留学仲介・日本通訳協会…破たん、残るローン
クレジット契約自衛策は「騒ぐ」「訴える」
留学仲介業「ゲートウェイ21」、日本語通訳協会、八王子自動車教習所など、複数の会社が相次いで破たんした。どの会社も資産が乏しく、教習費用などが消費者に戻ってくる可能性は非常に低い。こんな場合に、分割払のクレジット契約をした消費者の被害をこれ以上大きくしない手段は「騒ぐ」、「訴える」こと。
夢破れて…
ゲートウェイ21は、約12億円以上の負債を抱えて破産手続が進んでいる。被害者の一人は、来年のカナダ留学を控えて、約90万円を分割(10回)で払う契約をしていた。しかし、ゲートウェイ21が突然、9月に破たんした。夢は破れ、ローンだけが残ってしまった。「留学に行けないなら」と、「抗弁書」をクレジット会社に提出して以降の支払を拒否した。
(債権者を対象にした説明会で、厳しい表情を見せる海外留学仲介会社「ゲートウェイ21」の福井伴昌社長-中央)
抗弁書で支払停止も
クレジット契約の仕組みはこうだ。まず信販会社が加盟店(今回であれば、ゲートウェイ21)に代金を一括で支払い、立て替える。そして消費者から分割して、代金+金利を回収する。割賦販売法では、倒産等の理由で商品や役務が消費者に提供されない場合、信販会社からの請求を拒否できる「抗弁権」が認められている。
企業責任は
以前、語学教室やエステなどで解約トラブルが相次いだ。そのため法律が改正され、「抗弁権」が規定されたが、教習所、留学仲介は対象外だ。
今回の件について、悪質商法に詳しいエクステージ総合法務事務所の代表行政書士・水口結貴さんは、「対応を検討中なのだろうが、クレジット会社が再び請求してくる可能性はある」と指摘する。このような場合、企業が行政処分や刑事訴追などを受けると信販会社も「加盟店契約をした企業責任」を問われ、消費者に再請求しづらい、という面もある。
冬の時代に
「被害者はもっと声を上げ、社会に訴えた方が得策だ」と、水口結貴さんは言う。今回のようなケースでは消費者保護の立場から、信販会社が回収リスクを負担することになりそうだ。信販会社にとっても「悪質業者の片棒を担いでいる」と世間(消費者)からみられるのは、企業の信用問題に関わるからだ。
長引く経済不況の中、一括払では難しい契約を分割払で、と考える人は多くいる。信販会社は利用者(利用額)の増加だけに喜んではいられない。回収リスクとも向き合う冬の時代になっている。