関西テレビ「痛快!エブリディ」(2004.519)

消費者問題の専門家・水口結貴行政書士に聞く

「悪徳商法に騙されないための方法・テクニック」

普段何気なく生活しているとあまり関係がないはずの「悪徳商法」。

しかし、「つい、うっかり」と騙されてしまう人も多い。身近な人に「架空請求のメールが来た」や高齢者を狙って、最初は景品等を配るだけなのに、そのうち「この鍋でご飯を炊くと美味しくなる」、「この鍋は、孫の代まで使える」などと言い、30万円以上する鍋を買わされそうになった、等の話を聞く。

そこで、今日は実際に被害にあった方の話を元に悪質業者の騙しの手口を紹介する。そして、悪徳商法の相談を多数受けている専門家、エクステージ総合法務事務所の水口結貴行政書士に「悪徳商法に騙されないための方法・テクニック」を聞いた。

 

「あなたは悪徳商法に騙されたことがありますか?」

街で聞いてると…。

例えば、ある女性は「化粧品を買ったら、無料でエステが付いている」と言われて、買ったころ、店員から「これも、あれも、あれも…買ってください」とどんどん勧められ、結局、高額な支払になった、という女性。

他に「アメリカの掃除機で38万円」を買わされた女性は、クーリングオフで電話をしたら、「相手がヤクザみたいな口調になって…」と非常に怖い思いをした、と話してくれた。

そのほか、「勝手に名簿を使われて、家に電話がかかってきて、最初は美味しい話ばかりするんですよ。主婦の方もたくさんやっている、とか、月にいくら稼げるとか。それで乗り気になったら、“じゃあ、先行投資で60万必要”って…」や、「周りに、悪質商法の被害にあった人が多い。出会い系で知りあって、会いに行ったら化粧品を売られそうになったとか、聞いている」という人も。

さらに「子どもの成績を上げてくれる、というので、教材を買わされたしまった」と話す女性が払った金額は、なんと「150万円」。支払は3年間、続いたという。因み、お子さんは結局、勉強はしなかった…とか。

また、「実家に帰る度に、物が増えていて驚く。めちゃくちゃ高い鍋とか、高い布団とか、掃除機とか。肌に乗せるだけで治る金属とか…」と困り顔の人も。今回は「自宅で、手軽に収入を得たい」。そんな主婦を狙った「内職商法」や、出会いを求める男性をデート気分にさせて、高額商品を売る「デート商法」、無料体験という甘い言葉をエサに次々と高額商品を売りつける「無料商法」などを紹介する。

 

悪徳商法の実態に迫る! わたしはこうしてダマされた…

今回、紹介するのは、内職商法、デート商法、無料商法。いずれも悪徳商法の中でも被害例が多いものだ。

(出演者)

そのまんま東 遥 洋子 トミーズ健

エクステージ総合法務事務所  行政書士 水口結貴

 

あなたの「悪徳商法」ダマされ度チェック

年々、被害が拡大している悪質商法。どんな人が「ダマされやすい」のか? あなたは大丈夫でしょうか? そこで今回、行政書士 水口結貴さんの監修で「ダマされ度チェック」を作成し、実際にやってみた。

 

あなたの「悪徳商法」ダマされ度チェック

例)無料プレゼントや懸賞などお得な話に弱い

好みのタイプの異性に言い寄られると弱い

ニュースや世の中の動きにあまり敏感でない

相手を拒否して気まずくなるのは避ける

他人をすぐに信用したり、人の意見に流される …など

 

そして、これらの質問に対して「Yes」がいくつあるかで、あなたの「ダマされ度」がわかる。

Yesが多いほど、「騙されやすい」人と言えるだろう。

特に「無料プレゼントや懸賞などお得な話に弱い」や「好みのタイプの異性に言い寄られると弱い」といった項目は、殆どの人があてはまるのではないだろうか。

また、「今の自分の現状に満足していない」という項目について言うと、例えば、収入や見た目など自分にコンプレックスがあると、そのコンプレックスに付け込まれてしまう。そして「もっとお金持ちになれる」、「もっときれいになれる」といった業者の勧誘に乗ってしまうのだ。

 

手口を紹介。驚きの「悪徳商法 騙しのテクニック」

 

それでは、実際の悪徳商法の被害を紹介していこう。

­­­­­­­­­­­­­­­­悪徳商法のターゲットになるのは…

その1 子育て中の主婦

そして、こうした子育て中の主婦を狙うのが「内職商法」だ。水口結貴行政書士に、内職商法を解説してもらった。水口結貴行政書士は、「在宅でできる仕事を紹介するので、それで稼ぎませんか?」と言われながら、実際は「勉強してもらう必要があります」ということで、高い教材を買わされてしまう、やり口だという。

(被害者の証言を元にした再現VTR)

「自宅で2~3時間で、6~7万円を稼げると言われたので…」と語るのは、吉田あけみさん(仮名・36才)。彼女は家事と子育てに追われる日々を過ごしている。小さな子どもを抱えながらの生活は決して楽ではなかった。

「家計も苦しいし、そろそろ仕事を差がなきゃ…」と考えていた頃、インターネットで「在宅ビジネス」の文字を発見。資料請求をすると早速、パンフレットが届いた。そこには「パソコンの資格を取得したら、在宅でできる仕事を確実に紹介する」と書いてあった。

また、報酬例として「月に8万~10万円」の報酬が得られると説明されていた。

「子どもが小さいので、外で働くこともできないし」、「内職だと月に2万円稼ぐのがやっと」なので、「生活費の足しにしたり、子どもの習い事とかに回せれば」と思っていた、という。

そんなとき、一本の電話が。

資料請求をした業者からだった。

「パソコンを使ったことがない」と不安がる吉田さんに対して、業者は「大丈夫ですよ」と即答した。「まず、資格を取っていただくんですが、うちの優秀なスタッフがサポートします」、「合格さえしてくれれば、確実に仕事を回します」。

「合格したら、本当に仕事がもらえるんですか?」と吉田さんが聞くと、業者は「もちろんです。仕事はさばききれないどあります」と言い切った。

 

問題の会社は、依頼先か受けた業務を吉田さんのような契約者に「業務委託」する。そして成果物が納品されれば、報酬を払うという仕組みだ。

 

業者は続けて「小さいお子さんが居て、外にパソコンを習いに行くのが難しいなら、うちの教材を使って勉強してもらえればいい。すぐに合格できますよ」と言った。

「65万? それは無理です」とあけみさんが断ると、業者は毎日電話をかけてきた。

「今だけ募集」「がんばる人は10万円~15万稼いでいる」という甘い言葉を信じて契約してしまった。

 

あけみさんは猛勉強したが、合格できない。そして、毎日のようにきていた業者からの電話はこなくなった。消費者センターに問い合わせすると、業者は倒産していた。

計画倒産する業者もあるという。

 

ダマされる手口(業者が良く使うトーク例)

1)最初に何か、高額商品を買わされる。

2)資格は簡単に取れますよ(あなたが、がんばれば)

3)毎月、5万くらいになりますよ

 

内職

1)見知らぬ人からの電話勧誘はご用心

2)契約を急がされても即断しない

3)契約前に業者の評判を調べておく

 

水口結貴行政書士の「格言」

ちょっと待て、最初に金とる内職話

 

その2)出会いを求めている男性が狙われやすい「デート商法」

 

言葉巧みに恋愛感情を利用しながら、高額商品を買わせる商法。「平均被害額は130万円です」と水口結貴 行政書士が教えてくれた。

出会い系サイトにはやがて、まだ会ったこともない「サトミ」に恋心を抱くようになった。そして、顔を会わせることになった二人。

予想以上の女性だった「サトミ」に有頂天になるマサオ。そして、サトミはデートの最期に「アクセサリーを選んであげたいから、うちに会社に来て」と言われた。

後日、マサミの会社に行ったマサオにマサミの会社の「社長」がジュエリー(指輪)を選んできた。そのまま「15万円」の契約書を持ってきたマサミ。言われるがまま、契約書に記入してしまった。

しかし、指輪を購入してから10日間を過ぎると、電話がつながらなくなった。それは「8日間」というクーリングオフ期間が過ぎたからだった。

 

デート商法の手口

1)メールや電話で、さりげなく職業や収入を聞いてくる

2)クーリングオフ期間(8日間)が過ぎるまで恋人を装う

3)契約書だけでなく、アンケートにも記入させる

 

水口結貴行政書士が、アンケートの意味を語る。後になって「案内と聞いてませんでした」と言われないために書かせるものだ、という。

ダマさないための対策

収入など個人情報を聞いてくる場合はご用心。

店に連れて行かれても契約しない。

 

水口結貴 行政書士の格言

出会い系 即アポ女性にはご用心

 

3)時間のある学生、主婦をねらった「無料商法」

路上で声をかけられた伊藤さん。「うちの店で、無料体験キャンペーンをやっている」との言葉に釣られて店へ。貴重品を預け、ガウン一枚になり1時間の痩身体験を受ける。ガウンのまま個室へ。そして現れた女性は、伊藤さんの理想とするキレイな女性だった。その女性が「この施術を受けて、変わった」など、エステサービスの内容の説明を始めた。勧誘されること4~5時間。ガウン一枚で、ほぼ裸だったこともあり、逃げられない。ローン総額は約100万と高額だが「一生モノの付き合いよ、月々たった1万円よ」等の言葉に乗せられ、契約することになってしまった。

 

騙しのテクニック

  • ガウンのまま別室に移動させられて、勧誘を受ける
  • 帰ろうとすると無理やり引き留めて勧誘を続ける
  • 無料体験の後、高額商品を買わせたり、契約させる

 

水口結貴行政書士が対策を語る対策

  • 無料だからと言われてもついていかない
  • 友人などと一緒に店に行き、一人ではいかない
  • 契約を急がされても即断しない

 

「特定商取引法」で中途解約が認められているもの

エステティック

語学教室

家庭教師派遣

学習塾

パソコン教室

結婚情報サービス

 

水口結貴行政書士によれば、業者はこうした中途解約が効かないように「商品売買」として契約をさせるケースもある、という。注意が必要だ。

 

格言

しつこい勧誘、逃げるが勝ち

 

水口結貴行政書士が教える「悪徳商法 まめ知識」

勧誘電話「魔の瞬間」

金・土、そして休日の前日の午後

ほっとしている時間

 

キャッチセールス「魔の瞬間」

日が沈む頃の夕暮れ時

心理学的にも気が緩む時間

 

悪徳商法の書き入れ時

新入生、・新社会人で街があふれる4月、5月

大学生も初めておしゃれをしてみたい、初めてのお給料をもらって気が緩んでいる。

テレビ東京「給与明細」(2004.1.25)

ワン切り業者の巧妙な話が展開される

請求金額(12万9千円)の内訳を尋ねてみると、入会金が3万円。また、月額5千円で使い放題の番組なので、それが4ヶ月分で2万円。

「入会金が無料」というのは、登録して5日以内に最初の月額費用5千円を支払えば、「入会金が無料」になる特典があった、という説明だ。しかし、今回の場合、月額費用を業者が設定した期日以内に支払っていないため、入会金の請求が出た、という話だった。業者は続けて「ガイダンスでは、ちゃんと言っている」や「ガイダンスをちゃんと聞いてくれれば、そんな間違いはしなかったのに」、「ガイダンスを聞いていない方が、支払が遅れたり、支払の不履行をしている人の殆どだ」などと言う。

続けて、「この番号を(支払がない)79日間、セキュリティをかけて管理している」、「だから、他の業者に漏れたりすることはない」などと説明した。

 

「セキュリティをかけている」と一見、良心的にも見えるが、実はその「補修金」として「1日千円」を請求しているのだ。

そして、業者は予想外の言葉を言ってきた。

 

電話をしてきた今日までの日数(18日間)も上乗せされて「129,000円+18,000円=147,000円」の請求に変わると、さらなる追加料金について語りだした。セキュリティやデータ補修金について、ガイダンスで説明しているのか?と質問すると「もちろん、言っている」と答えるワン切り業者。

「ガイダンスをもう一度、聞かせてもらえないか?」と頼むと「発信履歴がないのか」と言う。発信履歴が見つかり支払について話し合いができないまま、一度電話をきった。そして電話を掛け直すことになった。

 

これは、ガイダンスを聞かなかったこちらが悪いのか?

「とにかくガイダンスで全部、説明している」と業者が言うので、もう一度ガイダンスを聞いてみることにした。

しかし、電話をかけると「電源が入っていないか故障中と思われます」というアナウンスが流れて、確認できない。どうやら、サービス自体が存在しないようだ。

再度、請求元に電話をかけることに。しかし、相手が出ない。

 

仕方なく、類似するサービスに電話をかけて、ガイダンスを聞いてみると下記の案内が流れた。

1.定額制で安心

2.入会金3万円

3.利用後、5日以内に支払ってください

4.5日以内に支払がないと、入会金が無料になる無料特典が受けられません

 

注意して聞くと、確かに料金についての説明はしていた。しかし、この番組では「データ補修金」という話は出てこなかった。

請求元の言い分は「ガイダンスの説明を聞かなかった方が悪い」。

 

一方、水口結貴行政書士の見解では「かけなおした時点で、料金の説明などを聞かない方が悪いのではなく、きちんと説明しない方が悪い」と言える、ということだった。また、逆に「あなたが悪いんだから」と思わせる手口の可能性もある、と教えてくれた。

 

前回こちらが電話をした業者は、料金説明を聞かなくても遊べるようになっていた。これは「明らかに不当だ」と、水口結貴行政書士は言う。

 

通話時間12分、請求金額14万7千円は払うべきか?

テレビ東京「給与明細」(2004.1.18)

「記憶の話をされても困るんだよね」。

電話口の向うから業者のいら立った声が聞こえてくる。取材者も困惑顔だ。一体何が起きたのか?

 

「この後、どうなってしまうのでしょうか?~ワン切り編~」

 

今回は、「ワン切り電話」、「身に覚えのない請求書」に「実際に掛け直してみたら、どうなるんでしょうか?」。

以前、同様の企画を放送してから4ヶ月。実は大事件が発生していた。

それは、ワン切り電話をかけてきた携帯電話に電話をしたことから始まった。実際に電話をかけてみると「お相手を見つけんね」や「クレジット清算の方は○番を」などの自動音声による案内が流れた。

取材者は「お相手を探してみる」を選んだ。すると、また自動音声で「ただ今、お相手を探しています」や「お相手を時は♯を…」といった案内が流れる。

しかし、何分経っても何も変わらず、ただ同じメロディが流れるだけだ。

そして、ようやく「お相手とつながりました」のメッセージが。

 

しかし、次の瞬間には「お相手が変わります」とメッセージが流れ、また「コンピューターがお相手を探しています」と振り出しに戻る…、延々とその繰り返しだ。切りがないので、仕方なくこちらから電話を切った。

この通話時間は12分間。ワン切りの正体は「ツーショットダイヤル」だった。

 

4ヵ月後、料金未払の督促電話がかかってきた

果たして、請求通りの金額を払う必要があるのか?

 

金額は何と、12万9千円。この請求は不当ではないのか?

そこで専門家の協力のもと、ワン切り業者と話し合いをすることにした。

果たして、請求通りの金額を払う必要があるのか?

または、払わなくてもいいのか?

 

協力していただく先生は、エクステージ総合法務事務所 水口結貴行政書士。手を変え品を変え、次々と出てくる悪徳商法の相談やクーリングオフ、契約解除などのサポートを行っている、消費者問題のエキスパートだ。

 

そこで、水口結貴行政書士にワン切り電話調査の模様を見てもらった。次に、業者からの請求明細を見てもらった。

入会金3万円

定額料金 月5,000円×4ヶ月=2万円

データ補修金 1日1,000円×79日=7万9千円

 

これは、支払わないといけないのだろうか?

水口結貴行政書士によれば、「法律的には、不当な請求と言わざるをえない」ということだ。例えば、「データ補修金」についも「○日分」という請求をしているので、実態は「遅延損害金」と同じような扱い、つまり「利子」にあたると思われるが、それにしては金額が法外だ、ということだった。

 

さらに、水口結貴行政書士は「また、さらに問題なのはこうした料金についても、きちんと説明がされていない点だ」とも指摘する。本来は、電話をかけた時点で例えば「月額でいくら、遅延損害金は何%」などの説明がなければいけない。

しかし、今回のケースではそうした説明はきちんとされていないので、金額などについては「納得してない」、「知らずに使ってしまった」ということで、「錯誤」による「無効」を主張できるケースかもしれない、と解説してくれた。

また、業者が色々言うようであれば「明細(請求金額の根拠)を出してくれ」と主張してもいいかもしれない、と教えてくれた。

日本テレビ「ザ・ワイド」(2003.9.5)

内職商法特集

 

主婦の間で高まる「パソコン」人気

その心理につけこむ、悪質内職商法が急増

 

主婦に「どんな習い事をしたいですか?」というアンケートを取ったところ、人気急上昇中なのが「パソコン」だ。そして、この「パソコンを習いたい」という主婦の心理に付け込んだ悪質商法が急増している。その実態とは?

 

不況の時代を反映してか、今、自宅で空いた時間を使って内職をしたがる主婦が増えている。街で主婦に「内職」したがる理由を聞いた。

 

「少しでも、足しになれば嬉しいですよね」

「それは、ありがたいです」

「子どもがいると、なかなか外で働くのは…」

 

そんな主婦たちの気持ちを利用しているのが「内職商法」だ。

国民生活センターによれば、この10年間で被害は約10倍に増え、中でも「パソコンを使った内職商法」の被害が多い、という。数十万円の教材をローンを組んで買っても仕事は来ず、結局ローンだけが残るということだった。

「内職商法」の被害者に話を聞くことができた。

 

「ローンの支払をしても、手元に3万5千円がのこりますよ」

それならいいか、と思ってしまって…

 

被害者(守屋さん:仮名)は、業者から電話がかかってきて、勧誘された。子どもが小さく、外へ働きに行けなかったことや当時は高い家賃の負担もあって「何か私にできることがあれば…」と話を聞いた、という。

業者は「資格を取ってもらって、仕事を紹介するシステムです」と言った。「子どもが生まれたばかりで…」と断りかけると、業者は続けて「家で簡単にできるんですよ」、「パソコンが1台あれば、仕事以外でも便利ですよ」と契約を迫るが、守屋さんは「考えさせてください」と電話を切った。

そして3日後。再び業者から電話があり一方的に「パソコンと教材を送りますから」と言われた。そして「試験に受かれば、いくらでも仕事が入ってきますから」「反論する守屋さんに業者は続けて「もう、会員番号を出ているので、辞められない」と言われた。

 

気になる収入については、「パソコンを使って3か月位、勉強すれば5万円程度の収入になる」と言われたそうだ。業者に押し切られる形で契約してしまった守屋さん。契約総額は、5年間のローンで90万円を超えた。

契約の決め手について、守屋さんは「5万円の収入があれば、ローンの1万5千円を引いても、まだ3万5千円が手元に残る」。「それなら、いいか」と思って、と答えた。

 

えッ? これで90万円? 驚きの教材内容と

「仕事なんて無い」現実

 

守屋さんが買った教材をパソコン雑誌の編集長に見てもらうと、帰ってきた答えは「法外ですね」というものだった。しかも、教材内容についても「かなり雑に作っている」との評価だった。

それでも何とか、教材を見ながら勉強して、仕事をもらえる前提の「検定試験」を受けた守屋さん。しかし、それはとても30分でできるような物ではなく、レベルが高く難しいものだった、と言う。

その後も、何度か業者に電話をして仕事をもらえるように相談したが、業者は「もう少しがんばってください」や「皆さん合格して、仕事をもらっていますよ」といったものばかり。結局、2回目の試験も不合格に終わり、守屋さんは仕事をもらう事を諦めてしましった。

 

仕事がもらえなかったのは、能力の問題?

専門家に試験問題を見てもらった

 

パソコンスクールの講師によれば、教材内容を全部取得するには1年程度かかる、という。また試験問題も見てもらうと「寮が多いので、30分では難しい」という意見だった。ある調査によれば、主婦の2人に一人が内職の勧誘電話を受けていた。

 

「全額が戻ります」

甘い言葉に隠されたワナ

 

別の例を紹介しよう。

杉山さんの所に業者から、勧誘電話がかかってきたのは去年のことだった。業者は「先日、ダイレクトメールを送って、皆さんから契約のお返事をもらっている。あなたから返事が無かったので、電話した」という。

仕事の内容は、旅行代理店と契約をして旅行のスケジュールなどをパソコンを使って入力する、というものだった。業者が提示してきた金額が、普通のアルバイトよりも高額だったことや「仕事が無いことはあり得ない」と言った業者の説明を信じてしまった。

しかし、仕事をするには「一般旅行業務主任者」という国家資格を取らないといけない。そして、その教材費用が50万円かかる、という話だった。

 

業者は続けて「でも、このお金は将来、必ず戻ってきますから」と言った。どういうことかと言うと、試験合格時に「50万円の支援が受けられる」。だから「私の負担は一切なく、受けられます」と言われた、ということだ。

 

この「50万円が戻ってくる」というカラクリはこうだ。

1.業者が教材を50万円で販売する

2.購入者が「A協会」の会員になれば、費用は全額戻ってくる

3.「A協会」は、購入者の学習をサポートするだけでなく、最初に旅行会社に購入者をあっせんする。

4.旅行会社が、購入者に50万円を払ってくれる。

 

「一般旅行業務取扱主任者」とは、国家資格だ。しかし、旅行会社に話を聞いてみると「自宅で旅行業の仕事をするのに、役立つは思えない」と言う。

さらに複数の旅行会社に、杉山さんが契約した会社名や奨学金(制度)の事を尋ねたが、知っている所は皆無だった。

杉山さんは国家資格取得を目指し猛勉強していたが、サポートしてくれるはずのA協会からは何度か模擬問題が送られてきただけ。しかも、3月を最後に返事すら返ってこなくなった。

杉山さんは、「主婦や学生みたいな、お金が無い人をだますなんで許せない」ということ、そして「二度と、ひっかかりたくない」と言っていた。

 

法律の専門家、行政書士の所にも、様々な相談が寄せられている。中でも最近多いのが、こんなケースだという。

エクステージ総合法務事務所 水口結貴行政書士 に話を聞いた。

 

ある業者と契約をしたもの、思うような収益を得られないということで、「今度こそ、こちらの業者だったら」との思いから、4社、5社と被害を受ける人もいる、ということだ。

 

また「なぜ、複数の悪質業者と契約をしてしまうのか?」と聞いたところ、水口結貴行政書士は、「切実に収入が厳しいので、何とか“損をした分を取り戻したい”という気持ちが働いてしまうようだ」と教えてくれた。

 

被害者名簿が出回り、何度も被害を受けてしまう

 

また、エクステージ総合法務事務所 水口結貴行政書士はこんなケースも教えてくれた。一度、悪質業者に騙されると、その被害者名簿が業者間に流出して(出回って)しまう、と言う。

 

例えば、ある日電話がかかってきて、今使っている教材(内職商法で購入したもの)の進み具合などを聞いてくる。そこで「もう使っていないし、辞めたい」と言うと「辞めるにはお金がかかりますよ。残りの教材を買い取ってもらえれば、辞められます」、「では、また教材を送りますから」などと言い、さらに新しい契約を結ばせる、という。

 

水口結貴行政書士は続けて、「内職商法に騙されると、名簿が出回ってしまう。その名簿を元にさらに勧誘電話をしていく」と教えてくれた。

騙されてたのに、なぜ複数の業者と契約してしまうのか?を、水口結貴行政書士に聞いたところ、水口結貴行政書士は「切実に収入が厳しいので、何とか“損をした分を取り戻したい”気持ちが強いようだ」話してくれた。

 

水口結貴行政書士によると「実は、別の業者が電話をかけてきている」とのこと。

初めの契約とあたかも関連があるかのように話し、「ビジネスセット」なる商品が送られてきて、信用してまた契約してしまう。

 

日本SOHO協会の川西保夫常任理事は、悪質業者を見分けるポイントとして、次のような点を挙げてくれた。

1.契約前に多額の商品を購入しないといけない(投資が必要)

2.何回もしつこく勧誘を繰り返してくる

3.金額が異常に高い

4.(商品販売の時点で)「仕事を紹介する」と何回もPRする

 

では、実際に被害にあってしまったら、どう対処するべきなのか。

村 千鶴子弁護士は、「契約書面は交付されているが、内職商法の場合に交付すべき書面ではないので、理屈上まだクーリングオフは可能」と言う。

「ただ、業者や承知でやっているので、素人が言っても相手にしない。消費生活センターに相談しないと解決できないともう」ということだった。

 

この不況の中、「うまい話」など絶対にない。国民生活センターによれば、内職商法に関する相談は、この10年間で10倍以上になっている、ということだ。

もし、こうした内職商法などに騙されてしまった場合、一人ではなかなか解決が難しい。

行政書士や弁護士、国民生活センターなどへ相談してほしい。