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独身女性を食い物にする「結婚相談所」全手口

最近、結婚相談所が林立しており、悪質なビジネスが増えている。
高額な契約金を払ったのに相手を紹介されない、違約金が高すぎるなどの苦情が目立つ。中には、指輪との抱き合わせ販売で、サービスを中途解約させない巧妙な仕組みまで登場している。

独身時代を満喫したい現代人は20代には、あまり結婚したがらない。しかし30歳を過ぎて「結婚しようか」と思ったときは、自分が理想とする相手と出会う機会が減っているのが現状だ。
そこで「結婚相談所」の出番だ。現在の業者数は3000社を超える。各社はお見合いパーティーやインターネット、個別セッティングなどで相性の良さそうな結婚相手を探してくれる。一方、業者への苦情や詐欺まがいの被害件数も増えている。
苦情の多くは、強引な勧誘やふさわしい相手がいないことだ。契約時には、いくらでも相手を紹介するようなことを言っていながら、実際にはほとんど紹介されなかったり、パーティーに行ってもサクラばかりだったり。そして中途解約しようとすると、不当な清算金を要求される。
48万円払って成果なし。100万円のクズ指輪と抱き合わせ販売…

例えば、東京都のAさん(30才・女性)の場合、雑誌挟み込んであった相性診断のハガキを出したところ、業者から勧誘電話がかかってきた。すると、入会金の値引や「今、決めなさい」、「契約するまでトイレには行かせない」などと言われる強引な勧誘を受けた。
結局、48万円もの契約を結んでしまったAさん。契約締結後、お見合いパーティーなどに出てみたが、交際したい相手も紹介もないまま、契約金と会費を契約期間終了まで払い続けただけだった。

東京都のBさん(34才・女性)の場合は、紹介サービスが全く機能しなかったという。「インターネットで相手の顔やプロフィールが紹介されているので、その中から好みの男性との交際を申込みました。本来なら、事務所を通じて相手から返事が来るはずなのに、いつまで待っても返事がきませんでした。他にも何人かに申し込みましたが、結局誰からも返事はこなかったのです」。

国民生活センターによれば、結婚相手紹介ビジネスの相談件数は2000年度は1,610件だったが、2003年度には2,473件と急増している。この状況を受けて規制も厳しくなってきた。2004年1月1日から、結婚相手紹介サービスは「特定商取引法」の「特定継続的役務提供」の指定役務となった。(契約期間が2ヵ月間以上で、契約金額が5万円を超える場合)
しかし、この法律を知らずに悪徳相談所の言いなりになったり、業者が法の目をくぐる新しい手口を考えたりして、被害者は減る傾向にはない。
東京都消費生活相談センターには、次のような相談が寄せられていた。インターネットから軽い気持ちで結婚紹介サービスに登録したところ、業者から電話で無料相談の勧誘を受けた女性。出かけたところ、説明の途中で会員のプロフィールを見せられた。断ったところ「もう、プロフィールを見たのだから」と強引な勧誘を受け、高額な契約をすることになってしまった。解約を申し入れたら、解約料として18万円を請求された。このように「プロフィールを見せたのだから、契約しなければならない」というのは、よくある手口だ。
また、クーリングオフを申し出ても「入会時に情報提供した分は返金しない」と業者が拒否するケースも多発している。しかし、実際は契約から8日間以内であればクーリングオフができるし、中途解約も認められる。

法外な成婚料を請求されるケース

また、最近は「宝石との抱き合わせ販売」が増えているという。Cさん(36才、男性)は、エステティックや見合いサポートなどのサービスをする会員制クラブの勧誘を受けた。プログラムの中にお見合いパーティーがあり、クラブ入会前に試しに出席したところ「入会すれば、ダイヤモンドを無料でプレゼントする」と言われ、入会してしまった。しかし、見合い相手を紹介してくれるわけもないため、解約を申し出たが、実は解約できないようになっていたのだ。
なぜ、解約できないのか?
悪徳商法に詳しいエクステージ総合法務事務所・水口結貴行政書士が説明してくれた。
「結婚サービスの契約書だと思っていた契約書は、実は宝石販売契約書でした。結婚情報のように、継続的サービスの契約は法改正で中途解約できるようになりました。しかし、物品購入の場合は品物を受け取ってしまって、クーリングオフ期間を過ぎれば解約できない。
この業者は、本人には結婚サービス契約と思わせておきながら、宝石売買の契約を交わさせた。この場合、解約を申し出ると月に1,000円~2,000円位の会費だけを解約できるシステムになっている所が多い」。
最近は、30代後半~40代の女性の入会が増えているため、そこに目をつけて「医師・弁護士・公認会計士限定」といったエグゼクティブ見合いを謳う結婚相談所だ。しかし、実際に行ってみると若くて容姿がいい女性以外は、なかなか紹介もしてもらえない。「特別料金を優先的にエグゼクティブと見合いができる」と持ち掛けるが、実際は「サクラ」に過ぎない場合も多い。
「結婚相談所につきもののサクラは本当に悪質。今は男性の被害者が多いが、今後は女性被害者も増えてくるでしょう」と水口結貴行政書士は指摘する。また「特に悪質な例は、経営者が自分のところに入会した女性に手をつけるケースです。女性のデータを自由に見られるので、その情報を基に女性好みの男性を演じて、たぶらかしたのです」とも教えてくれた。
また結婚成立時に法外な成婚料を請求されることもある。金額が実の曖昧で、実情は客の懐具合を見て値を吊り上げているようだ。トラブルも多発している。

業界団体所属でも安心できない

ある結婚相談所の紹介で結婚相手が決まり、50万円以上の成婚料を払った男性は、支払後に女性と全く連絡が取れなくなってしまった。
別の男性は、相手の女性と数回のデート後、体に触れたとたんに女性の態度が一変した。そして、結婚相談所を通じて慰謝料を請求されてしまった。
結婚情報サービス業者は、いくつかの業界団体を作っているが「自主規制を尊重する」という姿勢にとどまっている。つまり、業界団体に所属しているというこが安心材料にはならない、ということだ。
契約時に登録料や入会金、会費などで高額な費用を請求され、金利の高いローンを強要してくる、中途解約金の返金をごねる、高額な成婚料を請求する…。こうしたことはたとえ大手業者でも行われている。
前出の水口結貴行政書士は、契約の時に所定の契約書がそろっているか、書かれている内容に納得できるかを確認してほしい、と指摘する。水口結貴行政書士は、「特に、書類に何か商品を売買するような事項が書かれていないかを注意しましょう。商品を勧めるところは、疑ってかかった方がいい」と教えてくれた。
真剣に結婚相手を探すのだから、真剣に契約書を読んで慎重に契約をするようにしたい。