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痩せたい、キレイになりたい。
女心につけこむ、悪質エステ商法

今、悪質エステ被害が急増している。キレイになりたいという女心につけ込み、高額なエステサービスや下着等を勧誘し、ローン契約を迫る。元エステ店員は、「とにかく売れ!」と会社から指示を受けていた、と証言する。執拗なセールストークで、肉体的にも精神的にも追い込み、商品の契約をするまで帰さない。そんな、悪質エステの現場に取材班が潜入した。
安い「体験・お試し」で客を呼び寄せ、身動き取れない状態にして、高額な契約を迫る

「もう少し痩せたい」と思っていたAさんは、フリーペーパーを見て、インド式エステが1500円で体験できるという広告を見つけ、店舗を訪れた。Aさんは7kg痩せたいという希望を持っていたところ、「それは3ヶ月、通いましょう」とエステ店舗側から言われたそうだ。価格は30万円。出せる金額ではなかったAさんの様子を見たエステ店員は、「私のマッサージ、気に入ってもらえましたよね」、「なのに、なぜですか?なぜですか?」と逆ギレした様子で、責められた。
さらに、エステ中は体をタオル等でまかれ、汗を流す状態だったため、次第に意識がもうろうとして、気分も悪くなったそうだ。その状態で、しつこく営業トークを続ける店員。また、これも手口だったのかAさんが断る度に「上司と相談する」と店員は奥へ入ってしまい、Aさんは置き去りにされる。意識を失う寸前に、仕方なくAさんは契約をしてしまった。Aさんは「後から、怒りが込み上げてきた」と続けて話した。
Aさんは、契約機関中、エステに通うと強引に契約延長を迫られたという。
また、別の女性は、エステだけでなく、下着やダイヤモンドといった商品まで契約し、総額はなんと200万円にものぼったと証言する。

悪質エステの元、従業員が拷問のような手口を証言

悪質エステ業者の元従業員は、その実態について「コースに入っていなくても客をマットに包み、汗だくにした状態で契約をしないと、マットを外さない」と証言した。
また、街で女性に聞いてみると、「契約をしなければいけない状況になってしまった、契約書を書かないと帰してもらえない雰囲気だった」、「50万円程の高額な契約だったが、相手が口がうまくて、1回ひっかかってしまい契約した」等の声が。
そこで、悪質エステの実態に迫るため、路上でエステのキャッチをしている場面を取材した。
路上で声をかけ、嘘の説明でエステ業者店舗へと連れ込む
エステ業者店舗内では、執拗な勧誘が待っていた

繁華街を歩くスタッフに、エステのキャッチが声をかけてきた。
「美容師なんですが、あなたは美容師さん?」。スタッフが違うと答えると、キャッチは続けて「1回限りのモデルをやってくれる女性を探している」と続け、時間は15分程度・雑誌に載せるフェイシャルモデルと続けて説明し、アンケートだけでも…と言葉巧みに誘って、スタッフをある雑居ビルへと連れていった。その時、番組スタッフはビルから出てきたキャッチの男が言った「バカだな、あの女」という一言を聞いた。
店舗に入ると、白衣の女性が個室へと案内。「『超音波マッサージ』は知っている? 『超音波器具』は使ったことがある?」等と機械の話に。この店舗、実はフェイシャルエステをするのではなく、美顔器を売っていたのだ。店内の様子について、潜入したスタッフは、最初は親しそうに話してくるが、最終的に商品を買わせる時になると威圧的になると証言。勧誘された美顔器は35万円という高額な物だった。
国民生活センターによれば、このような悪質エステに関する相談は年々増えていて、2002年は12,000件を超えているという。そして、手口はより悪質化しており、被害金額も一人100万円前後と高額化している。

悪質エステの被害者が、そのひどい手口を証言

Bさんは、「足のエステを受けませんか?」とキャッチで声をかけられ、店舗に行ったところ、最初に3人の従業員に囲まれ、すでに「帰りたい」と言える雰囲気ではなかったと言う。さらにカバンを従業員に持っていかれてしまい、エステで服を脱いだため、身動きも取れず、逃げることもできない状態になってしまったのだ。その後は、エステ業者の為すがままになってしまったと言う。

消費者問題に詳しい法律家に聞く 法的に問題はないのか?
悪質商法問題に詳しい、エクステージ総合法務事務所・代表行政書士 水口結貴行さんは、エステ業者に連れて行かれると、何人にも囲まれた状況になってしまい、携帯電話もつながらず、「契約しないと帰れないのでは?」という恐怖心から契約してしまう人も多い、と説明してくれた。

特定商取引法では、エステ等の長期サービスを契約した場合、契約期間内であれば、一定の違約金を払うことで解約ができる。(契約期間が1ヶ月以上で、契約金額が5万円を超えるもの)
そのため、悪質業者はエステの契約ではなく、中途解約ができない化粧費や下着等の商品を売りローン契約を締結させる。
くれぐれも、「安い」だけでサービスを選ばないようにしたい。