詐欺でも脅迫でもない。
悪徳商法、その手口に要注意
昨今、話題になっている「オレオレ詐欺」。その手口や被害は広く知られるようになってきました。一方で、明確に「犯罪」とは言えないものが多く、被害が見えにくいのが「悪徳商法」です。健康をエサにするものや内職あっせん、資格取得などその手口はより巧妙になっています。被害にあってからでは、対応は難しいものです。
そこで、悪徳商法の相談を数多く受けている、エクステージ総合法務事務所の代表行政書士 水口結貴先生に具体的な対処法や悪質業者の手口などを教えていただきました。
50代が気を付けるべき悪質商法
男性は、投資・資格商法。女性は内職商法
50代の悪質商法被害は件数はそれほど多くないものの、収入が多い世代だけに被害金額が大きくなる傾向が見られます。代表的な被害例は、男性では投資や資格商法があります。資格商法では、業者や電気主任技術者などの人気の資格をエサに内容が伴わない高額な教材を売りつけます。
また、以前に資格取得講座を申し込んだ人に「資格取得まで継続する契約になっている」と嘘をついて「未払の受講料がある」や「○○万円払えば、名簿から名前を消すことができる」などの名目で請求をする手口も増えてきました。女性を狙ったものでは「内職商法」に気を付けましょう。「月に3万~5万円、人によっては10万円くらい稼いでいます」と、いかにも現実的に稼げそうな金額を提示するのがポイントです。仕事をあっせんするための登録料や研修費、教材費などの名目で数十万円を請求されます。
そのほか、50代に特徴的なものでは、床下や布団の無料点検に来たと自宅を訪問して商品を売る「点検商法」、催眠(SF)商法があります。自宅に突然、本やカニなどの物品が送りつける「ネガティブ・オプション」(送り付け商法)の被害も50代に多いのです。
一見、親切そうなふるまいの影に悪徳商法のワナがある
催眠商法や悪質な訪問販売など、以前から問題視されている被害も減ってはいません。これらの契約の場合、高齢者が狙われることが多いのです。また特徴の1つとして、業者が「親切さ」を強調することがよく見られます。
例えば、催眠商法でよく知られているのは、お客さんを一か所に集めて短時間で商品をどんどん売るやり方ではないでしょうか。最初は、日用品などを無料(もしくはただ同然の値段をつけて)「はい、欲しい人は手をあげて」と、会場が興奮状態になるように誘導します。
そうしておいて、最後の方で「今日は特別に半額!」などと、高額商品を登場させます。
集客力を上げるために、街頭で「この券を持っていけば、無料で記念品がもらえます」などと、チケットを配るなど「ちょっとお得」な話で誘うことが特徴です。
解約は一刻も早く。クーリングオフ期間を過ぎていても、望みはある
クーリングオフは、消費者から一方的に売買契約を解除することができる制度です。クーリングオフをするときは、必ず証拠が残る内容証明郵便で手続をしましょう。電話では、のらりくらりとかわされてしまったり、再説得されてしまう可能性があり、トラブルの元になってしまいます。
解約をすると業者に仕返しをされるのではないか?と不安になる方もいますが、その心配は殆どありません。それどころか、ローンが終わったころに別な商品を売りつける「次々商法」の被害にあうこともありますから、毅然と断ることが大切です。
クーリングオフ対象外の契約であったり、クーリングオフ期間を過ぎた契約であっても、解約が全くできないわけではありません。例えば、契約書類に不備があったり、販売目的を隠していたり、業者が契約について重大な嘘を言っていたり、脅迫的に購入を迫っていたり、などの理由があれば、特定商取引法や消費者契約法などに基づいて、解約や返金を求めることも可能です。
たとえ、悪質商法業者と契約をしてしまった場合でもあきらめず、専門家に相談をしてください。