届いた請求メールの番号に、電話をしてみると…

と、ここで終わらない今回の給与明細。新たなる見覚えのない請求を調査。
スタッフの携帯に、出会い系サイトに対する請求メールが送られてきた。メールには請求業者の連絡先が書かれていて「至急連絡をください」という。今まで学んだことを踏まえ、早速電話をしてみる。
業者とのやり取りの中で、とっさに思いついた番号を言ってしまった。これでは、電話がかかってこないので、もう一度、業者に電話をしてみる。しかし、この電話がこの後、とんでもないことに。

業者とのやり取りの中で、住所を聞くと一方的に切られてしまう。
何回か、かけ直してみると相手業者はこちらの質問には答えず「そうですね」と繰り返すばかりで話にならない。「この客からは、お金は採れない」と判断したのか、一方的に電話を切られてしまった。

決して他人ごとではない、あなたの身にも起こるかもしれないお金にまつわるトラブル。当番組では引き続き、身の回りの気になることを徹底的に調査していく。